森崎ウィンが芸能界にいるワケとは? ミュージカル『ピピン』で自身の役に共感

2022.8.29
2013年、とあるミュージカルが新演出でリバイバル上演され、ブロードウェイの話題を席巻した。そのミュージカル『ピピン』は、もともと1972年に初演された作品で、セクシーでクールな演出で一世を風靡したボブ・フォッシーの手により当時大ヒットしたもの。新演出版は、そのエッセンスを残しつつ、なんとミュージカルに本格的なサーカスのアクロバットを取り入れるという大胆な発想で観客を魅了した。

「マジックやアクロバットもあって、考えさせる美しい作品です」

Entame

「初めて観たとき、いろんな要素が盛り込まれていて純粋に感動しました。華やかなセットもですし、マジックがあってアクロバットがあって、宙吊りで歌っていたり…。ストーリー的にも、考えさせるラストが作品の美しさに感じられたんですよね」

今回、本作でタイトルロールを演じる森崎ウィンさんがそう語るのは、’19年に日本で初上演された新演出版のこと。当時はまさか自分が出演するとは思っていなかったそう。

「だから驚きましたし、純粋に嬉しかったです。ただ、前回の(城田)優くんがすごかったんですよね。僕も歌と芝居をやっている身として感じるのは、軽々と見えるけれど絶対にそんなわけはなく、高いポテンシャルが求められるなと思います」

本格ミュージカルへの出演は今回が3作目。もともと透明感のある歌声で歌手として高い評価を得ていたが、ミュージカルでは、楽曲に役の心情を織り込んだエモーショナルな演技で、早くもミュージカル界の新星として注目されている。

「ミュージカルの歌はセリフの延長のように感じさせたいと思っています。でも、歌の前後のお芝居で、役の気持ちでセリフを言っていると、意識しなくても自然と感情が高まって、今ここで歌で表現したいって気持ちになる。それだけ台本が緻密に計算されて作られている、ということだと思うんですけれど」

若き王子・ピピンが、人生の大いなる目的を模索し、自分の本当の居場所を探して旅を続ける物語。

「今回の出演のご縁は、森崎ウィンが『ピピンに近いんじゃない?』と思われたからな気がしているんです。僕自身もずっと自分探しの旅に出ていますから。彼が探している“特別な何か”にすごく共感するんですよ。うまく言葉にはできないけれど、それを求めているから、僕はこうして芸能界にいるんだと思うんです。だから、今の時点では特別な役作りは必要ない気がしています。もちろん時代背景とか、勉強しなきゃいけないことはたくさんありますが、ピピンとしては、僕が真っすぐにいることが求められているというのかな。もしかしたら稽古してみて、予想外の感情が出てくるかもしれないですけど」

旅先でさまざまな経験をし、やがて彼は本当の幸せを見つけていく。

「この作品では、ピピンに美しい部分と真逆な部分の両極端を見せて、最後に“自分はどう思う?”と問いかける。その誘い方が、まさにこの作品の魅力そのものな気がします」

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ブロードウェイミュージカル『ピピン』 リーディングプレイヤー(Crystal Kay)率いるサーカス一座に誘われ、若き王子・ピピン(森崎)の自分探しの物語の幕が開く。自分の居場所を求める彼は、戦争に志願するが…。8月30日(火)~9月19日(月)渋谷・東急シアターオーブ 脚本/ロジャー・O・ハーソン 作詞・作曲/スティーヴン・シュワルツ 演出/ダイアン・パウルス 出演/森崎ウィン、Crystal Kay、今井清隆、霧矢大夢、愛加あゆ、岡田亮輔、中尾ミエ(Wキャスト)、前田美波里(Wキャスト)ほか S席1万4000円 A席1万1000円 B席6000円 キョードー東京 TEL:0570・550・799 大阪公演あり。https://www.pippin2022.jp/

もりさき・うぃん 1990年8月20日生まれ、ミャンマー出身。2008年にデビューし、‘18年に映画『レディ・プレイヤー1』でハリウッドに進出。‘20年に歌手としてメジャーデビューも果たした。

シャツジャケット¥41,800(セブン バイ セブン) カットソー¥17,600(アポクリファ) パンツ¥39,600(バラード) 以上サカス ピーアール TEL:03・6447・2762

※『anan』2022年8月31日号より。写真・的場 亮 スタイリスト・森田晃嘉 ヘア&メイク・KEIKO インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)