志村 昌美

“新たな一歩を踏み出す力” を与えてくれる感動作『ルーム』!

2016.4.5
4月に入って、新生活を迎えた人や新しいことにチャレンジしている人も、多くいるかと思います。誰にとっても、知らない世界に飛び出すことは、常に不安がつきまとうため、なかなか思い通りにいかないこともあるかもしれません。そんな人にぜひオススメしたい母と息子の物語といえば……。

衝撃の映画体験と感動を味わえる話題作『ルーム』!

【映画、ときどき私】 vol.30

5歳になるジャックは、ママと仲良く2人暮らし。一緒に体操をしたり、TVを見たり、一見どこにでもいる普通の親子のように見えていたが、そこには大きな秘密があった。実は、2人は “ある部屋” に閉じ込められていたのだった。暗く狭い部屋には天窓しかなく、“世界” を知らない息子のため、母はついにある決意をする。

それは、息子に真実を話し、外の世界へ脱出すること!

しかし、突然告げられた事実を受け入れられず、大混乱するジャック。はたして、計画通りにママとジャックは無事に脱出することはできるのか。そして、その先に2人を待ち受ける驚くべき運命とは……。

とにかく、圧巻の演技に釘づけ!

今回、ママとジャックを演じたのは、初ノミネートにしてアカデミー賞主演女優賞を受賞した26歳の新星ブリー・ラーソンとハリウッドでも話題の子役ジェイコブ・トレンブレイ。本作で一躍スターダムを駆け上がった2人は、現在世界中からもっとも注目を集めている俳優でもあります。

どちらも難しい役どころであるにも関わらず、実力派の2人がみせる迫真の演技は、観客の心を最初から最後までグッと掴みっぱなし。そして、そんな2人の姿には、思わず胸の奥から込み上げてくるものがあるはずです。

特に、ブリーは今回の役作りのために8カ月もの準備期間に取り組み、食事制限やトレーニングだけでなく、ほとんど外出せずに隔離された生活を送り、太陽さえも避けていたというほど。その甲斐もあって、長年にわたって監禁され、精神的にも肉体的にも追い詰められた女性の表情や体型、肌の質感なども含め、とにかくリアルの一言。

そこで今回は、2人を迎えた来日記者会見でお話を聞いてきました!

役のイメージが脳裏に焼きついていたこともあり、ブリーさんが登場した瞬間に「さすがオスカー女優!」と思わずにはいられないほど、映画とはまるで違う華やかさにすっかり魅了!

そして、現在9歳のジェイコブくんのかわいさには虜になりつつも、大人顔負けのしっかりした様子にとにかく感心。さらに、そのたたずまいには「さすが天才子役!」と思わずうなってしまうほどでした!

記者会見では、2人の本作への想いと大変な撮影を共に乗り越えて生まれた強い絆がひしひしと伝わってきたのですが、なかでも私が印象的だったのは、ブリーさんのこちらメッセージ。

「この作品は、自分の実際の人生とはかけ離れた状況だと思うかもしれませんが、物語を観ていくうちに、『私たちの人生に近いものなんだ』と感じる部分が特別だと思います。それは、『人が成長していくことや何かを乗り越えて、次に踏み出すということはどういうことなのか』ということです。冒頭で、彼らは部屋の中にあるさまざまなものに『ハロー』と言って始まって、最後には『バイバイ』と言って終わります。だけど、彼らが言っている『バイバイ』というのは、彼らのまた新しい人生に踏み出す『ハロー』でもあるんです。このサイクルは、私がとても気に入っている側面でもあります」

人生は、終わりと始まりの連続!

まさに、ブリーさんが語っているように、“終わりは始まり” であり、どこかの扉を閉めれば、また新たな扉が開くということの繰り返しが人生なんだと思うのです。

新しい世界に踏み出すことの大切さや困難を乗り越えて前に進む強さを教えてくれる本作。劇場を出た瞬間から、いままで見えていた “当たり前の世界” が違って見えるはずです。

あなたは、どの “部屋” の扉を新たに開けますか?

作品情報

『ルーム』
公開表記:4月8日(金)よりTOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズシャンテ他全国公開
配給:ギャガ
©ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015

http://gaga.ne.jp/room/