田代 わこ

【ヤカンが回る!?】ゆるさがたまらないシュールなアート『しりあがり寿の現代美術 回・転・展』

2016.8.4
ゆる~いギャグマンガでおなじみ、しりあがり寿(ことぶき)さん。新聞で連載中の4コママンガも有名ですよね。マンガ家のイメージが強いですが、実は墨絵やアニメーション、インスタレーションなども制作されている多才なアーティスト。そんな彼のユニークな展覧会が現在、練馬で開催中です。とにかく、いろいろ回っている展覧会なので、三半規管が弱い人はご注意ください!

『しりあがり寿の現代美術 回・転・展』とは?

しりあがり看板

【女子的アートナビ】vol.33
練馬区立美術館で開催中の本展では、しりあがり寿さんの回転インスタレーションを中心に、代表マンガの原画やアニメーション、映像などさまざまな作品を紹介。ふだん見慣れているマンガとはちょっと違うテイストの作品もたくさんあり、奥深い “しりあがりワールド ”を楽しめます。

ざっくり、しりあがり寿さん

内覧会で挨拶されるしりあがり寿さん。回転道場の老師スタイルがシュールです!
内覧会で挨拶されるしりあがり寿さん。回転道場の老師スタイルがシュールです!

しりあがり寿さんは、1958年生まれ。多摩美術大学を卒業後、大手ビール会社に入社してデザインや広告・宣伝を手掛けたあと、マンガ家としてデビュー。風刺の効いたギャグマンガを描く一方、現代アートも発表し、さらには神戸芸術工科大学で教授職を務めるなど多方面で活躍されています。

まず、回らない作品から!

しりあがり入口

本展は1階からスタート。少し曲がった入口のゲートを入ると、まずはマンガ原稿や原画が並んでいます。

しりあがり原画

おなじみ、『地球防衛家のヒトビト』の原画もあり、どれもじっくりと見たくなるものばかり。

《崩》2015年
《崩》2015年

続く部屋では、大きな墨絵のインスタレーションが登場。私は目が悪いので、一瞬、日本画の展示室に迷い込んでしまったのかと思いましたが、よく見るとマンガ風のシュールな絵が描かれていました。この意外な組み合わせ、ステキです。

ゆるめ~しょん♪

しりあがりゆる映像

2階最初の展示室で楽しめるのは、「ゆるめ~しょん」。これは、しりあがりさんオリジナルのゆるいアニメーション映像で、12点が並んでいます。見ているとかなり面白いので、ぜひこちらもひとつひとつ時間をかけて楽しんでください。

いよいよ、回ります!

しりあがり回転宣言

そして、いよいよ回転インスタレーションの登場です! 回転宣言が掲げられ、その前では芸術的なヤカンが時折回っています。

しりあがりやかん

この《回るヤカン》は、本展の看板作品。ヤカンが回りだすと、電光掲示板に「芸術」の文字が点滅し、止まっているときは、「このヤカンは回転している間だけ芸術になります」と表示されます。なんともいえないバカバカしさが漂っていますが、結構テーマは深くて、芸術ってなんだろう? と考えさせられます。

回る! 回る!

しりあがり古墳

ヤカンを見た後は、もうあらゆるものが回る世界へと入っていきます。アトリエにあるすべてのものが回る《回転派のアトリエ》、古墳や縄文人、西郷隆盛など、歴史に関するものが回転している《回る歴史》など、なんでも回っているので、頭の中もグルグルしてきます。

しりあがり達磨

そして、かなり目が回った状態でフラフラになりながら次の部屋にたどり着くと……ダルマが回っている! しかも何体もあり、照明も怪しげなうえ、なにやら妙な歌声も聞こえてホラーな雰囲気。私は一番乗りでこの展示室に入ってしまったため、人間が誰もいなくて……コワかったです。

しりあがり達磨アップ

この後も、回転作品の展示が続いていたのですが、ダルマショックで呆然としてしまい、写真を撮るのを忘れてしまいました。三半規管が弱い私にはちょっとハードな展覧会でしたが、心身とも丈夫な人は相当楽しめると思います。

ちなみに、美術展では珍しく、本展では、ほとんどの作品が写真撮影OK、シェアしてもOK。なので、どんどんスマホで撮って楽しんでみてくださいね~!

Information

会期:~ 9月4日(日)※休館日は月曜日
時間:10:00 ~ 18:00 ※入館は30分前まで
会場:練馬区立美術館
料金:一般 800円/高校・大学生および65~74歳600円/中学生以下および75歳以上無料

http://saruhage.com/kaiten/