冨嶽三十六景の大波が揚げ油に!? 「しりあがり寿×葛飾北斎」の脱力系アート
遊び心がいっぱい!
【女子的アートナビ】vol. 208
本展では、人気漫画家でアーティストのしりあがり寿さんと葛飾北斎が時代をこえてコラボ。しりあがりさんは、2018年に北斎の「冨嶽三十六景」のパロディ作品「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」をすみだ北斎美術館の展覧会で発表。今回はそれらの作品に新作も加え、約160点が紹介されています。
北斎の浮世絵をしりあがりさんが楽しく解釈したパロディ作品は、どれも思わずニヤリとしてしまうものばかり。遊び心がいっぱいで、コロナ禍でトゲトゲしくなりがちな気分をもみほぐしてくれます。
ちょっと笑える…
それでは、展示作品からいくつかピックアップしてご紹介。
まずは、北斎のもっとも有名な作品、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》をご覧ください。うねる大波のなかに小舟が浮き、その奥に富士山が見えます。
いっぽう、しりあがりさんのパロディ作品《ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た富士山》では、北斎作品の「大波と富士山」を「太陽フレアと地球」に変換。太陽のフレア越しにある地球をよく見ると、日本列島のなかにちゃんと富士山も描かれています。
しりあがりさんの新作、《ポテトチップス六景 揚げたて》も要チェック。これはポテトチップスの作り方を浮世絵風に描く特別シリーズで、北斎の「大波」が「揚げ油」に変換され、そのなかに薄切りのポテトが浮かんでいます。ちょっと笑える、ゆるい感じが楽しいです。
ちなみに、北斎生誕260年を記念して、2020年には期間限定で「すみだ北斎美術館監修 ポテトチップス うすしお味」がカルビーから発売され、しりあがりさんのパロディ作品もパッケージに採用されました。その全4パッケージも展示されています。
絶叫マシーンも登場!?
もうひとつ、楽しい作品をご紹介。まず、写真右側にある北斎の錦絵《諸国瀧廻り 美濃ノ国養老の滝》(パネル)をご覧ください。岐阜県養老郡養老町にある有名な滝を描いたもので、垂直に流れ落ちる滝や水しぶきなど、さまざまな水の表情が表現されている名作です。
しりあがりさんのパロディ作品《諸国瀧廻り アトラクション》では、滝が絶叫マシーンのアトラクションに変換されています。マシーンに乗って楽しそうに手をあげているのは、和服を着た江戸の人たち。見ているだけでほのぼのします。
3階ホワイエでは、しりあがりさんのセンスで北斎作品をアレンジしたアパレルコレクションを展示。北斎の「諸国瀧廻り」シリーズをもとに作られた「瀧廻りポンチョ」や「飛沫どころか瀧マスク」など、今の時代や世相をクスッと笑い飛ばせるようなゆる~い作品が並んでいます。
コロナ疲れをちょっと癒してくれる展覧会は7月10日まで。
Information
会期 :~7月10日(土)
会場 : すみだ北斎美術館
開館時間 :9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日 : 月曜日
観覧料 : 一般¥1,000、高校・大学生¥700、65歳以上¥700、中学生¥300、小学生以下無料
ウェブサイト: https://hokusai-museum.jp/sansan/