志村 昌美

波瑠と瀬戸康史が驚いた佐藤大樹の恋愛観「私たちの世界とは全然違っておもしろい」

2022.4.9
春といえば“恋の季節”とされているものの、なかなか一歩を踏み出せないという人も多いのでは? そんなときにオススメのドラマは、恋愛下手の主人公がフランス人作家スタンダールから恋愛のノウハウを学んでいく姿を描いた『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。

瀬戸康史さん、波瑠さん、佐藤大樹さん

【映画、ときどき私】 vol. 471

劇中で、波瑠さんが演じるのは、自分に自信を持つことができず、30歳で恋愛経験ゼロの図書館員・聡子。そして、聡子が一瞬で恋に落ちる紳士的な涼介を瀬戸さん、聡子に想いを寄せる職場の後輩・村石を佐藤さんが演じています。今回は、恋愛関係において欠かせないものやそれぞれの恋愛観について、語っていただきました。

―まずは、最初に脚本を読まれたときの印象からお聞かせください。

波瑠さん 小日向(文世)さんがどうやってスタンダールを演じるのかは想像できませんでしたが、どんな結末を迎えるのかが気になり、一気に読んでしまいました。

瀬戸さん 僕も脚本を読んだときに、これはおもしろいことができそうだなと。誰にでもあるずるい気持ちや人生で経験する失敗という部分では、自分の役に共感できるところもたくさんありました。

佐藤さん 実は、僕が人生で初めて自分のお金で買った本が本作の原作者でもある水野敬也さんの「夢をかなえるゾウ」。そういった偶然もあって、まずは水野さんが原作のドラマに出られることがすごくうれしかったです。

―本作でも見どころのひとつといえば、劇中で取り上げられているさまざまな恋愛テクニックについて。実際に演じられてみて、使えそうだと思ったものはありましたか?

波瑠さん なるほどと思ったのは、恋愛によって相手を美化してしまう「結晶作用」。彼氏ができると急にほかの人からアプローチされることがあるという話を聞いたことがありましたが、誰かが好意を寄せていることを知ると、魅力的に見える効果があるというのは勉強になりました。

―では、ご自身が考える異性を振り返らせるのに効果的な方法といえば?

波瑠さん やっぱり、自然体でいることではないかなと思います。のびのびとした雰囲気って、ステキですからね。私は恋愛リアリティーショーを見るのがけっこう好きなんですが、つい男性目線で見てしまうので、「この子はもっとこうしたほうがかわいいのにな」とか思いながら見ています(笑)。

―それでは、男性陣にもおうかがいしますが、女性のグッとくるポイントなどはありますか?

瀬戸さん 僕も自然体な人はいいなと思います。あとは、裏表がなくて人の悪口を言わない人。仕草に関しては、少し変わっているかもしれませんが、絵やスマホを見ているときとか、ゲームをしているときの小刻みに動く目が好きです。

佐藤さん ドラマのなかで、聡子がすぐに返信しようとするのをスタンダールが止めるシーンがありましたが、僕もあれをされたら毎日その人のことを考えてしまうかもしれないです。というのも、僕はすごくせっかちで、LINEも既読を付けたらすぐに返信したいタイプ。返事がないと気になってしまうので、スタンダールの恋愛論は理にかなっているなと思いました。

前に話したことを覚えていてくれるとうれしい

―なるほど。ちなみに、佐藤さんは劇中で壁ドンされていましたが、いかがでしたか?

佐藤さん めちゃくちゃよかったですね(笑)。したことはあっても、されるのは初めてだったので、ドキッとしました。

―壁ドンをしてみた波瑠さんはどうでしたか?

波瑠さん 息を合わせないとできないシーンだったので、私にとってはチームプレー的な壁ドンだったと思います(笑)。

―ほかにも、転びそうなところを瀬戸さんに受け止められる場面はキュンとするシーンでしたよね。

波瑠さん あのシーンこそ、本当にきつかったです。あれは本のなかの絵だからできるポーズなんですよ。

瀬戸さん 確かに、腹筋も背筋もかなり使っていたし、「波瑠ちゃんの骨を何本か折らないとできないんじゃない?」みたいな感じだったよね(笑)。

波瑠さん はい、「私にも脊髄がありますから!」と思いながら全神経を使ってやりました。

瀬戸さん でも、協力プレーのおかげでさわやかな映像に仕上がっていてよかったです。

―そんなことを感じさせない素敵なシーンでした。では、されてうれしいことなどはありますか?

