会社を辞めて、こうなった。【第17話】 編集部を辞めなきゃよかった!

2015.6.15
出版社を辞めてサンフランシスコに留学した筆者・土居。意気揚々と旅立ったのに・・・ついにでっかい弱音が出てしまいました。

長年勤めた出版社を辞めて、なんの保証もないまま単身アメリカに乗り込んだ女性が悩みながら一歩一歩前進して、異国の地で繰り広げる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。

 

【第17話】編集部を辞めなきゃよかった!

つい2週間ほど前のことです。激しく編集部を辞めたことを後悔しました。というのも家から一歩も出ずに勉強しているのに(より試験対策にフォーカスするため語学学校通いから独学に切り替えました)うまくはかどらずにため息。さらにはFacebookにアップされる元同僚たちの取材記事、友人たちが訪ねた新しいレストランや旅先の様子といった華やかな生活を垣間見ては我が身と比べて落ち込んでしまいます。朝目覚めても、自分がどこにいるのかしばらく把握できず、天井を見つめ続ける…。そんな毎日を送っていました。ついには高熱まで出してしまい、頭も体も痛くて「なんで時間とお金をこんなにもかけて、苦労ばっかりしているんだろう?」と疑問を感じてしまったのです。

Facebookは見ない! 机の前の壁に貼り付けています。
Facebookは見ない! 机の前の壁に貼り付けています。

郵送料5,400円に動揺。

そんななか、母に郵送をお願いしていた雑誌が到着。ダンボールの中には雑誌とともに「名菓ひよ子」、「かもめの玉子」といったお菓子や、素麺、蕎麦、ワサビに出汁など、私のツボを抑えた選りすぐりの品々が入っています。「お母さん、わかっているなぁ〜」と思わず笑顔。胸が温かくなりました。けれど郵送料の5,400円を見た瞬間、驚愕! 「5,400円のワサビは高すぎるでしょう。こっちでも500円あれば買える!」。喜びが怒りに豹変してしまいました。郵送料など私にかかる支払いに使うためのカードを母に渡してあったからです。

というのも、こちらに来て人生最大の節約生活をしている私。ほぼ無収入状態にもかかわらず、今の家賃は4人でシェアしても1人12万円。今後大学に通うともなれば、さらに学費だけでも年間500万円弱は必要になります(円高のバカ!)。そこでコーヒーを飲みに行くことも辞め、参考書以外の本はすべて図書館で借り、化粧はしない…。それだけやっても、サンフランシスコの生活では毎月かなりの額が出ていきます。そんなところに突然の5,400円の出費! これは痛い! 激しく動揺してしまったのです。

ガンガン毛を刈られていく仲間を見て不安そうなアルパカ。今の私もこんな感じの表情だと思います。
ガンガン毛を刈られていく仲間を見て不安そうなアルパカ。今の私もこんな感じの表情だと思います。

早速母に「今後はお願いしたもの以外は送らないでほしい」とメールしたのですが、送信した直後に言いようも無いほど後悔。「名菓ひよ子」に描かれた優しいひよこの姿を見ていると、私が喜ぶだろうと一生懸命荷作りしてくれた母の姿がありありと目に浮かんだからです。「私はなんて酷いメールをしてしまったのだろう」とひとり泣いてしまいました。壁が薄いのでハウスメイトに気づかれないように静かに。「すごく追い込まれてしまっていて余裕が無いメールを送ってしまってごめんなさい。お母さん以上のお母さんは居ないし、お母さんの娘に生まれてラッキーだと心から思います」と10分後に即メールしました。翌日、母から何事も無かったかのように「荷物は私が勝手に入れて送ったので送料はこちらで支払いましたよ。ご心配なく」との返事が。母の愛って、やっぱりすごいなぁと痛感しました。そしてとても有難く思うと同時に、どうしようもなく自分が情けなくて、しばらく号泣しました。

職&お金が無い恐怖が手放せない。

だって38歳(6月7日に38歳になりました)ともなれば、親に恩返しをしている年齢です。なのに私と言ったら、新しいチャレンジをしたいと無理やり会社を辞めてアメリカに行き、恩返しはおろか愛猫の世話までお願いし、さらには年金生活の親に送料まで負担させている…。編集部を辞めていなかったら、こんなことにはならなかったのにな。恩返しだってもっと出来たかもしれない。そう思うと、退職したことを激しく後悔しました。だって5,400円といったら編集部時代に「お酒込みで5,400円って、このビストロ手頃だね」なんて言いながらライターさんと仕事帰りに食事をしていた金額です。そんな5,400円で気が狂いそうなほどに動揺するなんて…。

職が無い=お金が無い、という恐怖を手放せない私。そこで、共生革命家のソーヤ海くんとベイエリアで活躍する鈴木栄里ちゃんが企画した“ギフトエコロジーツアー”に参加してみることにしました。“ギフト”とは見返り無く与えること。このツアーを体験して、お金、そして無職の恐怖を私は手放せるのでしょうか? また報告します!

SEE YOU!

大切な仲間に誕生日祝いをしてもらいました(写真・平田理子)
大切な仲間に誕生日祝いをしてもらいました(写真・平田理子)

 

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PROFILE

土居彩

編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとジョギング。ラム酒をこよなく愛する。目標は幸福心理学を学んで、英語と日本語の両方で原稿が書けるようになること。