国際結婚を乗り越える方法を学ぶ! 『最高の花婿』監督に直撃インタビュー!
フランスでは、なんと5人に1人が観た空前の大ヒット作『最高の花婿』!
【映画、ときどき私】 vol.26
フランスのロワール地方に暮らすヴェルヌイユ夫妻には、“ある悩み” があった。それは、4人の娘のうち、3人の娘たちが次々とアラブ人、ユダヤ人、中国人と国際結婚をしてしまったこと。そして、そのたびにさまざまな宗教儀式や文化の違いにとまどい、ついには疲れ果ててしまっていた。
残す希望は、末娘ただ一人!
そんな両親の想いが通じたのか、末娘がカトリック教徒の男性と婚約することになり、大喜びするヴェルヌイユ夫妻。しかし、2人の前に現れたのは、コートジボワール出身の黒人青年だった。
しかも、彼の父親は大のフランス人嫌いで、当然フランス人女性との結婚にも大反対! はたして、“色とりどりの家族” が迎える最高の結末とは……?
初来日のフィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督を直撃!
今回のインタビューでは、映画についてだけでなく、現在アフリカ系女性のフィアンセがいる監督自身の経験(ちなみに、元奥さまと再度ご結婚するそうです)や、フランスでの国際結婚事情などについても、語っていただきました。
まず、日本で公開されることになったいまのお気持ちは?
ー日本公開を前に、いまのお気持ちをお聞かせください。
監督 とても誇りに思っています。「この作品が日本で公開されないかな」とずっと待ち続けていました。146カ国目として、ようやく日本での公開が決まったんですよ。
なんと、フランスは国際結婚率が世界1位!
ーフランスでは国際結婚も一般的になっていると思っていましたが、この作品が大ヒットしたということは、いまでもフランス人の方々は国際結婚に対して問題を感じている部分があるのでしょうか?
監督 そうですね、まだそれほど一般化されていることではないんですよ。結婚というだけでも、すんなりと行くものではないというのは、万国共通だと思うんですけど、さらに異人種間での結婚となれば、ちょっとした緊張関係が生まれるものですよね。しかも、フランス人は移民を受け入れる寛容さがありながら、人種差別の部分もあり、二重人格っぽいフランス人社会があるので、それを映画に描きたかったのです。なので、フランスでも、まだまだ国際結婚の状況はシンプルではなく複雑です。
国際恋愛のいい点とは?
ー私も経験がありますが、国際恋愛では、違いを楽しんだり、学んだりすることができますし、お互いのことを知ろうとより努力をするので、ある種の絆が生まれると感じています。監督自身も国際結婚を経験されて、どのような点がよかったと思いますか?
監督 映画に登場する4人の花婿たちは、人種や宗教は違うものの、フランス社会で生きてきて、フランスに同化した異人種なので、一般的な国際結婚とは少し違うかもしれません。僕自身は、あえてアフリカ人であることを意識せずに彼女と付き合ってきました。まず、違いがあれば、それを受け入れようとする努力が必要ですね。ただし、フランスで育ったこともない異文化の人と付き合うとしたら、より難しくなるとは思います。
では、どうすれば国際結婚での問題を乗り越えられると思いますか?
ー文化や習慣の違いなど、国際結婚をめぐる問題はいろいろあると思います。どのように乗り越えればいいのでしょう?
監督 食べ物も違いますし、努力は必要になると思います。特に大変なのは、家族の問題だと思いますが、寛容で感じのいい両親たちじゃないと難しいかもしれませんね。あと、国が違う場合は、どちらかの国に決めないといけないので、母国を離れないといけない人は辛いかもしれないですね。
フランス人男性について教えてください!
ー日本でも国際結婚に興味のある方は増えています。日本人女性の間でもフランス人男性は人気が高いと思うのですが、私たち日本人女性にフランス人男性はオススメですか?
監督 フランス人男性が人気なのは知らなかったですが、もちろんです(笑)! ですが、みなさんは、フランス人男性というと、レディファーストでジェントルマンだと想像しているかもしれませんが、みんながそうではないですよ(笑)。ちゃんと選ばないとだめですよ!
フランス人男性にとって、日本人女性のイメージはありますか?
ーフランスの男性の目には、日本人女性はどう映っていますか?
監督 とてもキレイですね(笑)。 男性社会でがんばっている女性も多くいると思うので、日本女性は開花しているイメージです。
ーちなみに、日本女性は結婚したいタイプ? 彼女にしたいタイプ? それとも友達?
監督 僕はいまフィアンセがいるので、友達にしておきます(笑)。 インターネットで全部情報が流れる時代で、もし彼女が読むとまずいので……。
フランスでの嫁姑問題とは?
ー今回は、国際結婚をする娘に悩む両親の姿が描かれていましたが、息子が他の国の女性と結婚する場合はどうでしょうか? フランスでも、日本のように嫁姑問題はありますか?
監督 映画のなかでは、愛する娘たちがみんな異人種との結婚をしてしまうことで、父親が悩むという設定なのですが、もし息子たちになれば、母親がより悩むということになるでしょうね。フランス社会でも、異人種の嫁姑問題はもちろんあります。その場合、姑のキャラクターが強いかどうかということでも違ってくると思います。でも、孫ができるとだいたいおじいちゃんおばあちゃんは他のことが見えなくなるので、孫の存在で問題はかなり解消します(笑)。
これからインターナショナルになるべき日本人にとって必要なことは?
ー異文化の習慣などは、私も海外でさまざまな友人ができて初めていろいろと知りましたが、日本にいるとあまりなじみがないものばかりです。そういう意味でも、この作品はいい勉強にもなると感じました。異なる宗教的な習慣を持つ人たちとうまく付き合っていく秘訣を教えてください。
監督 異宗教間では、どれだけ他人に対して寛容でオープンマインドであるかということが前提だと思います。「他の宗教の人たちとは付き合いません」という考えの人たちとは、同じものを共有することはできないので、宗教への入り込み方にもよるかもしれません。でも、まずきっかけとしては、色んな人種や宗教の友達をだんだん増やしていくことが第一歩だと思います。
最後に、作品を観る方に向けてのメッセージを一言!
ー日本のみなさんに、メッセージをお願いします!
監督 この作品は、フランスの現代社会を描いていますが、ユニバーサルなテーマなので、きっと日本の観客の方にも楽しんでもらえると思います。日本が公開される最後の国なので、ぜひ有終の美を飾れるように協力してください!
インタビューを終えてみて……。
貴族の家柄ということもあり、気品ある優しい笑顔で終始インタビューに答えてくれたフィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督。すでに、本作は続編の製作も決定しているとのことで、日本でも早い公開を期待したいところです。
新しい家族ができると、問題も増えるけど、喜びも増える!
異人種間の結婚だけに限らず、たとえ同じ国籍同士でも習慣などの違いはあり、赤の他人が家族になるというのは、大変なこと。それでも、それを乗り越えたとき、初めて “本物の家族” になれるのだと思います。笑いと涙に包まれる本作で、愛する人たちと本当の家族になることの素晴らしさを感じてください。
特に国際結婚に興味のある女子は、まずこの映画で予習してから、家族の対策を立ててみるのもいいかもしれません。あなたの選んだ人は、あなたの家族にとって “最高の花婿” ですか?
作品情報
『最高の花婿』
公開表記:3月19日(土)、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
配給:セテラ・インターナショナル
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