見上愛が明かす素顔「佐藤寛太さんはいままでに出会ったことのないタイプ」
見上愛さん & 佐藤寛太さん
【映画、ときどき私】 vol. 644
好きになった“運命の人”を追いかけ続ける主人公・長谷部りのを演じているのは、注目の若手俳優である見上さん。Netflix「幽☆遊☆白書」や大河ドラマ「光る君へ」などの話題作に出演が続くなか、本作で初の映画単独主演を果たしています。
そして、相手役の甲野じゅんに抜擢されたのが「HiGH&LOW」シリーズや映画『正欲』などで、着実にキャリアを積み重ねている佐藤さんです。今回は、本作で初共演となったおふたりにお互いの魅力や「好き」という感情との向き合い方などについて、語っていただきました。
―見上さんは高校生のときから松居監督の作品を観ていたそうですが、ご一緒されてみていかがでしたか?
見上さん “鬼才”みたいなタイプかなと思っていましたが、すごく親しみやすい方で驚きました。
佐藤さん 確かに、友達のお兄ちゃんみたいな感じだよね。
見上さん でも、自分だけに秘めている“何か”があるというか。
佐藤さん そうそう、まろやかなんですけど、絶対に負けず嫌いだなと思いました。
―現場でスイッチが入るような瞬間もあるということですか?
見上さん いや、それがないのがすごいんです。誰と話していても、一定の温度感とテンションでまったく変わらない。
佐藤さん 本当にそうだよね。
監督にはどういう人間かを観察されていた
―監督自身は、ご自分の演出におふたりが戸惑っていたのではないかと感じているようですが、松居監督ならではのことなどもありましたか?
見上さん これはふたりで取材を受けている最中に気づいたことですが、監督は演出方法をそれぞれに変えていたようです。私には「自分はこう考えているんだけど、どう思ってやっていた?」とか「次のカットではこれがほしい」みたいにけっこう細かく指示があったんですけど、違ったんですよね?
佐藤さん 僕の場合はあまり具体的な話はせずに「じゃあ、とりあえずもう1回」みたいな感じでした。
―つまり、おふたりの性格を見抜いたうえで演出されていたと。
見上さん バレていたんですかね。
佐藤さん 絶対そうだと思いますよ!
見上さん 私はオーディションのときから、どういう人間かを探られていた気がしています。
―実際、監督はオーディションで見上さんを観察していたそうですが、「生物として理解が追いつかなかった」ともおっしゃっているようです。
見上さん やっぱりそうだったんですね。恋愛や友達の話などのプライベートなこともけっこう聞かれて、メモも取られていましたが、私の答えに理解できていない顔をされていたので(笑)。手ごたえはなかったものの、オーディション自体はすごく楽しかったです。
見上さんは役とシンクロしているように感じた
―佐藤さんは松居監督にDMを送られたことがきっかけとなったそうですが、経緯をお聞かせください。
佐藤さん 友人でもある金子大地くんが出演している松居監督の『手』という作品を観たときに、「いつか松居監督と仕事したいな」と考えているうちに「よし、DM送ろう!」と思いついて送ってしまいました(笑)。でも、監督にDMを送るのは初めてで、それ以降もしていません。返事が来たときは、めちゃくちゃうれしかったです。
―そこから受ける佐藤さんの不器用な感じもキャスティングにつながった理由だったとか。
佐藤さん でも、周りからは「DMより手書きのほうがよかったんじゃないの?」と言われてしまいました。なので、筆で手紙を書いてみましたが、監督が受け取ってくれないんですよ(笑)。次会ったら、絶対に渡します!
―では、お互いの印象や魅力についても教えてください。
見上さん 現場では佐藤さんがずっとしゃべっていて、そこにメイクさんや衣装さんがツッコんでいく感じでしたが、それが面白かったです。あとはいきなり道にある野イチゴを食べ出したり、突拍子もない行動を時々されるので、何もしていなくても視界に入ってきちゃう感じでした。(笑)。佐藤さんは、いままで出会ったことのないタイプです。
佐藤さん 年上の方にはよく言われますが、ついに年下からも…。でも、年齢を意識したことなかったよね?
見上さん はい、年上だったの忘れていました(笑)。いつもはだんだん打ち解けていく感じですが、初日に佐藤さんから「敬語はやめよう」と言ってもらったので、人見知りの私には珍しいパターンだと思います。
佐藤さん よかったです。見上さんの印象は、フルパワーだけどちょっと陰な自分を認めているところが役とシンクロしているように感じました。
見上さん 共演した青木柚くんにも同じことを言われましたが、それは自分でもすごく納得です。
運命の出会いを信じている
―りのは「好き」という気持ちにまっすぐ突き進んでいきますが、おふたりは好きな人や物を前にしたときどのような行動を取られますか?
佐藤さん 僕も同じで、「好きです!」しかありません。
見上さん 確かに似てるよね。現場でも、青木くんの隣で「好き」って毎日言っていて、りのみたいでした(笑)。
佐藤さん ないものねだりなのか、塩顔系でオシャレな感じがうらやましくて。
見上さん 私の場合は、好きになる対象が物だったらすぐに行けちゃいます。人だと男女問わず相手との関係性をはかってしまうので、なかなか難しいですね。憧れの女優さんと一緒になってもモジモジして何も言えなくて、ある程度してからやっと伝えられる感じです。
佐藤さん 僕だったら、すぐに言っちゃう(笑)。
見上さん そういう人へのうらやましさはありますが、私は無理だと思います。
―ちなみに、運命の出会いは信じているタイプ?
