奏でられる、愛の物語

ミアキス・シンフォニー装画

愛を描く傑作小説

ミアキス・シンフォニー

加藤シゲアキ

週刊誌『anan』で、全16回にわたり不定期連載していた
小説「ミアキス・シンフォニー」を、新たなる物語として刊行。
連載開始から約7年。加藤シゲアキが“愛”というテーマに挑んだ大作。

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ミアキス・シンフォニー 書籍イメージ

ミアキス・シンフォニー

  • 著者:加藤シゲアキ
  • 発売日:2025年2月26日(水)
  • 価格:1800円(税抜)

博多から大学入学を機に上京したあやは、成長を感じられず、焦燥感にかられ、鬱々とした日々を送っている。ある日、あてどなく大学構内を歩いていると、同級生のまりなに遭遇し、思いがけない事件が起きる。そこから始まる物語は、さまざまな出逢いを連れてくる。

Story

博多から大学入学を機に上京したあやは、成長を感じられず、焦燥感にかられ、鬱々とした日々を送っている。ある日、あてどなく大学構内を歩いていると、同級生のまりなに遭遇し、思いがけない事件が起きる。
そこから始まる物語は、さまざまな出逢いを連れてくる。和食の料理人師弟の感情のもつれ、兄弟間の浮かんでは消える愛憎、元夫婦の複雑な思い…。
さまざまな場所で生まれるドラマの連鎖がさらに縁をつなぎめぐり会っていく人々。そこに愛はあるのか、それは愛のようなものなのか。
今、“愛”を考えるための最上の物語!

  • 第1章 相関図
  • 第2章 相関図
  • 第3章 相関図
  • 第4章 相関図
  • 第5章 相関図
  • 第6章 相関図
  • 1 わたしのともだち
  • 断れない案件
  • シンボル
  • 誰かの景色
  • 砂の城
  • 愛のようなもの

Chapter

Review

  • 登場人物たちが繋がって交錯していく様に目が離せなくなる。紡がれる言葉が胸に染み入り、はっとさせられる。夢中になって物語に陶酔していった。
    愛は厄介で複雑だ。愛するからこそ葛藤する。愛している人に愛されたいだけなのに、時に人を追いつめ傷つけ、愛は罪にもなる。
    愛には正解がない。愛のかたちは一つではない。人によって違う。物語を通じてさまざまな愛のかたちを知った。
    愛するということは何なのか?
    愛ってとっても難しいけれど、難しさの先に喜びや尊さが存在するような気がしている。愛するという経験が気づきを与え、人を成長させてくれる。人生思い通りにはいかないけれど、自分の気持ちに正直でいたい。自分が信じた愛のかたちを生きたいと強く感じた。
    ラストは心が軽くなり、あたたかな気持ちで胸がいっぱいになった。
    読後大きくて深い、心地よい余韻が残った。
    満足感がすごい。読み終えるのがもったいなかった。何から何まで本当にたまらなく大好きな作品だ。加藤シゲアキさんは新作を読む度に、好きを更新し続けてくれる作家だ。
    愛に向き合う全ての人に贈りたい極上の一冊。最高に素晴らしい、素敵な作品でした!

    池尻真由美さん・紀伊國屋書店 久留米店

  • 個人がそれぞれの「好き」を上限なく発信できるこの時代に、それでも普遍的で曖昧な「愛」を根幹に人間模様が繋がっていく様は、まさに「ミアキス」のようでした。
    個人的には「はしもと」の大将の話がぐっときました。誰しも後ろめたいことがある。それに向き合うのも愛であるし、赦すのも愛である。後ろ指を差されても、冷たい目で見られても、第三者には理解できない「愛」が、確かにそこにある。お見舞いに行く時のシュークリームを持つ手の描写がリアルで、こちらも拳を握ってしまったほどです。
    時に与え、時に受け取り、時に拒絶し、時にこぼれ落ちてしまう。そんな多種多様な「愛」に触れてきたであろう加藤さんが、登場人物とともに悩み、もがき、焦がれながら出した「愛」についての、一つの答えを見れた気がしました。

    Aさん・ACADEMIA イーアスつくば店

  • 一筋縄ではいかない人の心と人間関係。
    人間の不器用さと愚かさが不思議と愛おしい。
    結局すべては、愛だって、死ぬ時にならないとわからない。
    自分の心さえ一瞬先のことはわからないのだから。
    そこに愛はあるのか。
    今はわからないけれど、愛のようなものはいつもあって、揺れ動きながら人と人との間を漂いふんわりと広がっていったら良い。

    猪股宏美さん・東京旭屋書店 新越谷店

  • 愛とは何か? たぶん誰も答えを出したことのない難問があなたを待つ。この本を読んだところで答えは見つからないだろう。けれど一つだけ確かなのは、私たちがそれぞれ異なる歪な生きものだからこそ、愛がそこにあるということだ。

