不動産会社の経営者が教える! 中古物件内覧時の「チェックポイントとNG行動」
売り主が居住中の物件を内覧するときの注意点
――中古マンションは、売り主が居住中のまま売り出されることが多いですよね。無人の物件を内覧する場合と比べ、どのような点に留意しておけばいいでしょうか。
石岡 内覧日にはできるだけ、売り主さんに同席してもらいましょう。内覧でチェックすべき大まかな箇所としては、下記の3つが挙げられます。
- 建物の外観・管理状態
- 周辺環境
- 室内
これらについて間取り図だけではわからない細かな点についての質問も、売り主さんであれば、明確に答えてくれるでしょうし、よく利用するスーパーや、保育園や小学校など学区の情報など、生活に根差したリアルな声を聞くことができるのも大きなメリットです。
その物件に移り住んだ後の暮らしがよりイメージしやすくなるので、断然、同席してもらったほうがいいと思います。
――同席していただくことを前提として、とくに気をつけておいたほうがいいことはありますか?
石岡 それでは、下記にまとめて説明します。
POINT1 マナーを守る
内覧する際は、売り主さんに対して挨拶と自己紹介を忘れずに行いましょう。購入することになった場合、契約や交渉などで関わっていくことになる相手なので、悪い印象を与えないことが大切です。
また内覧に大人数で行くのは失礼となるため、必要最低限の人数に絞りましょう。
とくに小さなお子さんがいると、ゆっくり内覧できないばかりか、壁や床、家具などに傷をつけたり汚してしまったりする可能性もあるため、できれば大人だけで行くことをおすすめします。
限られた時間でいろいろな箇所を見たい気持ちはわかりますが、閉まっている部屋のドアや収納家具の扉を勝手に開けてスマホなどで撮影したり、メジャーで採寸したりするのもNGです。
撮影や採寸したいときは、必ず売り主さんの許可を取ってから行ってください。「他人の家にお邪魔している」ということを忘れず、礼節をわきまえた行動を心がけましょう。
なお、間に不動産会社がいる場合、売り主に対して直接、値引き交渉等をすることもマナー違反となります。
POINT2 見せてもらえない部屋があるときは注意する
内覧中、売り主から「この部屋は見せられません」と言われるケースがあると思います。プライバシーの観点から、見せたくない場合もあるでしょう。
普通に使用されている部屋であれば問題ないのですが、なかにはゴミが散乱した、いわゆる「汚部屋」であったり、部屋の四隅にお清めの塩が置かれていたりと「ワケアリ部屋」の場合があるので注意が必要です。
私が担当した物件で、お子さんが十数年にわたって引きこもっている汚部屋のため、「見せられない」と断られたことがありました。
さまざまな理由から長らく汚部屋だった場合、床の腐敗やカビ・害虫の発生などが懸念されます。また、お清めの塩が置かれている部屋も、その理由が気になってしまいますよね。
見せてもらえない理由が明確でない場合、またその理由が気にかかる物件は、選ばないほうが無難かもしれません。
POINT3 売却理由を聞く
売り主さんには、物件を売却する理由を必ず聞くようにしてください。
理由は、下記のようにさまざまだと思います。
家族が増えて手狭になった
転勤や転職などで通勤が困難になった
結婚して夫あるいは妻の持ち家に住むことになった
離婚で財産分与のために現金化したい
相続したけれど住まないから手放したい、など
このなかで、離婚や相続が原因の場合、やや注意が必要です。
夫婦2人で折半したり協力したりして購入した不動産は「共有財産」、結婚前に購入していた不動産は「特有財産」ということになります。
離婚時に財産分与の対象となるのは「共有財産」のため、どちらに分類されるのか、不動産の登記簿に記載される所有者名義を事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
というのも、夫婦共同名義の物件の場合、一方が売却を希望していても、もう一方の気が変われば「売りやめ」になってしまう可能性があります。
また相続した物件の場合も、法定相続人が複数いる場合、全員が了承しなければ売却することができず、内覧したにも関わらず、後になって「売りやめ」となり、購入できない場合があるのです。
不動産選びの時間と労力をムダにしないためにも、内覧時にしっかり売却理由を聞いておくことをおすすめします。
Information
<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。
https://www.youtube.com/watch?v=r_CAWia41ow
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取材、文・髙倉ゆこ
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