神木隆之介、日曜劇場初主演作品では「そこに生きる一人の人間の心の動きを生々しく表現したい」

2024.10.3
俳優として、確かな存在感を放つ神木隆之介さん。長きにわたって、表現者の第一線で活躍し続ける神木さんの心惹かれるものとは? 初の日曜劇場主演作品にかける思いも伺いました。

想像の範疇を超えた表現を誰よりも早く見つけたい。

神木隆之介

来年で芸能生活30周年を迎える神木隆之介さん。長きにわたり、愛され続ける俳優が惹かれる人の共通点は“遊び心”だそう。

「これまでいろんな方と共演させてもらいましたが、中井貴一さんであったり、すごいなと思う方には、お芝居はもちろん言葉や行動にも“遊び”を持てるだけの余裕があるんです。舞台でご一緒した阿部サダヲさんは裏では子どもみたいな人なんですけど(笑)、ひとたび舞台に上がると思い切り楽しんでいる。そんな阿部さんに惹きつけられて、目が離せなくなってしまいました。山﨑賢人のぶっ飛んだパワーにも憧れます。“かますしかないっしょ”と先頭に立って走り出す姿は“賢人なら必ずやってくれる”と期待させてくれます。しかもギャグセンが高い。吉沢亮もすごく面白い。僕は学生時代、冗談を言っては周りからめっちゃ“引かれ”てました!」

“惹かれる人は?”という質問にかけてチャーミングにコメントしてくれる神木さん自身も、遊び心に溢れた人。そして惹かれるエンタメとして挙げてくれたのはフェイクドキュメンタリーの『放送禁止』シリーズ。

「画面の隅々に伏線が巧妙に張り巡らされていて、仕掛けがわかった瞬間にゾクッとくるんです。そんな作品をやってみたいですね」

主演ドラマ『海に眠るダイヤモンド』も、ストーリーが進むにつれて、ちりばめられた謎が解けていく面白さを感じることができそうだ。1950年代の炭鉱の島で働く青年・鉄平と、現代を無気力に生きる玲央の2役を演じる。

「人間ドラマなのでゾクッとさせることはないですけど(笑)、なぜ僕が1人2役なのか、穏やかな伏線を丁寧に張っていけたらと思っています。『ONE PIECE』のルフィのような鉄平とは対照的に玲央は“だるい”が口癖の売れないホスト。そう、僕がホストを演じるんです! ホストは少女漫画の王子様のように女性の理想とする形をエンターテインメントとして提供しなければいけない職業。ナンパも普通にするのとは違うでしょうし、ホストの方にいろいろ質問して役作りをしています」

この作品の演出は塚原あゆ子さん。野木亜紀子さんが脚本を書き下ろし、新井順子さんがプロデュースを務める。『アンナチュラル』などのヒットメーカーチームが制作するのも楽しみ。

「日曜劇場は、大先輩の福山(雅治)さんが重たいものを背負いながら真ん中に立ち、みんなを引っ張っていく姿も見ていたので、31歳の自分がその立場になることに正直プレッシャーを感じました。でも、お三方とお会いしたら、その目が自信に溢れていたんです。この作品で表現したいことに対する強い信念が感じられて、この人たちについていけばいいんだと思えました。塚原さんの演出はドキュメンタリーっぽいんですよ。相手のセリフとかぶっても、そうしたくなったら喋っても相槌を打っても構わないと言ってくれて。それが許される現場はそうないので、そこに生きる一人の人間の心の動きを生々しく表現したいです」

1950年代と現代が同時進行していくが、神木さんが惹かれるのは過去でも現在でもなく…。

「断然未来! 物体が浮遊する反重力の世界とか人間とロボットの区別がつかないような世界が実現しているかもしれないから見てみたい! 役者としても想像の範疇を超えた“最先端のその先”の表現を誰よりも早く見つけたくて。でも、最初の発見者は早すぎて歴史に埋もれてしまうので、評価されるのは時間が経ってから。だから後世の人がエンタメの歴史を掘り返して、僕を見つけてこう言うんです。『あの時はまだ時代が彼に追いついていなかった』って。そんな未来だったら嬉しいな」

かみき・りゅうのすけ 1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。2歳でCMデビュー。2023年、連続テレビ小説『らんまん』に主演。『千と千尋の神隠し』『君の名は。』など声優として参加した作品も多数。10月20日スタート『海に眠るダイヤモンド』(21:00~TBS系)で日曜劇場初主演。

パンツ¥53,900(YUKI HASHIMOTO) カットソー¥25,300(ATTACHMENT) 以上Sakas PR TEL:03・6447・2762 その他はスタイリスト私物

『海に眠るダイヤモンド』

海に眠るダイヤモンド

長崎県・端島を舞台に現代と過去を描く。
神木隆之介がTBSの日曜劇場に初主演することでも話題のドラマ。2018年の東京でホストをしている玲央(神木隆之介)は、怪しげな婦人・いづみ(宮本信子)から突然プロポーズされる。一方、1955年の長崎県・端島では、炭鉱員の息子として生まれた青年・鉄平(神木隆之介・2役)が、大学卒業後に端島に戻ってきた。70年の時を超え、2つの物語が重なっていく。毎週日曜21:00~、10月20日放送開始。

※『anan』2024年10月9日号より。写真・刈馬健太 スタイリスト・吉本知嗣 ヘア&メイク・MIZUHO 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)