不動産会社の女性経営者が教える!10のポイントでわかる物件探しの基本「間取り図の注意点から入居まで」

文・市岡彩香 — 2024.5.25 — Page 1/2
ひとり暮らしをしたくても「何から始めていいのか分からない…」という人は多いのではないでしょうか。今回は、ひとり暮らしを始めるときに知っておくべき「お部屋探しの進め方HOWTO」を、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに教えてもらいました。プロからのアドバイス、ぜひお部屋探しのヒントにしてください!

不動産会社の女性経営者が教える! 10のポイントでわかる物件探しの基本「間取り図の注意点から入居まで」

間取り図画像
©illustAC

【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.57

――お部屋探し初心者のかたに向けて、何から始めるべきなのか、賃貸物件を探す際の進め方をイチから教えてください!

1.「家賃を決める」

平出さん 物件を探す前に、まず家賃をいくらにするのか決めましょう。支払える家賃を決めてから物件を探す方が探しやすいです。敷金、礼金、仲介手数料や火災保険料など、引っ越し時には初期費用がおよそ家賃の5~6倍かかることもありますので、無理のない範囲で予算に合った物件を探すことをおすすめします。

2.「住みたいエリアを決める」

平出さん 家賃が決まったら、住みたいエリアを決めましょう。住みたいエリアの希望が特にない場合は、勤務先や通学先から〇〇分以内、と決めておくだけでもいいと思います。

3.「物件をネットで検索する」

平出さん 住みたい駅周辺の不動産会社に行って探すのもいいですが、ネットで物件を探しをすると、”絞り込み条件”という項目から、家賃、沿線、間取り、部屋の広さなどを指定して探すことができて便利です。他にも、バス・トイレ別、2階以上、オートロックなど、自分の希望条件を細かく設定することができるため、物件を効率よく探すことができます。

4.「不動産会社に問い合わせをする」

平出さん ネットで気になる物件を見つけたら、メールやLINE、または電話で問い合わせをし、担当の不動産会社から折り返しの連絡を待ちましょう。もし目当ての物件が埋まっていた場合は「この物件に近い物件はありますか?」と聞いてみるといいです。また、不動産会社に問い合わせする際は、引っ越し希望の日程と内見する日程をあらかじめ伝えておくとスムーズに進みますよ。

5.「内見をする」

平出さん 必須ではありませんが、気になる物件の内見に行くことで、実際の部屋の雰囲気、広さ、外観、周辺の環境を確認できます。内見したからといって絶対に契約しなければいけないということはありませんので安心してください。ただ、あまり多く内見しすぎると「ここもいいけど、あそこもいいな…」と決めきれなくなったりと、本来の希望条件を見失うことも。ある程度、希望の条件に合った物件を絞ってから内見することをおすすめします。

6.「申し込み」

平出さん 内見して物件が決まったら、申し込み、契約という流れになります。申し込みをしたら、契約をする前に審査が必要となります。その際、身分証明書や源泉徴収票などの収入証明が必要になることがありますので、申込みをする際は準備しておくといいと思います。

7.「契約」

平出さん 申し込みをして審査が通ったら、契約となります。担当の仲介会社が進めるので、契約といっても特に難しいことはありませんが、必ず契約書には目を通して、疑問点があったら押印する前に担当者に確認するようにしてください。

8.「引っ越し会社を探す」

平出さん 物件が決まったら、引っ越し会社を探しましょう。引っ越しする時期や荷物の量、引っ越し会社によって大きく価格が異なるので、複数の会社に連絡して見積もりをとることをおすすめします。早割りサービスを設けている会社もあるので、物件探しと並行して早めに探しておくのもいいと思います。私は以前、友人たちに頼んで引っ越しをしたことがありますが、かなり時間と体力を消耗したので「次はプロに頼もう」と思いました(笑)。

9.「今住んでいる物件の退去手続き」

平出さん 今も賃貸物件に住んでいるかたは、退去時の引き渡し(立ち合い)の対応が必要です。公共料金の解約または変更も忘れずに行ってください。引っ越し後は、住民票の変更、郵便物の転送手続きなどが必要になります。

10.「引っ越し初日に、傷や汚れがないかをチェック」

平出さん 無事引っ越しができたら、新たに住むお部屋に、傷や汚れがないかを必ずチェックしておきましょう。もし、傷や汚れがあった場合には管理会社にメールなどで報告をしてください。管理会社によっては、現況確認書という入居時の傷等を報告するためのチェックリストを用意している場合もありますので、契約時に聞いてもらっておくと便利です。写真に残しておかないと、退去時に修繕費用を請求されてしまう可能性があります。

――初めてお部屋探しをする際、平出さんなら絶対しないことはありますか?

平出さん 自分の決めた家賃より高いと、いくら素敵な物件でも後々支払いが負担に感じ後悔してしまうこともあります。まだ私が不動産業界で働いていない頃の話ですが、物件を探しているときに強引な営業をしてくる不動産会社に対応されてしまいました。自分が伝えた希望の家賃より2万円高いにも関わらず強く勧められてしまい、断るのがすごく大変だった記憶があります。その経験もあり、お客様の要望に合わない物件はおすすめしないと決めています。

――初めて物件探しをする人が、失敗することはどんなことが多いですか? お客様のお話など実際のエピソードがもしあれば教えてください!

平出さん 「ネットで見たらよさそうだったのに実際に見てみたら違った…」という話は意外と多いです。また、ネットでは”おとり物件”といって実際に募集していない部屋を出して集客する会社もありますので要注意。慎重にお部屋探しを進めることが大切です。他にも「エアコンがきかない」「水回りが古い」「周辺の環境が悪かった」など、間取り図を見ただけでは分からず、住んでから、失敗だったと後悔してしまうケースも。そのため、少しでも気になることがあれば、住む前に必ず不動産会社の担当者に確認をするようにしてください。

お部屋探しのおすすめ方法は、”絶対に譲れない条件を2~3つ程度決めて物件を絞っていくこと”。オートロック、2階以上、バス・トイレ別、駅チカ、2口コンロ、ワンルームはNGなどなど、人によって希望の条件はさまざまですが、すべて叶えたくても家賃との兼ね合いもあると思います。「いい物件なら何でもいいです」と漠然としている人も、希望条件がないとなかなか物件を決められず満足できない結果になる人も珍しくありません。引っ越しは人生の転機の1つ。ぜひ楽しみながらいい物件を見つけて、素敵な新生活を過ごしていただきたいなと思います。


快適なひとり暮らしを始めるために知っておこう

いかがでしたか。物件探しは賢く丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてください。

教えてくれた人
株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん

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宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。
東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。


文・市岡彩香
anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。