竜星涼「同じ現場にいるなんて信じられない」 『スタンドUPスタート』で憧れの人と共演

2023.1.27
映画『ぐらんぶる』では、全裸で撮影に挑んだことが話題に。朝ドラ『ちむどんどん』では、ヒロインの兄で、救いようのないダメ男“ニーニー”を好演し、物語をおおいに盛り上げた。ここ数年、演じる役とともに話題になることが多い竜星涼さん。放送が始まったばかりの主演ドラマ『スタンドUPスタート』にも、注目が集まっている。
ryusei

――フジテレビでは連ドラ初主演ですが、役者デビューをして初めて出演したのも、フジテレビのドラマだそうですね。

はい。気がついたらまたフジテレビに戻ってくるような形になり、原点回帰じゃないですが、すごく感慨深いです。

――『スタンドUPスタート』は、主人公の大陽が、さまざまな人を立ち直らせて、起業のための手伝いをしていくという物語です。竜星さんが思う大陽の魅力とは?

パーソナルスペースが狭く、相手が誰であろうと、思ったことをすぐに口に出してぶつける男。大陽ほど悪気なく言えてしまうのも、一つの才能だと思います。最近はセリフを口にしているうちに、「これ、俺じゃね?」って思うようにもなって。

――似ているということですか?

そうなんです。例えば「お前ならできるよ、できるできる!」って相手を鼓舞するようなところとか。そして、僕も親しい人には余計な世話を焼くところがあって、思ったことをなんでも口にしちゃう性格で(笑)。たまに、もう少し相手のことを考えて発言した方がいいのかな…なんて反省もしますが、今は大陽を肯定することで、僕自身を肯定している感覚もあります。でも、大陽みたいに、誰にでもおせっかいを焼いたり、周りの目を気にせずに口を出していく人が、結果的に人の心を動かしたり、もしかしたら世界を変えられるのかもしれないですね。

――見ず知らずの人を再生させる大陽は、人を見る目があるといえますが、竜星さんご自身はいかがでしょう。

僕の場合、見る目があるかはわからないけど、誰とでも必ず目を合わせて話をしています。そうすると、初対面であろうと話しているうちに、大体どういう人かがわかります。目は口ほどに物を言う、じゃないですが、ふふふ(笑)。

――見透かされそうで、怖いです(笑)。この号の発売日は、第2話の放送日でもあります。今後の展開や見どころを教えてください。

いろんな人をスタートアップさせて立ち直らせていくのですが、その人たちがいずれ、大陽を支えていく存在にもなる。そして、大陽とは正反対の性格の兄、小泉孝太郎さん演じる大海との関係性もどんどん動いていきます。漫画原作ですが、原作ファンにも、原作を知らない方にも楽しんでいただきたいです。ポップな部分と、重厚感ある部分、さらに艶っぽさもある。バランスのいいドラマなので、気楽に見てほしいですね。

――ところで、この世界に入るきっかけとなった一人が、今作で共演している反町隆史さんだと聞いています。子供の頃から、芸能界に入るのが夢だったのですか?

子供の頃『ビーチボーイズ』を見て、反町さんをカッコいいな、って思っていたんですが、当時は芸能界に入るなんて思っていなくて。だから今、同じ現場に反町さんがいるなんて信じられないし、デビューして最初の頃は、いろんな現場で共演者の方を見るたびに、いちいち「うわ、芸能人だ!」って思っていました(笑)。大人になる前は、芸能人ってどうやったら会えるのかわからなかったし、非現実的な世界だと思っていたから。今ではもちろん、そこまで浮足立つようなことはないけれど、当時の自分に「反町さんに会えたよ、名前も呼んでもらってるよ」って言いたいです。

他人の声や評価が力になると実感しました。

――お芝居に目覚めたとか、役者としての覚悟を決めたなど、転機になった作品は何でしょう。

お金をいただいて仕事をするからには、たくさんの作品に出たいし、やっぱり売れたいという思いはずっとありました。でも明確に、役者として頑張りたいと心を決めたのは、劇団☆新感線さんの舞台『修羅天魔~髑髏城の七人』で夢三郎を演じた時。あとからこれがターニングポイントだったと思うのではなく、この作品をターニングポイントにしなければいけないという思いで参加したんです。というのも、実はそれまでは、役者業とかお芝居に自信がなかったんですよね。でもこの先、なんとなく役者を続けていくのは嫌だったし、レベルアップするためには、この役を自分のものにしなければ…という思いが強くて。実力不足だろうがなんだろうが、自分が今できることはすべて出し尽くして、燃え尽きようと覚悟して臨みました。実際は、初日を迎えるまで不安で、やるべきことが多すぎて、正直パンク状態で。でも、幕が開いてみると、いろんな方から嬉しいお言葉をいただいたんです。例えば、佐々木蔵之介さんからは「命削ってるね」とか、加賀まりこさんからは、天海祐希さんを通して「あの子は誰? 私の推し」とまで言っていただいて。それが大きな自信になりました。

――自信を持ったことで、変わりましたか?

基本的に、根拠のない自信を持って頑張れるタイプですが、一方でどこか現実主義な部分もあって。特にこの仕事にはゴールがないので、他人の声や評価が力になると実感しました。よし、このまま役者をやっていていいんだ、って。

ryusei

りゅうせい・りょう 1993年3月24日生まれ。2010年に役者デビューし、スーパー戦隊シリーズ『獣電戦隊キョウリュウジャー』でドラマ初主演。昨年はNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』が話題に。放送中のドラマ『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)に主演で出演中のほか、長身を活かしモデルとしても活躍。

ドラマ『スタンドUPスタート』で竜星さんが演じるのは、“人間投資家”の大陽。過去の栄光にすがる中年男や就業経験のない主婦など、事情を抱えた訳アリ人材を立ち直らせる主人公を描いた、人間再生ドラマ。原作は『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載中の同名漫画(作・福田秀)。フジテレビ系にて、毎週水曜22:00より放送中。

※『anan』2023年2月1日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・山本隆司(style3) ヘア&メイク・TAKAI インタビュー、文・若山あや

(by anan編集部)