志村 昌美

【大人の四角関係がスゴすぎ!】愛と欲望、誘惑と嫉妬に巻き込まれる刺激作『胸騒ぎのシチリア』!

2016.11.17
現在、世界の話題の中心といえば、ほかでもないアメリカの新大統領に選ばれたトランプ氏。ですが、そんな事態に反発しているレディー・ガガなどがプラカードで掲げていたある言葉が話題となっているのを知っていますか? その言葉とは、「Love trumps hate.」つまり「愛は憎しみに勝る」。こんな時代だからこそ、この機会に愛や憎しみについて改めて考えている人も多いはず。そこで今回は、愛憎渦巻く “大人な作品” をご紹介したいと思います。それは……。

秘めた感情が交差する衝撃作『胸騒ぎのシチリア』

【映画、ときどき私】 vol. 59

その名を知らない人はいないほど、世界的な人気を誇るロックスターのマリアン。声帯の手術を受けたばかりで声が出ない彼女は、年下の恋人であるポールとともにイタリアのシチリアにある孤島を訪れ、静養をかねて優雅な時間を過ごしていた。

ところが、マリアンの元彼であるハリーがセクシーな娘のペンとともに突然押しかけてくることに!

穏やかなポールと対照的に、エネルギーの塊のようなハリー。実は、マリアンとの復縁を狙っていたのだった。その一方で、マリアンにライバル心を抱くペンは、ポールに興味を抱き始める。それぞれの思いが最高潮に達したとき、誰もが予想しなかった驚愕の事件が起こってしまう……。

個性派俳優が勢揃いでとにかく目が離せない!

豪華キャストのなかでも、今回マリアンを演じたのは、イギリスが誇る女優のひとりとして、作品ごとに圧倒的な印象を残すティルダ・スウィントン。とても56歳とは思えない神がかり的な肉体美と中性的な魅力には、映画開始早々で思わず息を飲み、そのまま最後の最後まで釘づけになってしまうはず。

さらに、ファッションもかっこよすぎ!

そんなティルダの色気をさらに引き出しているのが、女子なら見逃せない洗練された衣装の数々。特に、Diorがデザインしたオリジナルの衣装など、誰もが見とれてしまう理想の大人の女性像が映し出されています。

どんな服も着こなしてしまうティルダは、「さすが!」のひと言に尽きるのですが、何といっても美しいのが大きく露出した背中。女性としては年齢が出やすいところだけに、アラサー女子たちは20年後のあるべき姿のお手本としてぜひチェックください。

以前、私がベネチア国際映画祭に行った際に、実は生ティルダ様と偶然遭遇したことがあり、人間離れした半端ないオーラに心をわしづかみにされた経験があるのですが、本作ではあのときの興奮を思い出してしまうくらいとにかく魅力全開!

ティルダは私にとっては、「生まれ変わったらなってみたい女性ランキング」でトップ5に勝手にランクインさせているくらい憧れの女性ですが、この作品を観ればみなさんにもその意味がわかるはずです。

そして、もうひとつの見どころは美しい景色!

今回は、シチリアのパンテッレリーア島が舞台となっていますが、日本とはまるで違う豊かな自然も見逃せないところ。私がイタリアに留学していたときに、シチリアにも旅行しましたが、ハプニングが起きて2日弱しかいられなかったために(詳細は現在ananwebで連載中の「実録! トラブルトラベラーMasamiの事件簿」で今後触れる予定ですが……)、あまりゆっくりできなかったことがいまでも心残り。

もし、次に行く機会があれば、「キレイな海と広大な大地、そして歌と踊りにおいしい料理」と5拍子もそろったこんなリゾート地で、ひと夏のバカンスを楽しんでみたいと思っているところです。

大人たちのかけひきに胸のざわめきが止まらない!

三角関係でも十分ドキドキですが、今回はただの四角形ではなく、8の字のように交錯している四角関係。それぞれの感情が絡まり合ったり、ぶつかり合ったりしたときに繰り広げる展開には、引き込まれっぱなしになること間違いなし。
 
岩肌のようにむき出した激しい愛と底が見えない海のように深い欲望。そして、突然吹きつける風のように気まぐれな誘惑とジリジリ照らす太陽のように熱い嫉妬。そんな人間の奥に隠された感情に飲み込まれていく大人たちの姿に、この冬一番の胸騒ぎを感じてみては? 

鼓動が高まる予告編はこちら!

作品情報

『胸騒ぎのシチリア』
11月19日(土)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開!
配給:キノフィルムズ
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