2025.07.15
儚げだったり、ミステリアスだったり…。俳優・蒔田彩珠さんといえば、アンニュイな雰囲気で見る人を惹きつける演技が魅力。しかし、ゆったりとしつつもトレンドを随所に散りばめたレイヤードコーデに身を包んだ彼女からは等身大の輝きが溢れ出る。仕事、プライベート、ファッション。蒔田さんが見つめるものたちを伺いました。
オーバーサイズのジャケットにダボっとしたホワイトデニムを合わせたワークテイストが、蒔田彩珠さんの存在感を際立たせる今回のコーディネート。中にチェックのシャツを着たレイヤードスタイルは、サンダルで軽やかさをプラス。また、ジャケットとシャツを脱ぐと、シアーなカーディガンが作り出す透明感あふれる着こなしに。
テンションの違う2つのスタイルを、ナチュラルに、自由に動きながら、さまざまなポージングで見せてくれた蒔田さん。俳優として活動するうえでの楽しさから趣味のことまで、多面的な魅力を感じさせるお話に注目です。
── 撮影時、自然体でありながら印象に残るポージングに目を奪われました。
いつものファッション撮影ではもっと硬直しています(笑)。今日の撮影で着たアイテムは、どれも私服で選びそうなものばかりだったのでテンションがあがり、いろいろなポージングが出てきたのかもしれません。一番好きだったのはアウター。メンズライクな洋服が好きなんです。でも、レイヤードをしていないカーディガンだけのスタイリングの可愛らしさも素敵でした。
── いつもはどんなスタイリングが多いのでしょうか。
普段は古着を着ることが多くて、人と被らないのが好きなところ。日によって選ぶ洋服も違っていて、スカートの時もあれば、ダボダボのズボンの時もあります。ドラマの撮影に入ってしまうと、最初は頑張って選ぶのに、日が経つにつれてダル着になっていきます(笑)。
── (笑)。挑戦してみたいアイテムはありますか?
普段あまり着ないワンピースですね。ノースリーブで、ひまわり畑にいそうな可愛らしい感じのものがいいな。買い物をする時は、直感で決めるタイプ。いろいろ悩むこともあるけど、結局、最初にかわいいと思ったアイテムになるんですよね。といいつつ、買ったものの、やっぱり違うなと思って、ずっとタグを切っていない洋服もあります。最近のお気に入りは、江ノ島で買ったブレスレットです。
── ananに初めて登場したのは2021年です。
たしか、17、18歳でしたよね。その頃にくらべると、成人したことで役の幅がより広がったのを感じます。結構、何かを抱えているような役が多いのですが、ちゃんと気持ちの動きがある役は演じていて楽しいです。人物を掘り下げていく段階もそうだし、お芝居をしていてもしっくりきます。お芝居をしている時、たまに、お芝居を超える瞬間があるんです。たとえば、涙を流すシーンじゃないのに、涙が流れてしまうとか。そういう瞬間は気持ちがいいし、好きです。
── 今年はドラマ『御上先生』に出演。これまでにない明るく元気な富永蒼役が話題になりました。
ここまで明るく元気な役というのが初めてだったので、最初はすごく苦戦したんです。役を掴むのに、ここまで時間がかかったのは初めてでした。でも、監督と話をしたり、教室での撮影が進むにつれて、他の生徒役のみんなとの距離感やキャラクターのグラデーションみたいなものがはっきりとしていきました。放送されたもの見てやってよかったなと思ったし、やりがいも感じました。ドラマは撮影をしながら、みなさんの感想を見られるので、それがお仕事に行く糧になっていました。
── そして、現在放送中のドラマ『DOCTOR PRICE』では、医師専門の転職エージェント会社を立ち上げた主人公・鳴木金成のバディである、夜長亜季を演じています。
彼女は、毒舌ながらも仕事はしっかりこなして、鳴木さんの期待にはちゃんと応えられるような、優秀な事務スタッフです。話の筋である病院や医療制度の説明を担当する役柄でもあるので、セリフの量には少し驚きましたが、どんな長台詞でも見ている人が理解できるように丁寧に演じたいと思いました。私も、心を許した人に対しては少し毒舌になるところがあり、ハキハキした性格は似てると思います。ただ、普段の自分はテンションが高かったり明るい部分もあるのですが、お芝居でその明るさを出すのにはまだ慣れていなくて、鳴木さんと2人のシーンでどこまで殻を破るか、恥ずかしさもありつつ、今もまだ挑戦中です。
── バディを組むということは、鳴木役の岩田剛典さんと息を合わせての演技や、岩田さん演じる鳴木の本性を測る夜長の心の揺れも重要になってくるのでは?
岩田さんはかっこいい踊りや歌のパフォーマンスの印象があったので、ワイルドな方だと思っていましたが、実際にお話しさせていただくと、とても気さくで。私が長台詞前に緊張していると楽しい話をして空気を和ませてくれます。毎話、最後の方に出てくる鳴木さんと夜長の報酬を交渉するシーンでは、監督から、普段やらないような可愛らしくおねだりするお芝居を演出されました。恥ずかしい、どうしよう! と困っていると、「こうしたらいいんじゃない?」とお芝居の手助けをしてくれることもよくあります。
── 蒔田さんが思う今作の魅力はどんなところにありますか。
毎話登場するゲストの皆さんとのお話ももちろんですが、鳴木さんの父の医療過誤の真相を探っていく軸の話もとても面白く、続きが気になるような作品になっていて。でも、そんなシリアスな作品の中でも、鳴木さんと夜長のちょっとしたおふざけシーンでは癒されると思います。日曜の夜にこの痛快×医療サスペンスをご覧いただいて、スッキリとした気持ちで月曜日を迎えて欲しいです。
── 蒔田さんが好きな物を教えてください。
ホラー映画が大好き! 一番は『ババドッグ 暗闇の魔物』という作品で、どこにも配信されていないから困っています。あと、『イット・フォローズ』も好きです。自分でも、とんでもないサイコパスとか、殺人鬼みたいな役に挑戦してみたいです。
── これまでとは違う蒔田さんを見てみたいです! ちなみに最近、オフはどのように過ごしていますか?
バイクに乗っているか、編み物をしているかですね。最近はバラクラバみたいな頭にかぶるアイテムを編みました。バイクは、ずっと怖くて挑戦できていなかった高速デビューをしたいなと。それでキャンプに行けたら嬉しいです。
profile
まきた・あじゅ 2002年8月7日生まれ、神奈川県出身。是枝監督のドラマ『ゴーイングマイホーム』でデビュー。NHK 連続テレビ小説『おかえりモネ』、映画『朝が来る』ドラマ『御上先生』をはじめ、数々のドラマや映画に出演。ドラマ『DOCTOR PRICE』(読売テレビ・日本テレビ系)が毎週日曜22:30〜放送中。主演映画『サラバ、さらんへ、サラバ』が9月26日、『消滅世界』が今年秋に公開される。
写真・Junghyun Kim(TRON) スタイリスト・小蔵昌子 ヘア&メイク・鈴木祥太 取材、文・重信綾
スエードジャケット ¥244,200(マラン/イザベル マラン 青山店 http://isabelmarant.com/jp) ヴィンテージシャツ ¥63,800(ライラ トウキョウ info@laila-tokio.com) デニム ¥38,500(トゥ エ モン トレゾア/エドストローム オフィス TEL. 03-6427-5901) カーディガン ¥29,700 サンダル ¥52,800(アモーメント cs@amomento.jp) 左人差し指リング ¥25,300、右人差し指リング ¥18,700、右薬指リング ¥16,500(ジャンティーク TEL. 03-5704-8188)