30代も増加中!? 2つ以上当てはまったら要注意“スマホ認知症”リスクをチェック

2023.4.28
スキマ時間に場所を問わずスマホでSNSをチェックし、寝る直前まで動画観賞。ただでさえマルチタスクをこなし疲労している脳に、とめどなく情報を流し入れていると、脳疲労の悪循環に…。

だらだらスマホで脳がゴミ屋敷。キャパオーバーがもの忘れを招く。スマホ認知症とは?

スマホがもたらす膨大な情報が脳疲労を招く。

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長時間のスマホ使用によって脳が疲労し、生活に支障が出る状態を“スマホ認知症”と名づけ、その危険性にいち早く警鐘を鳴らしてきた脳神経外科医の奥村歩先生。

「膨大な情報に晒されると脳の情報処理が追いつかず脳が疲労します。するとますます情報処理能力が落ちて、疲労が悪化するという悪循環に。情報が整理整頓されていない、いわば“ゴミ屋敷”状態の脳では、必要な時に必要な情報や記憶の断片を引き出すことができません。その結果、思考力が落ちたり、言葉が上手く出てこなかったりして、仕事や家事に支障が出る状態を“スマホ認知症”と呼びます。認知症というと年配者の問題と考えがちですが、私のクリニックを訪れる方には30代も増えています」

奥村先生は、スマホ認知症による心身への影響は大きいとも。

「脳は体をコントロールしていますから、肩こり、胃腸の働きの低下、便秘なども引き起こしかねません。脳が疲労した状態だと依存症になりやすく、スマホ依存による精神的なダメージも心配です」

奥村先生はスマホから離れ、料理や散歩などで五感を刺激する時間を持つように勧める。

「仕事の効率を上げるためにネット検索する、好きな動画を見てリフレッシュするといった使い方はいいのですが、SNSやネットサーフィンを続けることは、脳を疲れさせるだけ。目的のないだらだらスマホはやめましょう」

CHECK!

□電車の通勤通学時や待ち時間など、時間があればスマホをチェックしている。
□調べものや名前が思い出せない時、すかさずスマホで検索する。
□覚えておこうと思った事柄について、写真やスクショで保存することが多い。
□トイレやお風呂、食事中もスマホをチェックすることがある。
□寝る前もベッドや布団でスマホを操作することが多い。
※2つ以上当てはまった方はスマホ認知症のリスクが高い可能性あり!

予防METHOD

脳疲労で鈍った五感を自炊で刺激。

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スマホからの情報を浴び続けていると、脳はパンク状態に…。「脳の疲れをリフレッシュするには、五感への働きかけが大事。日常生活の中でできることが、自炊です。食材ごとに切った時の音の違いに意識を向ければ聴覚が、旬の野菜から立ち上る強い香りは嗅覚が、そしてできあがった料理をいただく際には味覚が刺激されます」

散歩で脳内のセロトニンを活性化。

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“幸せホルモン”と呼ばれる脳内物質・セロトニンは、ストレスを感じると分泌されにくく脳疲れの原因に。分泌を促すには散歩など一定のリズムで体を動かすのが効果的。「スマホでマップを見ながらではなく、景色に目を向けて目的なくぼんやりと歩けば脳は休まり、自分でルートを決めることで、脳にいい刺激を与えられます」

anan recommend! 予防ITEM

噛んで記憶力を維持。大事なのは“リズムよく”。

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ガムをリズミカルに噛むことも、自炊や散歩のように認知症予防に非常に効果的。イチョウ葉抽出物が、中高年の記憶力を維持する機能があると報告されている。歯につきにくいガム粒〈記憶力を維持するタイプ〉¥151(ロッテお客様相談室 TEL:0120・302・300)

モーツァルト効果で、集中力を高めて。

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モーツァルトの曲やクラシック音楽の多くは、川の流れや風の音など自然音に近いリズムの揺らぎを感じさせるため、脳をリラックスさせる。さらに適度な刺激も与えてくれるので、心身ともに健やかな状態になれる。活脳クラシック¥1,650(デラ TEL:03・4545・2161)

奥村 歩先生 脳神経外科医。2008年、認知症やうつ病などを専門とする、おくむらメモリークリニックを岐阜県に開設。著書に『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』(青春出版社)、『スマホ脳の処方箋』(あさ出版)などがある。

※『anan』2023年5月3日‐10日合併号より。イラスト・のいぷらこ 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)