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鈴木杏の役者史上最大のセリフ数!? ひとり舞台に挑む

2020.7.8
ラストショウを終えたダンサーの女が、観客の前で自らの人生を語りだす。舞台『殺意 ストリップショウ』は、戦前戦後の激動する時代の影や、深遠な人間の本質を描いてきた作家・三好十郎作のひとり舞台。

ひとり舞台は、いま乗り越えるべきハードルなんだと思います。

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「演出の栗山民也さんは、私…役者・鈴木杏に対して、いつも予期せぬところから予期せぬ重さのものをポーンと投げてくださる方。その栗山さんがやれとおっしゃるならば、やりませんとは言えないです。きっといまの私が乗り越えるべきハードルなんだと思いますが、それにしても大変なものが来たな、と(笑)」

なんと台本は100ページ超え。

「人生のなかでこんな量のセリフを覚えることになるとは思わなかった」と苦笑。しかし同時に、三好十郎のセリフを口にする喜びも。

「以前、三好先生が書かれた『浮標(ぶい)』という舞台を拝見したことがあって、そのセリフの素晴らしさに胸を打たれたんです。戯曲を買って家に帰って声に出して読んだりして。いつか自分もできたらいいなと思っていましたけれど…まさかひとりでやることになるとは、です」

実際に稽古で口にし、その言葉の深さや重さに驚かされる日々。

「役者の力とか演出の力みたいなものにへんに委ねられていない、甘えのないホンだなと思います。まるで三好先生が作品の責任をすべてご自身で背負おうとしているくらいの鋭さで書かれている。戯曲自体が素晴らしいから、私は安心して言葉に潜っていける。自然と役の声になり、感情が流れていくんです」

そう感じられるのは、鈴木さん自身が優れた戯曲の読み手だからだ。インタビュー中、「私、ストリッパーとか娼婦とか、あまり幸せそうじゃない役が多いんですけれど、なんでなんだろう…」と首を捻る場面があった。しかし理由は明確。鈴木杏という女優は、台本に書かれたセリフから、役の背負ってきた重みや苦み、喜びや切なさを読み取り、体現できる人だからに違いない。

「戯曲に描かれた時代の空気、匂い、音…そこにできるだけ近づけるよう資料を読んで想像はしますけれど、どこまでできているかわからない。ただ、その人がどういう景色を見ていたのか…自分も同じ景色を一緒に見ようとしている感覚です」

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『殺意 ストリップショウ』兄の勧めで上京した緑川美沙(鈴木)は、左翼の社会学者・山田のもとに身を寄せる。そこで山田の弟・徹男と運命的な出会いを果たすが、世の中が右傾化し…。7月11日(土)~26日(日) 三軒茶屋・シアタートラム 作/三好十郎 演出/栗山民也 出演/鈴木杏 全席指定一般6000円、高校生以下3000円(当日要証明書提示)、U24チケット(前売りのみ)3000円(すべて税込み) 世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515(10:00~19:00)

すずき・あん 1987年4月27日生まれ、東京都出身。映像で活躍する一方、故・蜷川幸雄をはじめ、様々な演出家の舞台に出演。’16年には読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。衣装協力・AOI WANAKA TEL:03・6805・0029

※『anan』2020年7月15日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・和田ケイコ ヘア&メイク・菅野綾香(ENISHI) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)