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古舘寛治、『いだてん』で憧れの役所広司と共演し「自分のダメさに…」

2020.1.28
昨年の大河ドラマ『いだてん』での可児徳役をはじめ、その風貌が気になっていた人も多いのでは? 滝藤賢一さんとのW主演ドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』も始まり、さらに俳優として飛躍…かと思ったら、まさかの演出家宣言も飛び出して…。そんな古舘寛治さんにお話を伺いました!
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――古舘さんは20代の頃に渡米してNYで演技を学んで、帰国後、小劇場を中心に舞台に立っていらっしゃいましたよね。最初にNYに行かれたのはなぜですか?

もともと映画…映像の俳優になりたいと思っていたんですが、その目指し方がわからなかったんです。18歳の時に東京の劇団のオーディション情報を見て上京して、そこからちょこちょこと仕事をしていたんですが、このまま続けていても将来つまんないなって思って、チャレンジのつもりでNYに行きました。最初、ダンスの学校に入って、途中から俳優の学校に転校したんですが、英語がわからないにもかかわらず、これが面白くて。バイトをしながらずるずるといちゃいました。30歳を目の前に、このままじゃヤバいって慌てて帰国してからは、いろんな劇団の舞台に出るんですけれど、僕、どこの現場でも演出家とぶつかって(笑)。俳優としてなかなか軌道に乗らない時に、友達から演出を頼まれるようになって、徐々に演出の仕事が増えていきました。でも、このまま演出家になるのは嫌だな、もうちょっと芝居したいなって思って、一番僕のやりたい芝居をやれて楽しかった青年団という劇団に入りました。だから、入団が33歳。そこからはずっと青年団を中心とした舞台に出続けて。30代はずっとワーキングプアをしてました(笑)。

――“やりたい芝居”とは、具体的にどういったものですか?

ざっくり言うと、リアリズムです。それは何かと言うと、演技してないように見える演技、本当にそこで生きているって思える演技です。日本は能や歌舞伎を筆頭に、伝統的に舞台芸術というカテゴリーに入るものは様式的な表現が多いんですよね。それを否定する形で西洋の戯曲を中心に上演する新劇というものができたんですけれど、海外の戯曲を翻訳しているために、どこかセリフが日本人がしゃべってるのとは違う、芝居っぽいものになるのが嫌で。

――何か、その根本にある作品とか俳優がいらっしゃるんですか?

20歳頃に一番影響を受けていたのは、ロバート・デ・ニーロがマーティン・スコセッシと組んだ『タクシードライバー』とか『キング・オブ・コメディ』とか『レイジング・ブル』とか一連の作品です。当時の僕にとっては神棚に飾っておきたいような作品でした。

――日本の俳優で憧れる方はいらっしゃいました?

10代から好きで憧れていたのは断トツで役所広司さんです。

――『いだてん』コンビですね。

だからほんとに幸運だと思いますよ。しかも、役所さん扮する嘉納治五郎に憧れている役でしたからね。でも今回、役所さんと共演させてもらって、つくづく自分のダメさに気づかされたんですよ。役所さんくらいの俳優でも、監督から言われたことは、多少疑問に思ってもやられるんですね。でも、僕はやらずに「それ、面白いですか?」ってゴネるんです(笑)。ずっとそれでいいと思ってやっていたけれど、役所さんの素直にやる姿を見せつけられて、自分は俳優として失格だなって思って…。

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――で、そこから監督の言われた通りやるように?

それが…そうなれないんです(笑)。演じることをロジック…理屈で学んできてしまった人間だから、理屈を説明されて納得できればやれるんですけれど、そこに至るものが理解できないと動けない。それに加えて、自分が面白いと思うものへのこだわりが、たぶん他の俳優より強いんだと思います。それが最近、だんだん身に染みてわかってきたので、これからは演出家になるしかないのかな、と。

――’16年には『高き彼物(かのもの)』という舞台の演出もしていますよね。

それがびっくりするくらい楽しくて、開眼しちゃったんですよ。

――演出のどのへんが…?

演出って…言葉を選ばずに言うと“権力”なんです。予算だったりの壁で譲歩しなければならない部分もあるんですが、基本的に自分が言ったことが具現化されていくわけで、完全に自分の理想の舞台に向かっていけるわけです。でもだからこそ、稽古場での演出家の振る舞いには注意が必要だし、怒鳴るとかあり得ないですけどね。俳優は逆で、演出家の言うことを具現化していくために自分のやりたいことは削ぎ落としていかなきゃいけないわけだから、そりゃ演出のほうが楽しいです。

――以前は演出家になるのが嫌で劇団に入ったのに…。

あれから10何年も演技はしてきたし、もう50歳も過ぎたし、そっちもいいのかな、とは少し思います。もちろん演じるのは超楽しいんで、続けていきたいですけどね。人間の権力欲は…ヤバいです(笑)。

ふるたち・かんじ 大阪府出身。ニューヨークで演技を学び、帰国後に青年団に入団。舞台をベースに数々の映画やドラマに出演し、名バイプレイヤーとして活躍中。おもな出演作品に映画『淵に立つ』、大河ドラマ『いだてん』などがある。出演映画『子供はわかってあげない』(沖田修一監督)が6月より公開予定。衣装協力・45R(フォーティーファイブアールピーエムスタジオ TEL:03・3498・2245)

古舘さんが滝藤賢一さんとW主演するドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』は、毎週金曜24時12分~テレビ東京系にて放送中。プロデューサーは、ドラマ『下北沢ダイハード』や『黒い十人の秋山』を手掛けた濱谷晃一さん。脚本はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子さん。監督はドラマ『山田孝之のカンヌ映画祭』の山下敦弘さん。共演には芳根京子さんらが名を連ねる。

※『anan』2020年1月29日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・馬場恭子 ヘア&メイク・有路涼子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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