「日本でインスピレーションを得られた」世界注目の巨匠KAWSが語る20年の軌跡
どんな展覧会?
【女子的アートナビ】vol. 215
『KAWS TOKYO FIRST』では、世界が注目するアーティストKAWSの初期から最新作までの絵画や彫刻、プロダクトなどを展示。さらに作家が所有するプライベートコレクションも紹介され、創作の源泉も知ることができる展覧会です。
KAWS(本名:ブライアン・ドネリー)さんは1974年アメリカ生まれ。ニューヨークの美術学校で学び、アニメーターとして3年間勤務。
1990年代前半にグラフィティライターとして注目されはじめ、バス停や電話ボックスの広告にキャラクターを描いた作品などが人気となり、アメリカだけでなくヨーロッパや日本でも知られるようになります。
彼の代表作は、目の部分が×印になっているキャラクターたち。みんなが知っている「ねずみ」や「犬」などのキャラクターを書き換えた遊び心いっぱいのパロディ作品を次々と生み出し、世界中の人たちを魅了しています。
また、ユニクロやア ベイシング エイプ、ディオールなどブランドともコラボ。絵画や彫刻から、ストリートアート、グラフィックデザイン、プロダクトデザインまで、幅広いジャンルで活躍されています。
報道内覧会では、来日中のKAWSさんが登壇。展覧会への想いや日本とのつながりについて語りました。
日本で得られたものは…?
KAWSさんの初来日は1990年代の半ばごろ。それ以後40~50回は来日しているというかなりの親日家です。
90年代後半は日本のストリートカルチャーが発展していった時期。KAWSさんは裏原系のファッションリーダーNIGO®さんなど多くの方々と交流を重ね、作品やプロジェクトを生み出していきます。日本のストリートカルチャーが自身に与えた影響について、次のように語りました。
KAWSさん 日本に来ることで、さまざまなインスピレーションを得ることができました。日本は、私がそれまで知っていた世界とはランドスケープが違っていました。当時は新しいものが始まっていく時代。日本の友人たちとワクワクを共有でき、いつもとても楽しくて、実験的なこともいろいろできました。日本のストリートカルチャーが活動の場を広げ、ファッションブランドに影響を与えていくのを見ることができ、その時代に関われたことを幸せだと思っています。
展覧会名に込められた想い
今回の展覧会名「KAWS TOKYO FIRST」は、20年前に渋谷で開かれた初個展と同じタイトルです。なぜ同じものにしたのか、その想いを語りました。
KAWSさん このタイトルに落ち着いたのは、私のなかでひとつのサイクルが終わったと感じたからです。2001年に東京で初個展をしてから多くの変化がありました。その個展がベンチマーク的な意味をもっており、今回同じタイトルにすることで、原点に戻れるのではないかと考えたのです。
プライベート空間を披露した理由
会場では作家のアトリエの一部が再現され、プライベートコレクションも展示されています。その理由を次のように述べています。
KAWSさん 私は常々ほかのアーティストのことをもっと知りたいと考えていました。私が毎日どういったものと暮らしているのか、何に興味があるのか、見ていただきたいのです。自分の個人的なスペースをみなさんと共有する場をもちたいと考えたのです。私の所有するコレクションを見て、ほかのアーティストの作品を気に入ったら、ぜひ調べてみてください。
特に見てほしいところは?
最後に、展覧会で見てほしいところを語りました。
KAWSさん この展覧会では、私の全体のストーリーを来場者の方と共有できるのが意義深いところです。私がこれまでどんな点に興味をもっていたのか、作品はどこから始まり、どこまで来ているのか、その変遷もご覧いただきたいです。20年間の興味の変遷と洞察を、ぜひ受け取っていただければと思います。
また、コロナの状況であっても展覧会に来てくださる方に感謝の気持ちを伝えたいと思います。日本に来るのは毎回おもしろい体験で、日本にいられることも光栄で、これからも来続けたいです。そして友人である横尾忠則さんの美術展も都内でやっているので、ぜひそちらにもお出かけください!
グッズも注目!
展覧会の特設ショップでは、限定商品やブランドとのコラボ商品など注目商品が並んでいます。
特に目を引くのが、「名菓ひよ子」とのコラボ。ひよ子ちゃんの目が×印になっていてかわいいです!
一部の商品はKAWS TOKYO FIRSTオンラインストアでも販売される予定なので、ぜひ公式サイトをのぞいてみてください。
『KAWS TOKYO FIRST』は10月11日まで開催。
取材・文:田代わこ
Information
会期 : ~10月11日(月) ※休館日:8月5日(木)
会場 :森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
開館時間 : 10:00~20:00 ※入館は閉館の30分前まで
観覧料 :平日一般¥2,500、高校・大学生¥2,000、小・中学生¥900、土日一般¥2,800、高校・大学生¥2,300、小・中学生¥1,200 ※全日日時指定制 ※未就学児無料 ※詳細は公式サイトをご確認ください
ウェブサイト: https://www.kaws-tokyo-first.jp/
※最新情報は、美術館のウェブサイトをご確認ください