    河出真美さん・梅田 蔦屋書店

  • 自分と繋がるどこかの誰かにとって愛することは正義であっても、他の誰かには狂気かもしれない。
    乞う人、与える人、形になって見えるもの、見えていると信じているもの。
    曖昧で不確かだと思っていてもくっきりとその輪郭が浮かび上がる瞬間があったりもする。
    愛するということも、元は皆同じ形だったのに進化して幾つにも広がったのかもしれない。
    たくさんの登場人物が交錯し、様々な愛の形を言葉で紡ぐ著者が愛を歌う時、それはどんな感覚なのだろう。

    吉井文代さん・紀伊國屋書店 鹿児島店

  • 今までにない「小説の質感」を出すことに成功している。
    多様性ということが言われて久しいけれど、文学に「つながりの妙」という多角性を持ち込んだミステリアスでスタイリッシュなストーリー。
    「わかりにくく、見えにくく、気づきにくい。だから私は足りないと思って、追い求めてしまう」──「愛」というものを表すのに、これほど切ない心の吐露の文章があるだろうか。
    誰かのために火の中に飛び込む、相手の欲しい言葉を言う、チャンスを与える、自由にさせる、縛る。すべての源に「愛」がある。人間の最高と最低の行いの源が一緒。この滑稽で残酷な世界を軽やかに描いた傑作。

    間室道子さん・代官山 蔦屋書店

  • 繊細な描写に1ページ目からぐっと心を掴まれました。最後まで読み切って、もしかして、と1ページ目に戻ってきたとき鳥肌が立ちました。最後まで目が離せなかったです!
    ラストシーンは少し前の現実にリンクしていく心地がして、物語をぐっと身近に感じることができました。そうだよね、愛だって負けないよね、とまりなと一緒に前を向ける、素敵な読書体験でした。

    小川さん・谷島屋 浜松本店

  • 愛というものは、その人の成熟の度合いにかかわりなく誰もが簡単に浸れるような感情ではない。エーリッヒ・フロム『愛するということ』 作中にて引用されているフロムの言葉は今回の『ミアキス・シンフォニー』において特に印象的かつこの言葉こそこの作品を今一度読みたいと思えるきっかけになると思いました。登場人物それぞれに姿も形も全く分からない「愛」が悩みの種となり着火剤にもなっていた。「愛する」ことが行動でも言葉でもない何かであるのであれば多くの人がこの本を読んで、家族であり恋人であり友人でもいい、誰かと共有しあえる時間が流れれば良いと思いました。

    嶋田さん・紀伊國屋書店 横浜店

  • それぞれの出会いでそれぞれの世界が広がってどんどん物語の深みが増していく。読めば読むほど登場人物のことが知りたくなって読了後は目を閉じて、深呼吸して愛についてゆっくり考えたくなった。

    山口奈美子さん・三省堂書店 有楽町店

  • 「愛」というたった一文字、音にすると二文字にこめられる意味の奥深さ多様さ、尊くも時には陳腐にも聞こえる「愛」、こんなに「愛」について思いを馳せたのは初めてでした。
    自分の知り合いに居そう……とリアリティのある登場人物達に感情移入しやすく、身体にスッと沁みる文章がとても好きです。
    間違いなく、加藤シゲアキさんの極上の愛の物語です。

    中野亜沙美さん・三省堂書店 一宮店

  • 決まった形がなくて、あいまいで、とても不確かなもの。だからこそ求め続けていても、それに手が届いたのかどうかわからないし、永遠という確信も持てない。主人公の一見不可思議な行動のすべては愛を探していたのだと、そう気づいたときから本当の物語が動き出したような気がしました。朝顔の花言葉は「愛情」、歪んだ形であっても一方的であっても、その愛は確かに届いていたと確信できた印象的なシーンがとても心に響きました。

    熊谷由佳さん・丸善ヒルズウォーク 徳重店

  • 人生とはままならないもの、だからこそ美しく、愛しく、尊いものである。物語を読んでいるはずなのに、今、自分が開いている本は哲学書であるかのような、不思議な気持ちになりました。愛とは何か。思わず読者である自分も探そうとしてしまう、究極の愛の物語を書店でお手にとってほしいと強く思います。

    中村優花さん・MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店

  • 様々な愛のかたちがあり、本人にとって、相手にとって良いかどうかは、他者では気付ないのだなと。だからこそ、読み進めていくと新しい「愛のかたち」があり、このような愛し方、愛され方もあるのかとハッとしてしまう。愛するということはとても大きくそして小さなモノなのだなと。

    小川由起さん・紀伊國屋書店 笹塚店

  • 繊細さと豪快さを持った、様々な愛のかたちに触れ、全てを包み込む優しさと力強さを感じた。
    加藤シゲアキは、常に新しい。だから、こんなにも心が動き、魅了し続ける。

