不動産会社の女性経営者が教える! プロなら選ばない、意外とお金がかかる「賃貸物件のNG間取り」

文・市岡彩香 — 2024.9.28 — Page 1/2
物価の高騰が止まらない今、毎月かかる出費はできるだけ抑えて暮らしたいですよね。今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに「光熱費を節約できる間取り」をテーマにお話をお伺いしました。プロからのアドバイス、ぜひ物件選びのヒントにしてください。

不動産会社の女性経営者が教える! プロなら選ばない、意外とお金がかかる「賃貸物件のNG間取り」

【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.75(最終回)

不動産 賃貸 NG 間取り

――賃貸物件に住む際、節約したい人が”費用面”において知っておくべきこと、気をつけることはありますか?

平出さん ひとり暮らし用の物件の場合、初期費用は家賃のおよそ4~5倍の金額がかかります。入居時には、敷金礼金に加えて前家賃、仲介手数料、火災保険料、保証会社の利用料や鍵交換費用など、契約時にかかる初期費用が必要となるため、支払う直前になり「初期費用の用意が間に合わなかった…」とならないためにも、家賃の5倍はかかると見積もっておいた方がいいです。初期費用を抑えるために、敷金礼金無料やフリーレント付きの物件を希望される人も多いのですが、初期費用が安い代わりに賃料が上乗せされて相場より高く設定されている場合もありますので注意するようにしてください。「安いと思ったけどむしろ割高になってしまった」と後悔してしまう人も。初期費用だけで判断せず、初期費用+2年間の合計を出して比較すると、本当にお得な物件なのか比べやすいですよ。

――ひとり暮らしの場合、どれくらいの家賃の物件を選ぶべきでしょうか。

平出さん 家賃は手取り月給の30%が目安です。30%を超えると、家賃が負担になると感じてしまう人が多いと思います。初めてひとり暮らしの物件を探す人は、まず家賃の相場を聞いてから住むエリアを決めるのがおすすめ。都内の場合、都心に近いほど家賃は高くなりますし、都心から離れるほど家賃は安くなり、都心から離れていても交通の便が良く特急や急行が止まる駅は家賃の相場がやや上がります。築年数が浅い物件も家賃が高く、古い物件ほど家賃が安くなる傾向があります。人気のエリアは家賃が高くなりますが、都内には人気がなくても住みやすい駅はたくさんありますので、インターネットや不動産会社に聞いて情報収集しておくと見つけやすいです。

――節約目線で物件をチェックしたい場合、”選ばないほうがいい間取り”を教えてください!

NG1.「日当たりや風通しが悪い間取り」

平出さん 窓が大きく日当たりがいい物件は、冬でも日光を多く取り入れられるため、昼間に照明を使わず、暖かいので冬場でも暖房費を節約できます。また湿気がこもりやすい部屋ですと、エアコンとは別に除湿器を使わなければならないなどコスパが悪い場合も。風通しがいい部屋であれば、湿気や熱を逃がせるため、夏の冷房費を抑えることにつながります。

NG2.「広いワンルーム、吹き抜けのある間取り」

平出さん ワンルームで空間を仕切るドアがなかったり、デザイナーズ物件に多い、高い天井の吹き抜けやメゾネットタイプは、オシャレで人気の間取りではあるものの空間面積が大きいため、エアコン代がかさむデメリットがあります。そのため電気代を考えるとおすすめできません。お部屋が区切られていたり、空間が小さくなるほど冷暖房の効率はよくなります。

NG3.「断熱性能が低い構造の物件」

平出さん  電気代が1番かかるのはエアコンです。そのため、断熱性能の高い構造を選ぶことで冷暖房費を節約することができます。厚い素材でできているほうが断熱性が高く、一般的に断熱性が高いのは鉄筋コンクリート造、次に鉄骨造、木造の順番です。昔、古い2階建ての木造のアパートの2階に住んでいたことがあるのですが、屋根がトタン屋根で、夏はかなり暑かったです。今なら絶対に選ばない物件です(笑)。

また窓が最も外気の影響を受けやすいのですが、二重サッシや複層ガラスになっていると、さらに断熱効果が高まるため電気代の節約につながります。また、古い年式のエアコンは最新の省エネタイプと比べると電気代がかさむので、内見の際にエアコンの年式の確認も行うようにしてください。

NG4.「駅から遠い物件」

平出さん 駅から遠い物件の場合、バスやタクシーなどの交通費がかかることになるので、通勤や通学で毎日交通費を使う人は注意が必要です。雨や雪の日は駅まで行くのに大変ですし、余計に交通費がかかってしまう可能性も。できれば駅から徒歩10分以内の物件がおすすめです。

――他に、節約目線で物件をチェックすべきポイントはありますか?

平出さん 費用面を重視して物件を選ぶなら、シャワー室のみ、ベランダなし、浴室乾燥機なし、エレベーターなしなど、”あったほうが便利だけどなくても生活できる”という条件は含めずに最低限の条件のなか物件を探します。設備がシンプルであれば家賃が低くなるのはもちろん、光熱費も抑えられるので、希望条件は少なくした方がいいです。

また私がこれから物件を探すなら、費用面での節約はもちろんですが、コスパだけではなくタイパを考えて、通勤時間が短い、掃除の手間がかからない、宅配ボックスや24時間ゴミ置き場があるといった、時間にゆとりができる物件を選びます。忙しい毎日で時間に余裕がないと、コンビニや外食で費用がかさんでしまったしまったり、ストレス解消に買い物をしたりと、結果的に散財してしまうことに繋がると思うからです。


楽しいひとり暮らしを始めるために、慎重な物件選びを

いかがでしたか。物件探しは、慎重に丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてください。

教えてくれた人
株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん

平出雅美


宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。
東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。


文・市岡彩香
anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。


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