明日海りお「最初は不安でした」 ミュージカル『ポーの一族』に再挑戦

2021.1.7
舞台に立った瞬間に目を奪われてしまう華とオーラ。役を丁寧に掘り下げ表現する繊細な演技と確かな歌唱力。そして時に、華奢な体からは想像もできないほどのエネルギーを放出し、観客の心を鷲掴みにしてゆくパワフルさも兼ね備える。明日海りおさんが、宝塚歌劇団を退団後どんな活躍をされるか、その動向に注目していた人は多いはず。そしてようやく発表されたのが、在団中に上演され話題を呼んだミュージカル『ポーの一族』、そして現在放送中の朝の連続テレビ小説『おちょやん』への出演だ。
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――『ポーの一族』は、言わずと知れた萩尾望都先生の名作漫画を原作にした舞台です。在団中に演じた主人公のエドガーという役に、今回再び挑戦されるわけですが、ご自身にとって、どういう位置づけにある作品ですか。

明日海:これまで演じたどの役にも、それぞれに思い入れはありますけれど、『ポーの一族』はとっても特殊な作品でした。ちょうど花組のみんなが自分の個性を自覚してそれを出せるようになった時期の作品で、それぞれが適役だったのもあり、萩尾先生の世界の中に浸りきって演じることができたんです。私自身もエドガーを演じていて、感覚が自然と体全体、爪の先まで駆け巡る瞬間もあったり…。脚本・演出の小池(修一郎)先生に伺ったんですが、萩尾先生自身がもう一度舞台化してほしいとおっしゃっていたそうなんです。もし自分以外の人がエドガーだったら、きっと心がウズウズしただろうと思うんです。今回、私以外は男性の役は男性が演じるわけで、ちょっと特殊なバージョンとなりますが、そういうのもアリ、とされる時代にあって本当にラッキーです。

――正直、最初に舞台化を知った時は不安の方が大きかったんです。でも、制作発表会見でエドガーに扮した明日海さんを拝見して、一気に期待感に変わりました。ご自身は、どこかで手応えを感じるタイミングがあったんでしょうか。

明日海:この作品に関しては、小池先生の思い入れがとても強かったですし、原作ファンの方も多いだけに、私も最初は不安でした。ただ、ポスター撮影からメイクやウィッグのフィッティングも通常の公演以上に念入りにして、その段階で小池先生に納得いっていただけたことで、ひとつ安心できたというのはありました。制作発表は、台本が仕上がる前に行われていることも多く、曲をいただいて役の設定を聞いて歌詞を覚えてドンで出る、みたいな感じなんですね。でもあの時は、不思議なんですけれど…私だけじゃなく、出席していた全員が、自然と作品の世界に誘われてそこにいられたみたいな感覚がありました。

――公演中はいかがでした?

明日海:どこまでも作品に移入してしまうような…。だから、毎公演エネルギーの消耗がすごかったです。

――バンパネラになってからのエドガー…とくにラストは、地上から数cm浮いているというか、体が半分透けて見えているような、人外の存在感がありました。

明日海:自分も演じながら生きてる感じがしないというか…重力を感じないというか、そんな感覚がありました。入りきっちゃうんですかね。

――どのようにエドガーを演じようと思われていたんでしょう。

明日海:最初、エドガーは人間の少年ですから、“子役をやっている人”ではなく、少年そのものに見えるように心がけていました。バンパネラになってからは人間でないものに見せたいのと、原作の美しさを出したいのとで、動きとか目線とか、指先まで神経を張り巡らしていましたね。バンパネラになった当初は、苛立ちとか人恋しさみたいなものを奥の方で感じていたんですけれど、時が経つうちにどこかで諦めた感じで物事を見ている感覚で、私自身もエドガーと同じように、すごく遠いところで成り行きを見つめていたような…。たぶんそれって、萩尾先生の世界観の力と、何のストレスもなく気持ちが流れていくよう構成してくださった小池先生の力のおかげだと思います。私自身は、作品に身を委ねていればよかったんですよね。

――前回は宝塚というある意味ファンタジーな世界の中で演じられたわけですが、今回は男性が男性を演じるなどリアリティもあるなかで演じることになりますね。

明日海:今回、大人が子供を演じる…女だけれど男の子を演じるわけで、ハートの部分がしっかりないと、ワザとらしい作り物に見えてしまう気がしています。より素肌に近い状態で、板の上に立つことになると思うんですけれど、その上で共感してもらえるものを追求していかなければいけないと思っています。でもそのぶん、周りは男性役を男性が、年相応の方が演じられることで、作品的には厚みが出ると思いますし、ナンバーにしても見ごたえ聴きごたえのあるものになっていると思います。

明日海さんが主人公・エドガー役で主演するミュージカル・ゴシック『ポーの一族』は、1/11~梅田芸術劇場メインホール、2/3~東京国際フォーラム ホールC 、2/23~名古屋・御園座で上演。脚本・演出は宝塚版に引き続き小池修一郎さんが担当。エドガーと心を通わせる少年・アラン役に千葉雄大さん。ライブ配信も決定。https://www.umegei.com/poenoichizoku/

あすみ・りお 1985年6月26日生まれ、静岡県出身。2003年に宝塚歌劇団に入団。下級生時代から数々の大役を務め、‘14年に花組トップスターに就任。‘19年11月の退団後は映画『ムーラン』日本版声優のほか、放送中の連続テレビ小説『おちょやん』、1月12日から放送のドラマ『青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-』などにも出演。

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※『anan』2021年1月13日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・大沼こずえ(eleven.)ヘア&メイク・山下景子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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