志村 昌美

人生最大の決断を受け入れる、美少年の表情に滝涙!

2017.6.22
誰もが子どものころに好きだったものといえば、おとぎ話。とはいえ、どの物語にも大人になったからこそ、改めて心に響くものが必ず潜んでいるものです。そこで、今回は子どもから大人まで愛されている英文学の名作を映画化した話題作をご紹介します。その作品とは……。

心を揺さぶられる感動作『怪物はささやく』!

【映画、ときどき私】 vol. 97

難しい病気を患っている母親と2人暮らしをしている12歳の少年コナー。教会の墓地が見える家に住み、毎夜のように悪夢にうなされていた。

そんなコナーのもとに、ある夜怪物が突然現れる!

そして、怪物は「いまから3つの真実の物語を話すから、4つ目はお前が話せ」と迫るのだった。抵抗するコナーをよそに、怪物は夜ごと現れては物語を話し、徐々にコナーを追い詰めていくことに。はたして、コナーのなかに隠された衝撃の “真実” とは……。

すでに公開中の本作は、日本で中学生の課題図書に選ばれたことのある小説が原作となっているだけに、ミニシアターランキングでも1位に輝いたほどの反響を巻き起こしている人気作。そんななか、ある方からananweb読者へメッセージをいただきました! それは……。

スペインが誇る実力派のJ.A.バヨナ監督!

原作のファンはもちろん、そうでなくともこの物語には引き込まれること間違いなしですが、私たちを一気に別世界へと連れて行ってくれる怪物の圧倒的なシーンをはじめ、見事なイラストはスクリーンでこそ体感すべき映像美。共感せずにはいられないコナーの繊細な心情とともに必見ですが、今回は監督にオススメポイントを教えてもらいました!

まずは、本作で注目してもらいたい見どころは?

監督 このストーリーの最も興味深いところは、主人公の少年が自分の描いた絵に救われるところだと思う。絵を描き、自分が想像したファンタジーの世界に触れることで、人生のつらい時期を乗り越えていくんだ。このアイデアに創造力をかき立てられたよ。

コナーのように辛い経験をしたときに監督が心がけていることは?

監督 僕にとってはファンタジーが、人生のつらさや難しさを理解していくうえで、かけがえのない大きな助けとなってくれたんだ。映画、童話、神話が大好きで、それらから常に、人生について学んできたといえるかな。しかも子供のころは、僕もいつも絵ばかり描いていて、コナーとまったく同じなんだ。

では、この作品を通して伝えたいことを教えてください。

監督 物事は必ずしも善悪にわけられるものではない、でも、善にも悪にも転じる可能性がある。このことを理解することが、この作品の核となるテーマだと思う。人生とは明確なものではないと受け入れられれば、肩にのしかかっている重荷をいくらか下ろすことができるんだ。この映画は、周りの人のなかにインスピレーションをみつけること、自分の将来に立ち向かうために必要な道具をみつけることを描いている。

誰もが経験した子どもから大人へと変わる瞬間を感じる!

人は辛いことに見舞われると、思わず目を背けてしまいたくなるけれど、逃げることをやめたとき、誰もが成長できるのだと感じるはず。自分の本心と向き合うことの大切さをコナーとともに学んでみては?

胸がざわめく予告編はこちら!

作品情報

『怪物はささやく』
TOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国公開中
配給:ギャガ
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