会社を辞めて、こうなった。【第10話】 バークレーで初講義。

2015.3.13
「カリフォルニア大学バークレー校の心理学部で学ぶ」という目標の彼女。意外と早く、憧れの教室に足を踏み入れることになったみたいですが、その先に・・・。

長年勤めた出版社を辞めて、なんの保証もないまま単身アメリカに乗り込んだ女性が悩みながら一歩一歩前進して、異国の地で繰り広げる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。

 

【第10話】バークレーで初講義。

カリフォルニア大学バークレー校で一般公開講義があるということで、参加してきました。

テーマはズバリ、動物も人間と同じように思いやりや共感といった感情を持つのだ、というもの。主催はThe Greater Good Science Centerというバークレー校の研究センターです。

バークレー校!

カリフォルニア大学バークレー校の心理学部。今の私には神々しすぎて…。
カリフォルニア大学バークレー校の心理学部。今の私には神々しすぎて…。

2001年に発足したこちらでは、思いやりを始め、利他的な行いや社会的なつながりがいかに私たちの幸福度を高めるかを科学的に検証しています。スピリチュアルをお坊さんの説法ではなく科学的に説く、という点が面白くないですか? 精神世界と科学のボーダーラインを超えようと挑むところが、まさにアメリカっぽいなぁと思います。

ちなみに、そもそも私がアメリカに来たのはこういう講義や、瞑想などを従業員育成に取り入れている会社(しかも女子的に上がる感じのところがイイですね!)、エサレン研究所などのスピリチュアルセンターに出向き、私のような至って普通の人間が(バツイチ、37歳、無職という時点でアベレージよりもかなり足かせをはめていますが…)実際どう感じるのか知りたかったのです。そしてそれを皆さんに届けたいなと(が、英語という壁を前に右往左往しているという現状…。力不足でスミマセン)。

人間も動物なんだ

講義10分前ですでに満員!
講義10分前ですでに満員!

さて、話を元に戻します。講義をしたのは、フランス・ドゥ・ヴァール先生。エモリー大学の教授で、霊長類行動の研究では、世界の第一人者として知られるオランダ生まれの心理学者、動物行動学者です。タイム誌の最も影響力のある100人にも選ばれた人です。こういう人が講義に来るところが、やっぱり名門大学の凄さですよね。しかも一般公開、無料です!
講堂はたくさんの人で埋め尽くされ、立ち見者もいるほど。年齢層は20代前半〜70代までとやや高め、白髪頭の人も全体の1/3ほどいました。

講義ではビデオを用いながら、チンパンジー、ボノボ、象などの行動例を紹介。他者への思いやりや気遣いといった感情は、人間だけが持つものだと思いがちですが、そうではないと先生は言います。チンパンジーだって水を欲しがる相手に分けてやるし、ケンカの後には抱きしめ合って和解しようとします。

オスの場合にはメスに仲直りのセックスしようとするらしく、このあたりは苦笑い。「バカ!」と一言では言い切れず、人間も動物なんだというワケです。

英語力の無さで台無し??

映画館みたいにイスがふかふかでした♡
映画館みたいにイスがふかふかでした♡

考えさせられたのは、公平性の観察についてのビデオ映像。一方のサルにキュウリ、片方のサルにぶどうを与えると、キュウリを与えられたサルは怒りだしてキュウリを受け取らなくなるのだそうです。「ぶどうをよこせ!」と。

同じように小さな兄妹に、兄に1枚のクッキー、妹に半分のクッキーを与えると妹はクッキーを投げつけて泣き出します。他人が自分よりもいいものを受け取ると不公平さを感じるのは人間もサルも同じなわけですね。

合理的に考えれば、半分でも受け取っておいたほうが投げつけてゼロにするよりいいはずなのに。

ここで考えさせられたのが我が身についてです。実はこの講義、3割ぐらいしか理解できませんでした。「はぁ〜、またせっかくの機会を英語力の無さで台無しにしてしまった…」と落胆していたのです。そしてふと思いました。「私は、あのサルと子どもと同じではないか! 3割をゼロにしようとしている」と。

そこで3割理解できた自分を褒めてあげながら、いつかもっと講義の内容がわかるように英語の勉強を引き続き頑張ろうと思いました。

目標はいつか質問ができるようになることかな!

SEE YOU!

ヴィーガンだった、私はどこに?!
ヴィーガンだった、私はどこに?!

 

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PROFILE
土居彩
編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとジョギング。ラム酒をこよなく愛する。目標は幸福心理学を学んで、英語と日本語の両方で原稿が書けるようになること。