田代 わこ

野菜や果物で肖像画!? 話題の“アルチンボルドメーカー”をやってみた!

2017.6.28
上野の国立西洋美術館でスタートした『アルチンボルド展』。16世紀後半に活躍した画家の展覧会ですが、この会場入り口に “アルチンボルドメーカー” なるものが登場し、話題になっています。プレス内覧会を取材してきましたので、レポートします!

どんな展覧会?

【女子的アートナビ】vol. 73

『アルチンボルド展』では、イタリア・ミラノ出身の画家、ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593)の油彩画と素描を中心に、約100点の作品を紹介。代表作の『四季』が日本ではじめて一挙公開されるということで、美術ファンに注目されている展覧会です。

とはいえ、アルチンボルドという名前は初耳という人も多いかと思います。画家についての詳細はさておき、まずは企画展示室の入り口にある “アルチンボルドメーカー” で記念撮影にチャレンジしてみましょう。

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“アルチンボルドメーカー” は、個人の顔だちにあわせて、野菜や果物で自分の肖像画をつくってくれる記念撮影コーナーです。でも、なぜ野菜や果物? それは、アルチンボルドが食べ物や植物、動物などを組み合わせて人間の顔を描いたことで知られる画家だからです。「もしもアルチンボルドが私の顔を描いたら、どんなふうになるのだろう?」そんな夢を最新のデジタル技術が叶えてくれます。

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ということで、私もチャレンジ。この写真は…閲覧禁止レベルかもしれません。ちょっと『進撃の巨人』も入っている感じ。怖すぎます。

アルチンボルドの代表作、登場!

入り口で記念撮影を楽しんだら、いよいよ展示室へ。一番の見どころは、画家の代表作で《春》《夏》《秋》《冬》4つの作品からなる『四季』です。話題の本作は、さまざまな植物を組み合わせて描かれています。

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例えば、1563年制作の《春》(写真右)には、約80種類もの春の草花が描きこまれています。どの植物も、種を見きわめられるほどリアル。よく見ると、眉毛や唇、歯までも植物で表現され、耳はシャクヤクの花になっています。

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《春》は若々しいイメージの肖像画ですが、《冬》(写真左)は見るからに老人。顔は枯れ木で表わされ、木の節は深いしわのように見えます。目は切り株の割れ目、唇はキノコで形作られ、かなり異様な雰囲気。藁のマントには、アルチンボルドが仕えた皇帝マクシミリアン2世を暗示するMの文字が部分的に描かれています。

また、『四季』と対をなす『四大元素』の4つの作品《大気》《火》《大地》《水》も同じ部屋に展示。合計8つの貴重な大作をまとめて鑑賞できます。(下の写真は、8作品の拡大パネル)

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それにしても、なぜこんなに手のかかる奇妙な絵を描いたのでしょう? 理由のひとつは、皇帝礼賛。繰り返し訪れる意味を持つ『四季』と、世界を構成する『四大元素』の絵は、この世を治める神聖ローマ帝国が永遠に続くことを示す寓意になっているそうです。

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また、知性とユーモアのあったアルチンボルドが絵に謎を込め、宮廷の人たちが絵解き・謎解きを楽しんだ、という話もあります。彼は宮廷の人たちを喜ばせるために、多くの「だまし絵」的な肖像画を制作。「上下絵」と呼ばれる上下どちらからも鑑賞できる作品も手がけていました。

宮廷のアートディレクター

皇帝に寵愛されていたアルチンボルドは、画業だけでなく、宮廷演出家としても活躍。祝祭のプロデュースをしたり、古代美術品を買い付けにいったりするなど、アートディレクターのような存在だったそうです。会場では、そんな彼が宮廷行事のために描いた素描なども展示されていました。

晩年には貴族の称号も授与されますが、最後は故郷のミラノに戻り、67歳で亡くなったといわれています。

最後はミュージアムショップ♪

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濃厚な展覧会を楽しんだあとは、ぜひミュージアムショップへ。フリーズドライにしたフルーツや、野菜チップスなど、アルチンボルドの作品に使われていそうな食べ物がいっぱい! 

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さらに、カードを並べるとアルチンボルドの絵柄になるトランプもあります。かわいいです!

アルチンボルドの不思議な世界にひたれる展覧会は、9月24日まで。

Information

会期:~ 9月24日(日)※休館日は月曜日、7月18日(火)。ただし、7月17日(月)、8月14日(月)、9月18日(月)は開館
時間:9:30~17:30(金・土曜日は午後8時まで。6月30日(金)以降、21時まで)*入館は閉館の30分前まで
会場:国立西洋美術館
料金:一般 1,600円/大学生 1,200円/高校生 800円 ※中学生以下無料

公式サイト