津田健次郎の声にゾクゾク…! 臨場感やばすぎの「AR音声ガイド」でアートを楽しめる展覧会
約180点を一挙に見られる!
『ヴァロットン―黒と白』展示風景
【女子的アートナビ】vol. 275
『ヴァロットン―黒と白』では、三菱一号館美術館が所蔵する世界有数のヴァロットン版画コレクション約180点を一挙に公開。黒と白でつくられたヴァロットンの独特な版画世界を、心ゆくまで楽しむことができます。
スイスに生まれ、19世紀末のパリで活躍したヴァロットンは、独自の視点で生み出したモノクロームの木版画で名声を獲得。本展では、希少な連作〈アンティミテ〉や〈楽器〉などを揃った形で見ることができます。
『ヴァロットン―黒と白』展示風景
また、同時代に活躍したトゥールーズ=ロートレック(1864-1901)の作品も特別展示。こちらは、三菱一号館美術館と姉妹館提携しているフランスのトゥールーズ=ロートレック美術館から来日した作品で、ヴァロットン作品と比べて鑑賞できる貴重な機会になっています。
音声ガイドもミステリアス!
また、本展の音声ガイドもユニークです。ナビゲーターは、声優・俳優で映画監督などもされている津田健次郎さん。
今回のガイドの一部コンテンツには、最新の空間音響技術「Re:Sense™」が導入され、AR(拡張現実)音声ガイドを体験できます。音の臨場感や人の気配感がリアルに再現されているので、津田さんが背後にいたり、近づいて耳元でささやいたりといった感覚、錯覚を楽しめます。
謎めいた雰囲気が漂うヴァロットンの作品にあわせ、音声ガイドの構成もちょっとミステリアス。不思議な「ネコ」も出てきます。(このネコは、展示室にも出没しているので、見つけてみてください!)
大人の色気を感じる津田さんの声にゾクゾクしながら見るアートは、本当に格別。特におすすめは、薄暗くなった平日夕方の閉館前の時間帯です。人の少なくなった館内で、ひとり静かにガイドを聴けば、ヴァロットンの謎めいた世界にどっぷりひたれます。
なお、この音声ガイドはスマホなどのアプリに一度ダウンロードすれば、配信期間中に何度でも聴くことができます。
作品もミステリアス!
『ヴァロットン―黒と白』展示風景
もちろん、作品そのものもミステリアスです。
画面の半分以上が黒で覆われた斬新な構図や、あやしい雰囲気が漂う男女の絵など、見れば見るほどヴァロットンのつくりだす不思議な世界に惹きこまれていきます。
特に、連作〈アンティミテ〉は必見。本作品は、1898年に限定30部で刊行されたもので、男と女の親密さや不穏な空気感などが黒と白の世界で表現されています。
フェリックス・ヴァロットン《お金(アンティミテV)》1898年
絵は大胆に単純化され、さらにヴァロットンは暗示的なものを画面に潜ませているので、見ていると想像力を掻き立てられます。
小説家・江國香織さんは、公式図録のエッセイに、「ヴァロットンの絵はとても小説的だ」と書かれています。実際、ヴァロットンは、35歳と42歳のときに小説も執筆していたそうで、江國さんは、この画家のことを「日常生活のなかに不可避的に物語を見てしまう人」と記述。特に〈アンティミテ〉の連作については、「小説的の極致だと思う」と述べています。
まさに、上質な小説のように、想像力を刺激してくれるヴァロットンの版画を180点も見られる機会はなかなかありません。ぜひ、音声ガイドを聴きながら、小説的なアートの世界を楽しんでみてください。
「丸の内イルミネーション2022」も開催中!
なお、三菱一号館美術館のある丸の内エリアでは、現在「丸の内イルミネーション2022」も開催中です!( 2023 年 2 月 19 日まで)
丸の内エリアにある340本を超える街路樹が、シャンパンゴールド色の LED 約 120 万球で彩られています。アートを見たあとは、ぜひステキなイルミネーションもお楽しみください!
Information
会期 :~2023/1/29(日)
休館日 :月曜日、12/31、1/1
※但し、12/26、1/2、1/9、1/23は開館
会場 :三菱一号館美術館
開館時間 :10時~18時(金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21時まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料 :一般¥1,900、大学・高校生¥1,000、中学・小学生 無料
展覧会公式HP: https://mimt.jp/vallotton2/