佐藤さん はい、めっちゃ信じています! 「袖振り合うも他生の縁」ですから(笑)。
見上さん あはははは!
すべての出会いはご縁だと思っている
―劇中でもさまざまなシチュエーションでの出会いが描かれていますが、理想の運命の出会い方もありますか?
佐藤さん 僕が憧れるのは、映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』のシチュエーション。列車のなかで知り合った男女がベッドをともにすることなく、朝日が昇るまでパリの街をデートしたりするんですけど、一目惚れした相手とワクワクしながら1日を過ごすとかしてみたいです(笑)。
見上さん 私もすべてはご縁だと思っていますし、会った瞬間に仲良くなれるかわかるので、そういう人と出会えると“運命”って感じでうれしいです。河合優実ちゃんは大学が一緒というのもありましたが、「いまを逃しちゃダメだ!」と思って勇気を出して話しかけて友達になりました。ただ、恋愛になるとできないので、働く“センサー”は同じでも、行動が違うのかもしれません。
佐藤さん ちなみに、最近僕は人に会いに行くときに走っていくようにしています。
見上さん えっ!? もしかして、りのを見習って?
佐藤さん そうです。これは本当だからね!
見上さん でも、私だったら「遅刻をそんなに気にしなくてもいいのに」って思っちゃうかも(笑)。
佐藤さん 確かに、遅れてる前提だね…。
―おふたりも本作で共演されたことは、ある意味“運命の出会い”だったと思いますが、次はどんな役で共演してみたいですか?
佐藤さん 絶対に再共演したいよね。
見上さん いとこ同士とかどうかな? お正月に集まる親戚の1日を描いたドタバタ劇とか。
佐藤さん コメディいいね!
見上さん・佐藤さん 松居さん、ぜひお願いします(笑)。
自分に対しては負けず嫌い
―楽しみにしています。また、りののように「誰にも負けないくらい好き」と言えるくらいハマっているものがあれば、教えてください。
佐藤さん 上には上がいるので難しいですが、キックボクシングもバイクも山登りも好きです。
見上さん 私は勝ち負けの感情に左右されないように、勝負に立たないようコントロールしていますが、好きなものといえばアニメかなと。
佐藤さん それで言うと、僕は自分に対して負けず嫌いかなと思います。「あのとき準備しておけばよかった…」というのが最悪ですからね。なので、「朝起きたらランニングして、昼はヨガ、夜ご飯を食べたらキックボクシングからのカフェ」みたいなことをできるように考えます。
見上さん すごい!
佐藤さん って思うんだけど、実際は無理ですよ(笑)。週に1回くらいは成功するときもあるけど、夜は誰かとお酒飲みに行っちゃったりするので。そういうときは「朝の俺に負けた」とちょっとだけ悔しい思いをしています。
「みんなでのんびりと生きていきましょう」と伝えたい
―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。
見上さん 「みんなでのんびりいきましょう」と言いたいですね。私も家に帰ってから何もせずにボーっとしたり、ソファや玄関で寝落ちしたりするときもありますが、それもいいんじゃないかなと。だって、みなさんがんばってますから。
佐藤さん 本当にそうだよね。さっき言ったことと矛盾するかもしれませんが、自分を許すのはすごく大事だと思います。僕も実は自分にめちゃくちゃ甘いですから(笑)。人をステータスで見だしたらきりがないので、そういうものは追わずにのんびりと生きていきましょう!
インタビューを終えてみて…。
正反対な部分はありつつも、息ピッタリの絶妙なコンビネーションを繰り広げていた見上さんと佐藤さん。終始笑いが絶えないやりとりを見ているだけで、「楽しかった」と振り返る現場の様子も想像できました。本作では胸がキュンとするようなおふたりのさまざまな表情や魅力が詰まっているので、ぜひスクリーンで堪能してください。
人を好きになる気持ちは、誰にも止められない!
ときにはカッコ悪い姿を見せてしまうこともあるけれど、大切なのは相手への想いをまっすぐに伝えること。「好き」という気持ちが放つエネルギーの力強さを全身で受け止めることで、自分のなかにも込み上げてくるものを感じられるはずです。
写真・園山友基(見上愛、佐藤寛太) 取材、文・志村昌美
見上愛 ヘアメイク・豊田健治 スタイリスト・下山さつき
ドレス¥19,580(ゴスペル)、ジャケット¥34,980(シスター ジェーン)、リング¥85,800(バランス)問い合わせ先(ザ・ウォール ショールーム/03-5774-4001 https://www.thewall.co.jp)
佐藤寛太 ヘアメイク・Kohey スタイリスト・平松正啓(Y’s C)
ストーリー
長谷部りのが“運命の相手”と信じて追いかけるのは、甲野じゅん。ところが両想いになった瞬間に、じゅんはこの世界から忽然と消えてしまう。そんな2人は人生のなかで何度も出会い、そのたびにりのは「好き」と伝え、両想いになってはじゅんが“消える”という出来事を繰り返していた。それでも諦めないりののどこまでも真っすぐな「好き」が起こす奇跡とは…。
続きが気になる予告編はこちら!
作品情報
『不死身ラヴァーズ』
5月10日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:ポニーキャニオン
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(C)2024不死身ラヴァーズ」製作委員会 (C)高木ユーナ/講談社