ミュージカル界注目の新星・sara、『イン・ザ・ハイツ』は「どこまで熱量を持って歌えるかが課題」

2024.9.24
いまミュージカル界が注目する新星・saraさん。舞台映えするルックスにパワフルな歌声。そして老舗劇団・文学座に籍を置く確かな演技力の持ち主でもある。そんな彼女の次回作は、世界的ヒット作を次々発表している劇作家で演出家のリン=マニュエル・ミランダの作品で、トニー賞も受賞したBroadway Musical『イン・ザ・ハイツ』。

ニーナの想いをどこまでの熱量で歌えるかが課題かなと思っています。

舞台 sara

「初めて観たのは3年前に公開された映画版だったんですが、リン自身のルーツであるラテンコミュニティへのラブコールのような作品だなと思いました。国や文化は違うけれど、登場人物全員が自分の心のホームを探している。日本人の私たちにも共感する部分が多い普遍的なテーマじゃないかと思うんですよね」

NYのラテン移民が暮らすワシントンハイツで雑貨店を営むウスナビを軸に、ここで生きる人々を描いた群像劇。saraさんが演じるニーナは幼い頃から秀才で、地域の人々の期待を背負い名門大学に進学を果たすが、ある秘密を抱えた役。

「『あなたが希望だ』と周りの人たちから言われてきて、お金の面でも応援を受けながらもうまくいかない。誰にも共感するところがある気がします。私も、優等生ではなかったけれど、なりたい自分像があって大学に進学して。自分が設定した目標は目の前にあるけれど、そこまで頑張れないとか体力が追いつかないとか…到達できない苦しさを経験していますし。ニーナが想いを歌う場面もあるのですが、難しい高音域をクリアしながらどこまで熱量を持って歌えるかが課題かなと思っています」

何度か上演されている作品で、ウスナビ役のMicroさん、平間壮一さんほか再演キャストも多い。

「稽古場で拝見していると、みなさん自分がこれまで経験してきたことを全部ここに乗せてきているんだろうというヒリヒリ感を感じます。それぞれがここで新たな挑戦をしてナンボだろうと思っているし、誰かが大きな一歩を踏み出したなっていうときには称賛の声が上がる。厳しくもあり温かくもある現場です」

今年、準座員から文学座の正式な座員となり初の劇団公演で『オセロー』に出演。大きな評価を得た。

「音楽というガイドのないストレートプレイで、自分の芝居にかけてきたものが全部試されるような場でした。周りの先輩方の芝居を見ては、できない自分が悔しくて楽屋で男泣きしていました。まるでスポ根漫画のような期間でしたが、次こそはと新たな力をもらった気がします」

舞台 sara

Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』 移民が多く住む下町で雑貨店を営むウスナビ(Micro[Def Tech]/平間壮一)はいつか自分のルーツであるドミニカで暮らすことを夢見ている。そんななか名門大学に進学したニーナ(sara)が帰ってきて…。9月22日(日)~10月6日(日) 東京・天王洲 銀河劇場 原案・作詞・作曲/リン=マニュエル・ミランダ 脚本/キアラ・アレグリア・ウデス 演出・振付/TETSUHARU 翻訳・訳詞/吉川徹 歌詞/KREVA 出演/Micro[Def Tech]・平間壮一(Wキャスト)、松下優也、sara、豊原江理佳、有馬爽人、エリアンナ、ダンドイ舞莉花、MARU、KAITA、戸井勝海、彩吹真央、田中利花ほか 全席指定S席1万3500円 A席7500円 公演事務局 information2@pia.co.jp(平日10:00~18:00) 京都・名古屋・神奈川公演あり。https://intheheights.jp/

サラ 2000年1月13日生まれ、兵庫県出身。大学在学中の’19年に文学座附属演劇研究所に入所。’21年のミュージカル『17 AGAIN』でデビュー後、『ドリームガールズ』などミュージカルを中心に活躍。

※『anan』2024年9月25日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・屋島裕樹 ヘア&メイク・菊地泰子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)