田代 わこ

1400年以上も尊敬され続けた…日本を代表する偉人、聖徳太子の秘宝が降臨!

2021.8.8
東京・上野の東京国立博物館で特別展『聖徳太子と法隆寺』が開かれています。日本の紙幣にもっとも多く使われ、生前から現在にいたるまで1400年以上も尊敬され続けてきた偉人、聖徳太子。奈良・法隆寺からおでましになった太子の珍しいお像や貴重な国宝をご紹介します。

どんな展覧会?

【女子的アートナビ】vol. 217

聖徳太子1400年遠忌記念 特別展『聖徳太子と法隆寺』では、法隆寺に伝わる太子の肖像や遺品とされる宝物、奈良からめったに出ることのない国宝の仏像など、貴重な文化財を展示。厳かな空間で聖徳太子1400年の歴史を感じることができます。

聖徳太子とは、どんなお方だったのでしょう?

謎の部分も多いようですが、一般的な説によると太子は574年に用明天皇の子として生まれ、仏教を深く学び、推古天皇の時代に政治を補佐。冠位十二階や憲法十七条を制定して日本の仕組みを整え、遣隋使の派遣、法隆寺の創建などにより仏教を広めるなど、文化的な基盤も築いた偉人といわれています。

生前から人々に敬われていた太子は、622年に薨去されたあと崇拝の対象となっていきます。

平安時代に入ると、太子は観音菩薩の生まれ変わりとされ、そのお姿が絵画や彫刻で表されます。その後も「太子信仰」はさまざまな形で現代まで受け継がれています。

奈良にいても見られない…必見の秘宝

会場では、聖徳太子のお姿を表した作品がたくさん展示されています。

例えば《聖徳太子立像(二歳像)》は、太子がかぞえで二歳のとき、お釈迦さまのご命日に東方を向いて合掌され「南無仏」と唱えた…という伝説にちなんでつくられたお像です。

太子のお像のなかでも代表作といわれるのが、聖徳太子の500年遠忌につくられた国宝《聖徳太子および侍者像》。

ふだん奈良にいてもなかなか拝観することのできない秘仏で、法隆寺以外で公開されるのは27年ぶりという貴重な作品です。

聖徳太子は威厳に満ちたお姿で表されていますが、左右に配されている侍者たちの顔はちょっとユーモラスでほのぼのとした雰囲気。この機会に、近くでじっくりと拝みたい作品です。

神秘的なお姿が美しい…!

もう一点、見逃せないのが飛鳥時代を代表する仏像で、国宝にも指定されている《薬師如来坐像》。

こちらは単体で展示されているので、正面だけでなく後ろ姿も含めて全面を見ることができます。

目を見開き、口元には微笑みを浮かべ、お顔立ちはとても神秘的。裳懸座 ( もかけざ ) という台座にかかる着衣の文様が鮮やかで、飛鳥時代の様式美を感じられるお像です。

日本を見つめ直す

奈良に行ってお寺巡りをしていても、特別公開日などでない限り、秘宝とされる仏像にはなかなかお目にかかることができません。今回の展覧会のように、寺外公開として博物館などにおでましになったときが拝観する絶好のチャンスです。

1400年以上も人々に敬われ、心のよりどころとなっていた聖徳太子。その美の世界に触れることで、日本の文化やこの国のあり方について、改めて見つめ直すきっかけとなるかもしれません。

特別展『聖徳太子と法隆寺』は9月5日まで開催。

取材・文:田代わこ

Information

会期    : ~9月5日(日)会期中展示替えあり 
 前期:2021年7月13日(火)~8月9日(月・休)
 後期:2021年8月11日(水)~9月5日(日)
 ※休館日:月曜日 ただし、8月9日(月・休)は開館し、8月10日(火)は本展のみ休館
会場    :東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間  : 9:30~17:00 ※いずれも入館は閉館の30分前まで
観覧料   :日時指定予約による事前予約制【前売日時指定券】一般 ¥2,100、大学生¥ 1,300、高校生¥ 900【当日券】一般¥ 2,200、大学生¥1,400、高校生¥ 1,000 ※中学生以下無料 

ウェブサイト: https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/ 
※最新情報は、美術館のウェブサイトをご確認ください。