    瀬利典子さん・明文堂書店 金沢野々市店

  • 「愛するということ」は、人それぞれ違っていて、どこか不器用で、見つけにくい。
    その小さな輝きひとつひとつを、そっと集めて見せてもらったような物語でした。
    「言葉じゃ伝えられないんだ」ということを、言葉を尽くして表現しているとしたら、まさにこの小説こそが加藤シゲアキさんの愛の形なのかも知れない…なんてことを思ってしまいました。

    古森さん・三省堂書店 池袋本店

  • 軽やかな読み心地ですいすいと読み進めることができました。加藤さんのこれまでの作品にもいつもさまざまな形の「愛」を感じてはいましたが、今回はそれがストレートに描かれていてこちらもその想いを逸らさぬよう必死に受け止めました。プルーフを読む前にanan掲載分をまとめておいたものを読み返しました。連載中は連載の都度追いかけていたので今回まとめて読んだことで物語の全体像がさらにハッキリ見えました。ところがプルーフを読んでさらなる驚きの連続でした。物語の順番を入れ替えたことで格段に読みやすくなり、語り手の切り替わりによる視点の変化がより鮮明になっていました。さらに回によっては語り手も連載時と変わっていて、知っているエピソードを読んでいるはずなのにすごく広がりがあってワクワクが増しました。なるほど、これはシンフォニーだ!と。
    加藤さんがラジオで「レゴで作った車を同じパーツで違う車に作り替えるような作業だった」と仰っていたことがピンとハマりました。この登場人物たちがそれぞれの愛とともに生きていくこれからの世界が、けっして悲しいものではないと思えるラストでした。そしてそれが今度はわたしたちの世界に繋がるのですね。答えが出ない問いも、考え続けることに意味があり、人間同士もばらばらだからこそ愛おしいものだと、この物語から教えられました。読んだ人の数だけ新しい愛が生まれる物語だと思います。たくさんの人に届けられますように。

    中村深雪さん・伊吉書院 類家店

  • そう繋がっていくのか! と道すじが見えたときにはっとする。どうか全員幸せになってほしいと祈るように最後のページを閉じた。

    鶴見真緒さん・紀伊國屋書店 武蔵小杉店

  • 人の純粋さを信じても受け入れる器によって良くも悪くも変化してしまう。 それでも自分がいて、どこか彼方の誰かがいて、何より大切なあなたという存在があれば、これからいくらでも人生を様々な形で彩り描くことができる。愛の光がどこまでも貫く昂ぶりに溢れた作品だった。

    山本亮さん・大盛堂書店

  • 本当に壮大なオーケストラをきいているようでした(私にはボレロが流れてきました)。生きていく中で感じる孤独や不安、愛への渇望が様々な登場人物により細やかにつむがれていく。その中で愛されることから愛することへの向き合おうとする少女の姿は私を駆り立てた。恐れるもんかと能動的に行動する彼女から目がはなせなかった。愛すること、そして生きることの本質にふれる物語だ。

    木村美葉さん・コーチャンフォー新川通り店

Profile

加藤シゲアキ

加藤シゲアキ

1987年7月11日生まれ、大阪府出身。アイドルグループNEWSのメンバーとして活動しながら、2012年『ピンクとグレー』で作家デビュー。’21年『オルタネート』で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞。同作と’23年に刊行の『なれのはて』で直木賞候補に。他の作品に、エッセイ集『できることならスティードで』など。
’22年、舞台『染、色』の脚本で岸田國士戯曲賞候補にも。
’25年には、ミラーライアーフィルムズ Season7 in愛知県東海市でショートフィルムの監督・脚本を担当することが発表されている。

Message
「ミアキス・シンフォニー」の連載が始まったのは2018年4月でした。あれから刊行まで7年弱。作家人生で最も時間がかかった作品です。
その間、世界も社会も、私に関しても個人としても作家としても、ありとあらゆることがありました。連載を終えてもなお改稿を続け、刊行までの時間をさらに要したのは、なにを書くべきか私が迷い続けたからです。完成するのか不安でしたが、私はふと思いました。迷い続けたまま終わらせてもいいんじゃないか、と。小説とは常々、答えではなく問いだと考えています。そしてこの小説のテーマのひとつでもある「愛」もまた、問いなのではないかと、書きながら感じました。
そう気付くとすらすらと書き進めることができ、私はついに「了」という文字を入力しました。書き上げた今はすがすがしく、愛に満たされた気分です。 最高のものができたと、空に向かって叫びたいほどです。さまざまな人物が現れるこの群像劇が、読者にどう読まれるのか楽しみで仕方ありません。この作品は、私をまた新たな境地に連れていってくれました。どうか多くの方に手に取ってもらえることを願っています。