波瑠さん たとえば、前に話したことを覚えていてくれたり、「これ好きだったよね?」と言ってもらえたりするとうれしいですね。男の人って、あまり話を聞いていないイメージがあるので……。でも、瀬戸さんは女性グループのなかにいてもすごく自然で、ちゃんと話を聞いてくださる印象です。

瀬戸さん 僕は女兄弟しかいないので、女性のほうが話しやすいところはあるかもしれないです。だから、実は佐藤くんとは話しにくいんですよね……。

佐藤さん ちょっと待ってくださいよ! めちゃくちゃお話していたじゃないですか!

瀬戸さん あははは!

―現場での仲良しぶりがうかがえますね。それでは、みなさんにとっての“恋愛の教科書”を教えてください。

佐藤さん 僕も波瑠さんと同じで、恋愛リアリティーショーをよく観ています。

波瑠さん 韓国の『脱出おひとり島』は?

佐藤さん 観ました!

瀬戸さん めちゃめちゃおもしろかったよね。

佐藤さん あとは、『バチェラー・ジャパン』とか。

波瑠さん 私も観た!

瀬戸さん 僕も観ました。

大切なのは、信頼する気持ちと共通のものを持つこと

―みなさん、けっこう恋愛リアリティーショーお好きなんですね。

佐藤さん いろいろとリアルで、勉強になりますから。

瀬戸さん どのあたりが勉強になるの?

佐藤さん たとえば、男女が一緒だったあとに、女性だけで話をしていますが、「そんなことを思っていたのか……」と感じることが多いので。

瀬戸さん 確かにね。

―ほかのジャンルではいかがですか?

波瑠さん 私は根っからのオタクなので、『花より男子』や『NANA』といった少女漫画です。特に、自分が小中学生のころは、高校生の恋愛模様が大人に見えていたので、「いつか自分もそんな恋したいな」と妄想していました。ただ、途中から少年漫画に走ってしまい、好きな漫画は『NARUTO -ナルト-』と『金色のガッシュ!!』です(笑)。

―そのギャップがいいと思います。

瀬戸さん 僕も漫画とかアニメが好きなんですが、最近でキュンキュンしてしまったのは『その着せ替え人形は恋をする』です。高校生の話におじさんがキュンキュンしてるって、ちょっと気持ち悪いかもしれないですけど(笑)。あとは、『とらドラ!』も素直じゃない主人公たちが成長していく感じがステキなんです。

―そういった作品やご自身の経験を踏まえたうえで、いい恋愛関係を築くために必要なものといえば何ですか?

瀬戸さん 趣味や興味のあることに共通のものがあると、長続きすると思います。僕の場合は、そういうのもあって結婚までたどり着いたのかなと。恋愛と結婚では違うところもありますが、相手を信じる気持ちも大事だと思います。

波瑠さん 私は、自分の好きなことや嫌なことをちゃんと発信できる関係かどうかですね。というのも、相手が好きだから何でもいいよと言っていると、我慢しているほうに限界がきて、爆発してしまうときが来ると思うので。そういう溝ができないためにも、自分の意見や感覚をきちんと言えるというのは、大切だなと思っています。

佐藤さん 僕の場合は、マメな連絡とプレゼント。この2つがあれば、恋愛はうまくいくと思います!

波瑠さん・瀬戸さん あははは!

瀬戸さん ということは、ちゃんとしてるってこと?

佐藤さん はい、僕はめちゃくちゃするほうですね。

波瑠さん そういうことをはっきり言えるのもすごいよね。

瀬戸さん プレゼントは、駄菓子とかでもいい?

佐藤さん さすがに駄菓子はないですね(笑)。日常的に何かを贈ることもありますが、記念日などのイベントにはプレゼントを用意したいです。

いつも相手のことを笑顔にしたいと考えている

―ということは、サプライズなどもお好きなのでは?

佐藤さん 好きですね。というのも、エンタメの世界にいるので、いつも人を驚かせたいというか、笑顔にしたいんだと思います。

波瑠さん 私とは全然世界が違っていておもしろい。

―ちなみに、してみたいサプライズもあったりしますか?

佐藤さん 人によっては嫌がられるかもしれませんが、実は生き物をプレゼントしてみたいんですよね。

瀬戸さん え⁉ それはどのくらいのレベルで?

佐藤さん 僕は水の生き物が大好きで金魚やウーパールーパーを飼っているので、女性に人気のあるベタというお魚をプレゼントできたらいいかなと。

波瑠さん ベタはキレイだよね。でも、全然かわいがってくれなかったらどうする?

