「何かを始めようと思ったり、実際に始めてみたりしても、だいたい途中で投げ出すのが人間。挫折すれば、誰でも反省し、自己嫌悪に陥るものですが、大抵の人は反省もどきしかしていないと思います(笑)」
カレー沢さん曰く、
「落ち込んで終わりなら、ウジウジしている分だけ、時間のムダだし、目標がクリアできることが必ずしもいいとは限りません。たとえば、痩せたらいいことありそうとダイエットを始めても、物理的には痩せたのに好転しなかったら、打つ手がない。ならば、延々と失敗し続けて、一生『痩せたら幸せになれる』という希望のアメを舐め続けたほうが幸せ。あるいは、中途半端にやめてしまった自分をダメなやつと非難せず、無駄なことをせずにすんだ自分は『判断力に長けていたのだ』と、自己肯定にまで持っていければ成功です」
連載に当たっては、編集者がお題を振り、やらない言い訳をカレー沢さんがコラムに書く形式をとった。
「前にも似たネタをやったなあと思うことが何度かありましたが、言い方を工夫して乗り切ったり…。でもたまに『それはただのわがままではないか』『さすがに人としてどうか』というテーマも交じっていて(笑)。不倫など弁護できないネタのときは、率直に“自分のためにしないほうがいいよ”という論調で書いた回もあります」
どんなむちゃ振りにも応えてしまうそのサービス精神が、笑いを生む。
「そもそも、好きなことを何でも書いていいと言われても、言いたいことはない。むしろこういうテーマで書いてくれと無理難題を出されるほうが、詭弁を弄するかいがあります」
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