櫻井 智絵

【大人の部活で…】森博嗣さんの『少し変わった子あります』を、丸の内OLが読んでみた。

2016.2.12
丸の内に勤務する読書好きのOL・櫻井智絵が、自分が読んで「ああ、面白かった!」と思った本だけを紹介する連載【丸の内OLの給湯読書室】。第13回は、人気ミステリー作家・森博嗣さん著の『少し変わった子あります』を読んでみました。

本好きの大人が集まる『読書部』で出会った一冊!

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【丸の内OLの給湯読書室】vol.13 櫻井智絵

私にとって本は、心の充電器。その時々の気持ちの変化に合わせて読みたいものを選びます。とは言え、自分で選ぶと好きな作家さんだったり、同じような作品を選びがちでマンネリ化しちゃう……(そんなのイヤっ!)

そこで「そうだ、新しい本を探しにいこう!」と、本好きが集まる大人の部活『読書部』に参加してきました。いろいろな本を紹介してくださったなかで私が選んだのが本書。紹介者のTさん曰く、「表紙に惹かれ、少し変わってる目次があって、 ラストが本当に凄い……衝撃なんですっ!」読書好きにこんなに熱く語られたら読まないわけにはいられない。

小説家デビュー作『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞受賞した人気ミステリー作家森博嗣さんの 『少し変わった子あります』とは?

『少し変わった子あります』とは?

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あらすじは……

突然、後輩が行方不明になった。主人公の小山は、後輩が通っていた不思議な料理店に足を運ぶ。そのお店は、予約のたびに場所が変わり、店名やメニューはなく、必ずお一人様しか受け入れない。毎回接客してくれる女将と二度と会うことのない “少し変わった” 若い女性がいる。そこでは、一言も話さないときもあればたわいもない会話をし、ふと当てもない想像をしたり、“少し変わった” 女性とただ一緒に食事をする。

最初はひょっとしたら後輩の消息が分かるかもしれないという期待と好奇心を抱いていた小山だったが、いつしかそのお店の謎に引きずり込まれていく。料理を食べにきているのに、見知らぬ女性たちに気を取られてしまう。何故、後輩はあの店に通ったのだろうか。そして何故、行方不明になったのか。行くたびに、だんだんと静かに何かが押し寄せてくる。自分の中にある閉ざされていたものが心の奥底から溢れ出てくる。衝撃的なラストが味わい深い余韻を残す。

読み終えて……

誰かと一緒にいるのに、相手よりも自分との会話が多いときがあります。つまらないわけではなく、今の状況を冷静に分析してしまうそんな場面が本書に何度も出てきます。特に面白いのは、本文にある「人間って不思議ですよね。混み合った電車に乗ったときも、もの凄く他人と接近するのに、お互い知らん顔をするんです。声をかけたりしたら失礼だと思われる。息を殺して、自分だけの世界に集中する。」という箇所。

これ、すごくわかるんです。どこかで意識をしているのに頑張って知らない振りをする。例えば、合コンで最初は自己紹介やみんなで話せる話題をする。次第に前や隣にいる近くの人としゃべり始める。ふと気づくと話に入っていけない自分がいて、なんとなく携帯をみながらひっそりとその場をやり過ごす。

近くにいても遠い距離を感じ、1人じゃないのに孤独感でいっぱいになる。何でここにいるんだろうとその答えを見つけられないまま、またみんなの輪に自然と入っていることがあります。そのときは少し違和感を感じたのに、主人公の小山と同じように、また何かを求めて足を運んでしまうんです。(笑)不思議な店の、不思議な女性と、不思議な体験ができる本書でたっぷりと◯◯を味わってみて下さい。

最後に…

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ビール片手に好きな本を自由に語り合うちょっぴり贅沢な会。それが、大人の部活『読書部』。本が好き、カフェ巡りが好き、本を通して仲間づくりをしたい方。ジャンルは小説・エッセイ・漫画・絵本など何でもOK!

本の紹介は上手く出来なくてもぜーんぜん、大丈夫。初心者やリピートさんも多く、その都度みんなで和気あいあいと作り上げています。次回の開催日は、2016年2月20日(土)15時~17時。場所は、日本橋浜町にある『BOOKSHELF CAFE』さんです。

大人の部活は『読書部』の他に、『ワイン部』や『ゴルフ部』、『書道部』や『競馬部』など様々な趣味を共有した大人たちが集まっているそうです。“やっぱり仲間っていいよね” を合言葉に、好きなことを一緒に楽しめる仲間を見つけてみるのも面白いかもしれません♪


大人の部活はココからチェック↓
http://www.otona-bukatsu.com/

Information

スクリーンショット 2016-02-12 12.25.47 『少し変わった子あります』(文春文庫)¥534


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