経済界の変化が後押しに? 「Z世代のリアル」を堀潤が考察

2021.8.1
新しい価値観を持つと期待されるZ世代。社会問題にためらわず「NO」を言い、解決できる方法を模索する頼もしいアクティビストが増えています。なぜ彼らは社会のために行動を起こせるのか? その輪郭を探ります。

より良い社会を目指して互いを理解することから。

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今、違和感に率直に声を上げるZ世代と呼ばれる若年層が注目を集めています。生まれた時からすでに国内の経済成長は止まり始め、社会に出る頃にはメンタルヘルスが社会問題となって働き方改革が提唱され、異常気象などの気候変動はもはや身近な問題となり、SDGsが叫ばれる――そんな時代を生きているZ世代。社会の仕組みに限界も感じ、SNSなどを通して発言するアクティビストも増えているようです。

◎Z世代とは…1996~2015年頃に生まれた世代を指す、アメリカで生まれた区分。’65~’80年頃生まれのX世代、’81~’95年頃生まれのY世代(ミレニアル世代)に次ぐ世代。SNSやデジタルツールを使いこなし、ソーシャルネイティブ、テックネイティブなどとも呼ばれる。

ジャーナリスト・堀潤さんと一緒に考えるZ世代のリアル。

社会問題に関心が高く、積極的にアクションを起こし、存在感を増しているZ世代。そんな彼らが生まれるのには歴史的・社会的背景があった! 堀潤さんが解説してくれました。

社会のニーズとマッチ。技術と実行力がある世代。

メディアに携わる立場から、Z世代が注目される理由を考えると、経済の価値観が大きく変わったという社会背景がまずあると思います。SDGsが叫ばれ、ESG投資が始まり、環境や人権に感度の高い企業でなければ投資家は相手にしませんし、そういう企業を持つ国でなければ、グローバルな経済活動がままならなくなりました。

そこで求められるのがZ世代。新しい価値観を持っており、デジタルネイティブでもある。気候変動や紛争など、長年解決できなかった問題にようやく世界が本腰を入れて取り組もうとしている中で、それを仕事にできる世代です。具体的なニーズに対して新しいサービスやアプローチを提示できる、実行力もテクノロジーもモチベーションも併せ持っています。これまでの社会運動は理念先行でした。しかし、今は実利を伴うため、賛同を得られやすい。だからこそ、社会はZ世代に期待をし、Z世代のアクティビストも安心して行動を起こせるのだと思います。

Z世代のアクションを後押しする世界の現象。

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1、経済界の変化

経済界でもSDGsがスタンダードに。
環境や人権問題に敏感な企業でなければ投資をしないというESG投資が始まり、これまでは理念にとどまっていたことが、実行に繋げなければ経済が回らなくなってしまった。結果、SDGsへの社会的理解を後押しする形に。

深掘POINT:『ヴィクトリアズ・シークレット』がリブランドを発表。
ブロンドの白人モデルを使い、ブランドイメージを作ってきたアメリカの老舗下着メーカーが6月に劇的なリブランドを発表。トランスジェンダーや有色人種のモデルを起用し、多様性を謳う企業であることをアピールした。

2、社会的価値観の転換

待ったなしの気候変動や経済格差。
地球温暖化により各所で大きな自然災害が起こり、甚大な被害をもたらしている。またグローバル化で、富む者はさらに富み、貧困層は貧困から抜けられないという連鎖が加速。既存の価値観による不都合が露わになり、世界的危機に。

深掘POINT:トランプ氏の経済政策よりも支持されたバイデン氏の「Green New Deal」
気候変動対策や再生可能エネルギーに国が財政支援を行うことで、新たな雇用を生み、格差問題も解決しようという「Green New Deal」が強く市民に支持された。環境に配慮しない経済優先の価値観にストップがかかった。

3、リベラルな価値観の醸成

SNSで日常的に世界の情勢に触れている。
ネットの登場で、どこにいても世界の出来事を時差なく知ることができる時代。マララ・ユスフザイさんの人権運動や、グレタ・トゥーンベリさんの地球温暖化の弊害の訴えが世界に広がったのもSNSなくしては語れない。

深掘POINT:SNSを中心に盛り上がった#BlackLivesMatterや#MeToo。
人種問題や男女差別などの長年の問題も、SNSのハッシュタグを掲げることで、賛同者の横の連携がなされ、世界的なムーブメントに。日常の中で世界が直面する問題に触れることで、リベラルな意識を高めるZ世代が増えた。

4、ツールの多様化

インターネットが浸透し、テクノロジーも進化。
電子決済やドローン、自動運転等々、AIやテクノロジーの進化により、これまで難題と思われていた社会問題も解決策が見えてきた。アイデアとツールを使いこなす技術があれば、インパクトのあるイノベーションが起こせる時代に。

深掘POINT:資金集めのハードルにはクラウドファンディングが登場。
これまでは個人の活動には経済的にも限界があった。しかし、賛同者を得れば目的達成のための資金を広く集められるクラウドファンディングのシステムが生まれ、若くても無名でも活動実現が可能になっていった。

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堀 潤さん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX)に出演中。著書に『わたしは分断を許さない』(実業之日本社)など。

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Z世代を中心としたU‐29のコメンテーターを迎え、堀さんと語るニュースショー。硬軟おりまぜた人選が見どころ。『堀潤モーニングFLAG』TOKYO MX 平日朝7:00~放送。

※『anan』2021年8月4日号より。写真・土佐麻理子 イラスト・くどうすみか

(by anan編集部)

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