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演劇作家・藤田貴大 女性の「うで毛」「充血した目」に好感!?

2017.4.12
現実と妄想が豊かに溶け合う、注目の演劇作家・藤田貴大さんの初エッセイ集『おんなのこはもりのなか』。
藤田貴大

「“連載で女の子のことを書いてほしい”と言われた時は、何を言っているんだろうと思いました。編集の方がとても感じがよかったので引き受けたんです。でもはじめてみて、週刊誌の連載がこんなにきついとは思いませんでした(笑)」

2013年の秋から2015年の5月まで本誌に掲載された藤田貴大さんの連載「おんなのこはもりのなか」が、いよいよ同タイトルで単行本に。主宰する劇団「マームとジプシー」の活動も多忙ななか、途中からはパソコンではなくiPhoneで、稽古場に向かう電車の中で書いたりもしていたとか。

「繰り返しますが、あんなにきついとは(笑)。でも20代後半から現在までの僕の感情の移ろいみたいなものが書きこまれた気がする。それはすごく恥ずかしいけれど、重要な記録じゃないかとも思います」

藤田貴大

女性の身体のパーツやファッションに言及するなかで、うで毛や充血した目、流れ落ちる汗などに好感を示すなど、着眼点が意外。

「狙って書いたわけじゃなく、僕自身が本来マニアックなんだと思います。でも汗をかく女の子が好きと書くとフェチ的に見えてしまうけれど、そういう人もすごくきれいだってことが書きたかったんです」

読み進めるうち、この人は女性を全肯定してくれていると伝わってくる。そもそも“おんなのこ”という響きもなんとも優しいが、

「うちの母親が、僕が女の子のことを“女”と呼ぶと怒るような人だったんです。それにたとえば祖母を見ていてもどんどん無邪気で子どもっぽくなっているし、20代を過ごして周囲を見て思うのは、女性はみんなずっと“おんなのこ”なんだなってこと。この連載ではそういうことを書きたかったし、それは僕が『マームとジプシー』でやろうとしていることでもあるんです」

藤田貴大

一方、テーマから逸脱した回も多い。幻想小説のような実体験があったり、ふと耳にした生々しすぎる男女の会話があったり…。

「旅に出ている時は旅のことを書いているし、その時のコンディションが影響して、仕事がきつい時期は暗い文章が続いたりもしました。僕は出演者たちとプライベートな会話はしないんですが、みんな連載を読んで“こういうことを考えているのか”と思っていたらしい。一方的な交換日記になっていました(笑)」

結果的に、豊かな味わいをもたらしてくれる一冊となった本書。

「単行本にする際に“からだ”“きおく”“におい”などのチャプターに分けたり、旅の部分は違うニュアンスの文字にしたりと、本として飽きない構成になっているはず」

連載時とはまた違う味わいの、一人の男の子による貴重な記録なのだ。

ふじた・たかひろ 1985年生まれ。2007年「マームとジプシー」を旗揚げし、全作品の作・演出を担当。’12年、第56回岸田國士戯曲賞受賞。’16年、第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。

注目の演劇作家の記憶に刻まれる女の子たちの光景とは? 日常とは? 現実と幻想のあわいをたゆたう筆致が心地よい妄想系エッセイ集。20代後半から30代に入るまでの期間に綴られた一冊。マガジンハウス 1300円

今年、2007年の旗揚げより10年めを迎える劇団マームとジプシー。例年にも増して上演予定が盛りだくさん。まずは、5/3(水)~5/7(日)LUMINE0にて、新作『sheep sleep sharp』を上演。また、7/7(金)~9/17(日)には10thアニバーサリーツアーが決定。『∧∧∧かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと――――』や初期作品『夜』三部作、『動物』三部作、『あっこのはなし』をさいたま、上田、札幌、北九州、豊橋、伊丹の全国6都市で上演予定。そのほかにも12月までさまざまな試みを予定している。
マームとジプシー mum_gypsy@yahoo.co.jp http://mum-gypsy.com 
『∧∧∧』(C)橋本倫史

※『anan』2017年4月19日号より。写真・土佐麻理子 インタビュー、文・瀧井朝世

(by anan編集部)


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