特にマイノリティでもない! LGBT、日本では20人に1人の現実

2016.11.13
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「LGBT」です。
堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN
堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

LGBTとは、「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」の頭文字をとった言葉です。LGBは同性愛や両性愛の性的指向を指し、Tは性同一性障害を指すので、正確にはひとくくりにできないのですが、「セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)」を一般に知ってもらうため、まとめて呼ばれるようになりました。

これまで、同性愛者というだけで、差別や偏見、人権が侵害されることが続いてきましたが、性的少数者への理解を示し、多様性を認める社会をと、LGBTが取り上げられる機会も増えてきました。誤解しないでいただきたいのは、LGBTを保護しよう、ということではありません。性的多数者と同様に、普通に生活ができる環境を整えようとしているだけなのです。

たとえば、一般には結婚して家族と認められると、配偶者控除など税の優遇が受けられたり、家やお金を借りるときの保証人になることができますよね? ところが同性パートナーではこれらが認められません。

そんななか、一昨年渋谷区では、同性でも結婚に相当する関係と認める「同性パートナーシップ証明書」を発行する条例が作られました。企業でも同様の動きがあり、パナソニックやソニーでは、同性でも結婚と認める社内制度を設け、結婚祝い金も出しているそうです。ANAやJALではマイレージを共有できるようになりましたし、携帯電話会社もソフトバンクを皮切りに、同性でも「家族割」が使えるようになりました。ライフネット生命では、同性でも死亡保険金が受け取れるようにしています。また、LGBTフレンドリーな会社を支援団体が認定する取り組みなども広がりつつあります。

いま、日本のLGBT人口は約20人に1人といわれています。あなたの周りにも、LGBTであることを言い出せずにいる方が、いらっしゃるかもしれません。LGBTが特にマイノリティなのではなく、誰にでも他人と違う部分はあり、そのひとつが性の問題ということなのです。違いを「ないもの」と無視するのではなく、お互いに認め合った上で、共に生きる道を皆で作っていけたらと思います。

ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2016年11月16日号より。写真・中島慶子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)