佐藤さん 確かに、その可能性はありますよね……。

―生き物は、相手に聞いたほうがいいかもしれないですね。また、劇中ではいろいろな名言も散りばめられていましたが、みなさんが大事にされている言葉があれば、教えてください。

瀬戸さん 20代半ばの頃に、俳優で演出家の白井晃さんから「芝居だけど芝居するな」と言われたことが僕はずっと頭に残っています。そこから演じ方も変わったので、いまでも大切にしている言葉です。

佐藤さん 僕は漫画やアニメはほとんど見ないほうなんですが、なぜか『ONE PIECE』のゾロが言った「苦難上等 好むものなり 修羅の道」というセリフだけ知っていて、かっこいいなと。どういう状況で言ったのか知らないですし、どこで聞いたのかも覚えていないんですが、それが座右の銘です。

波瑠さん・瀬戸さん あははは!

努力する過程で得られるものはたくさある

―おもしろすぎます。実際、その言葉から影響を受けているのでしょうか。

佐藤さん たとえば、二択で悩んでいるときはあえてつらいほうを選んで自分を追い込むみたいなことはしています。それは、この言葉の影響ですね。

波瑠さん 私はそんなかっこいい言葉じゃないですが、子どもの頃から両親にずっと言われてきたのが「自分がされて嫌なことは、人にしてはいけないよ」ということでした。この教えのおかげで誰かを悲しくさせるようなことは回避できているとは思いますが、私がわりと神経質な人間でされて嫌なことが多すぎるので、いまでは人に何をしたらいいのかわからなくなっているところも……。縛られすぎて、こんがらがってきているなとは感じています(笑)。

―難しいところですね。本作では聡子が新しいことにチャレンジする姿が描かれていますが、みなさんがいま挑戦してみたいことは?

瀬戸さん 僕は一人旅です。普段あまり旅に出たりしないこともあって、僕にとってはけっこう勇気のいることなので。旅先でおもしろいものを見つけて、いろいろな人と触れ合ってみたいです。

佐藤さん 僕はサウナ好きがこうじて、最近サウナ・スパプロフェッショナルという資格を取りました。サウナの営業もできる資格なので、HIROさんに直談判してLDHの事務所にサウナを作りたいです。

瀬戸さん それはすごいなぁ。

波瑠さん 人気出そうだし、スケールが大きいよね。私は何か習い事をしたり、新しい趣味を見つけたりしたいと思っています。まだ決めてはいないですが、家庭菜園とかいいかなと考えているところです。

―実用的で楽しそうですね。それでは最後に、聡子のようになかなか自分に自信を持てない人たちにメッセージをお願いします。

瀬戸さん まずは、この作品を観てほしいです。それから、努力は報われると思うので、たとえ少しだとしても、いまあなたがしている努力はこれからも続けてみてください、と伝えたいです。

佐藤さん 今回、聡子を見て感じたことは、容姿を変えるだけで中身まで変わるんだなということでした。メイクや髪型を変えるだけでも新しい発見があると思うので、そういったトライをすることはオススメしたいです。

波瑠さん 私は自信を持つというよりも、「自分っていいじゃん!」と思えるような自分を目指すのがいいかなと思っています。努力した先の結果が最初に立てた目標とは違っていたとしても、努力をした過程で得られるものがたくさんあるはずなので。聡子と同じように、みなさんにも一歩を踏み出してほしいです。

インタビューを終えてみて……。

みなさんの絶妙なやりとりが繰り広げられ、笑いが溢れる時間となった今回の取材。現場での仲の良さや見事なコミュニケーションがあったからこそ、ステキな作品に仕上がったのだと感じさせられました。劇中では、ドキドキする三角関係にもぜひ注目です。

恋する楽しさを思い出させてくれる!

恋に臆病になってしまったり、勇気が出せずにモヤモヤしたりしているときこそグッと背中を押してくれるハートフルコメディ。“愛の国”フランスからやってきたスタンダールが説く、目からうろこの恋愛テクニックも必見です。


写真・安田光優(波瑠、瀬戸康史、佐藤大樹) 取材、文・志村昌美 

ストーリー

恋愛経験ゼロで、自分に自信が持てない図書館員の聡子。ある日、優しく紳士的な涼介と出会い、一瞬で恋に落ちる。自分を変えたいと願う毎日を過ごしている聡子の前に突如現れたのは、「恋愛論」の作者であるスタンダールだと名乗る男だった。スタンダールは涼介との恋を実らせるため、恋愛のノウハウで聡子を導こうとする。2人は徐々に接近していたが、聡子のある秘密が発覚しそうになってしまう……。

心が弾む予告編はこちら!

作品情報

Amazon Prime Videoドラマ『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』
Amazon Prime Videoで独占配信中
製作:東映
https://www.amazon.co.jp/dp/B09RKNVRPG
公式Twitter:@Koioti_Stend
© 東映