2024.12.12
エンターテインメント業界に新たな息吹を吹き込むフレッシュな才能たち。次世代を切り拓く彼らがいつもと違う装いで新たな自分を表現するシリーズ「Antenna Meets NEW STAR」。第1回は、俳優、そしてアーティストとして活動の幅を広げている石川瑠華さん。深紅のワンピースに身を包み、普段のイメージから一歩踏み出した彼女の内に眠る新たな輝きとその芯のある眼差しに迫る。
──今回はファッション企画ということで大胆なシルエットがクールな印象の〈KAKAN〉のワンピースを着用されていますが、本日の衣装はいかがですか?
普段私服はカジュアルなものが多く、衣装でもオールレッドのコーディネートはほとんどなかったので、新しい自分に生まれ変わったような、とても新鮮な気持ちです。いつもスニーカーばかり履いているので、たまにヒールを履くと少し背筋が伸びる感じがしていいですね。
──前回のanan初登場は2020年でしたが、この4年の間で自分に似合うファッションも変化してきたのかもしれないですね。見た目だけではなく、自分の内面で変化したところはありますか?
当時は俳優として仕事を始めたばかりで、「自分にはこれしかない!」という考え方だったのですが、自分のことを断定してしまうのは色々勿体無いかもしれないと思うようになりました。限られた時間のなかで最大瞬間風速のパフォーマンスを発揮しようとがむしゃらになっていたのですが、それは少し変化したように思います。
前よりも、自分で自分を肯定できるようになったのかもしれません。昔は未来を見て今の自分に足りないものを補おうと必死だったけれど、今は自分ができることを生かすことで、変な無理をしないようになりました。過去も大切にしながら今を大切に、のびのび過ごせている気がします。
巷に溢れる情報とは
良い距離を保つのが
マイルール。
──気持ちが変化したのは、何かきっかけがあったんですか?
24歳ぐらいから、今思っていることもすぐに忘れてしまうかもしれないし、もしかしたら今会っている人も今後一生会わないかもしれないとか、そういう時間がただ過ぎてしまうことへの危惧を感じていて。そういう思いを自分の中に書き留めておきたくて、日記をつけるようになったんです。
24歳からなのでもう3年くらいですね。ほぼ日の5年分の手帳を買ったんですけど、ページがなくなっちゃったので2冊目に突入中です。
あとは、iPhoneからガラケーに機種変更しました。私は考えていることが頭の中でループしてしまって、めちゃめちゃ周りの情報に影響されやすいタイプ。iPhoneは便利だけど、無意識に多くの情報にさらされてしまうから頭がパンクしちゃって。 ガラケーに変えてからは情報とも一定の距離を保てている気がします。
──音楽プロジェクト“Magico”(マジコ)の一環として、7インチシングルレコードも出している石川さん。アーティストにも活躍の幅を広げている中で気づいたことはありますか?
役者を始めて5〜6年くらい、求められていることを明確にできなければいけない使命感や、その中で個性も出さなくてはいけないという課題を感じていて俳優業でちょっと行き詰まっていた時期にこの歌のお話をいただきました。
今までは俳優業に専念していたのが、俳優の枠から出た創作をしたことによって、自分の中で決めつけてたものも広がったように感じて、 心が軽くなった気がしますね。
──公開されたMVでも、伸びやかに歌う自然な姿がとても印象的でした。どんな準備をしたんですか?
初めての経験だったので、事前にボイストレーニングに通おうとしてたんです。でも、プロデューサーの山本さんから「何もしないでください。上手くなったら多分石川さんの良さが出ないからそのまま来てください」と言われて。
準備しないって、逆にめちゃくちゃ怖かったんですけど(笑)、それが自然な私らしい表現になっているのかもしれないです。
手紙のように
ただ一人、
あなただけに向けて届けたい。
──俳優、アーティストなど活動の幅を広げている石川さんですが、今後はどんなことに挑戦したいですか。
やりたいことはたくさんあって、小学生みたいにぽんぽん出てくるんですよ。「これが創りたい!」「これが食べたい!」みたいな感じで、小さな目標でもなんでも口に出して言えるようになったことは、実は自分の中ではここ数年間の大きな変化でもあります。
今までは役者としてあまり具体的な役の目標もなかったのですが、今は母親役をやってみたいなと思っています。
あとは、演技をするにしても歌うにしても、もしこれから自分で本や映画を作ることがあったとしても、誰か一人のために何かの創作をできる人になりたいです。
──石川さんがいま一番好きなことは?
友達とのキャッチボールにハマっています。何を喋っていいかわからなかったり、結構言葉を選んでしまう初対面の友人とも、ボールを投げ合うだけで会話が自然にできるし、頭の中も空になる。キャッチボールの後はコミュニケーションが柔軟に取れるなとあるとき感じて。キャッチボールに限らず、人とスポーツをすることが良い気分転換であり、コミュニケーションの方法として今は好きみたいです。遊んだことがない人にも、休日のお父さんと息子みたいに「キャッチボールしよ〜」と誘っています(笑)
埼玉県出身。1997年生まれ。「きらきら眼鏡」(2018年)でスクリーンデビュー。その後、『希望のゆくえ』・『イソップの思うツボ』・『うみべの女の子』で主演、『猿楽町で会いましょう』でヒロインを務め、第31回日本映画批評家大賞新人女優賞(小森和子賞)を受賞。近年の主な出演作に映画『市子』『三日月とネコ』、ドラマ『バントマン』(東海テレビ)、MV『あてもなく』(Aimer)『結び』(This is LAST)など。自身初となる7インチシングルレコード『それはぼくぢゃないよ』も発売中。Instagram:@___rukaishikawa X:@ishikawaruka322
Photography:Asuka Ito Video Director:Ryosuke Senda Stylist:Ayano Nakai Hair&Makeup:Naho Ikeda Text:Ayako Nozawa Edit:Rio Hirai
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