実は略語でした! 「ワイシャツ」、もともとの名は何でしょう?
【実は略語】vol. 3
「ワイシャツ」って、何の略?
制服や背広の下に着るワイシャツ。白が基本の色ですが、売り場に行くとブルーやピンク、チェックやストライプなどカラフルな柄もあり、TPOに合わせて選べるようになっています。
ショップでも当たり前のように使われている言葉「ワイシャツ」も、実は略語。
では、いったい何の略でしょう?
ワイシャツ、もともとの名は…?
ワイシャツ、もともとの名は「ホワイト・シャツ」でした!
『世界大百科事典』(平凡社)によると、ワイシャツは英語のwhite shirtが転訛(※本来の発音がなまって変化)した言葉。
ホワイト・シャツは明治時代に一般の人たちでも着られるようになり、大正時代にはすでに「ワイシャツ」という名称が定着しました。
ちなみに「Yシャツ」と書くこともありますよね。これはなぜだかご存じですか?
「Tシャツ」という名称が、袖を広げた形がTの字に似ていることからつけられたのと同じように、Yシャツも首の部分がYに見えるから、と思われた方がいるかもしれません。
筆者もそう思っていましたが、『広辞苑』(岩波書店)を調べてみたところ、「Yシャツ」は当て字ということが判明。ホワイトとは何の関係もないYが定着しているという点も、なかなかおもしろいです。
カッターシャツは?
西日本では、ワイシャツのことを「カッターシャツ」と呼ぶ方もいます。例えば、中国地方のクリーニング店で「カッターシャツ特価100円」などという広告を見かけたことがあります。
この「カッター」、いかにも外国語からきた言葉のように思えますが、実は「勝った」をもじったもの。
『日本国語大辞典』(小学館)によると、スポーツ用品メーカー美津濃(現名ミズノ)の元社長さんがつくった言葉で、もともと「カッターシャツ」は商標名でした。
英語ではどういうの?
では、英語圏でワイシャツを買いたいとき、何といえばいいのでしょう。おそらく、「ワイシャツ」も「カッターシャツ」も通じないと思います。
正解は、シンプルにshirt だけでいいようです。
さらに、men’s dress shirts やmen’s business shirtsなどにすると、よりワイシャツに近づきます。また、ネットショップではformal shirtsという表記もありましたので、これらの単語を使えばワイシャツを探せると思います。
ワイシャツは「ホワイト・シャツ」!
ワイシャツは、英語のwhite shirtが転訛した言葉でした。
確かに、英語ネイティブの方が早口で話すwhiteは、「ホワイト」より「ワィト」に近く、shirtと続けて発音すると、whiteの最後の「ト」はほとんど聞こえないかもしれません。
明治~大正時代の人たちが日本語として発音しやすくしてくれた「ワイシャツ」。白色でないワイシャツも増えている今、むしろ「ホワイト・シャツ」でなくてよかったのかもしれません。
意外な略語はまだまだあります。次回もお楽しみに!