ティム・バートンが描く“奇妙なこども”は昔の自分?
ティム・バートンといえば、『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』など、ファンタジー映画ならこの人! って監督よね~。そんな彼の最新作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は、まさに彼の真骨頂! だって、子どもたちがユニークすぎなのよ。空気より軽い女子とか、透明男子とか。
「この映画は、子どもたちの超能力について描いているというより、それにともなう心の痛みや疎外感を人間との対比で見せているんだ。僕は原作を読んでそういうところに惹かれたんだよ。幸い、今回出演した子どもたちは、大人の俳優顔負けだったから、そういうことをちゃんと理解して、見事に演じてくれた。普通、映画撮影では“言うことを聞かない子どもと動物には気をつけろ”って言われてるけど、彼らはまったくそういう心配がいらなかったんだ。しかも、透明人間や全編お面をつけた双子なんて一度も顔が映らないのに、喜んで仕事してくれたんだよ(笑)。えらいよなー」
既存の社会になじめないのって、子どもにはつらいものね…。主人公のジェイクは空想家って思われて周囲にはなじめないんだけど、おじいさんの遺言で、森の中にある、ミス・ペレグリンと子どもたちが住むお屋敷に行くの。そのお屋敷、作りものじゃなく、実在するんですって!
「物語の重要な場所となる屋敷は、わざわざセットで作るのは違うなって思ったんだ。民家のようであってほしかったから。あの屋敷はベルギーのアントワープにあるんだけど、あれが見つかって本当に良かったよ。だって、キャストのほとんどが子どもだから、グリーンバックの前で演技するのは大変だろうからね」
子どもの役作りにもお役立ちだなんて一石二鳥! ちなみに、映画界で独特の存在になっている監督自身は、子どもの頃ってどんなだったのかしら…。っていうか、今も子どもマインド強そうなんだけど。
「僕は今も子どもとして過ごしてるんだよ(笑)。実際のところ、子どもの頃から“あの変わった子”って言われ続けてきたんだけど、僕にとってのペレグリンは祖母で、僕を守ってくれた。そういう僕だから、この作品には思い入れが深いんだ」
この作品もダークなテイストなのに、登場人物が可愛く見えちゃうのよね~。監督の作品に出てくるキャラって、みんなそうだもの~。
「これまで手がけた作品全部“ダークすぎる”って言われてきたよ。でも、たとえば『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』にしても、今じゃ3歳児がその歌を歌っているくらいだからね(笑)。僕は主人公のジェイクの能力に共感したけど、蜂まみれの能力だけは絶対イヤって思ったりしたなー。みんなもこれを観たらきっと、誰かのちょっと変わってるところを愛せるようになるよ」