松本まりか、山田裕貴とは「細胞レベルの相性みたいなものもいい」 映画で共演

2022.12.4
映画『夜、鳥たちが啼く』で、鬱々ともがきながら幸せを見つけていく小説家の慎一とシングルマザーの裕子を演じた山田裕貴さんと松本まりかさん。

傷ついた男女が結びつきを体感し、ささやかな幸せを見つける物語。

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――演じたのはどんな役ですか?

山田裕貴:慎一は、自分の苛立ちを人にぶつけてしまうところがある人です。そういうシーンの撮影では、カメラの位置や動きを冷静に考えている一方、気持ちは10割相手に向かってるんで、すごく不思議な感覚でした。

松本まりか:裕子は、どうにもならないモヤモヤを抱えているけど、理解されず孤独で、かつての自分を見ているようでした。「自分みたい」というのは、山田さんにも感じていて。お仕事の量やスピードが変化する中で、イメージと本当の自分とが乖離して、叫びたくても叫べないような…。

山田:確かに。“熱い、明るい、まっすぐ”が僕のイメージとしてあるけど、実はそうでもなくて…。でも、もう引くに引けなくなってます(笑)。

松本:素質としては合ってるんだけど、みんなに喜んでほしくて、強く出しすぎちゃうんじゃない?

山田:そう! つい頑張っちゃう。松本さんは僕を理解してくれてるから、とても安心できます。

松本:私も山田さんの精神性を信用しているし、細胞レベルの相性みたいなものもいいのかな。

――濃厚なラブシーンもありますね。

松本:単なる性愛ではなく、慎一と裕子が本質的な意味で結びつく、崇高なシーンです。

山田:言葉にできない愛情を描く上で、絶対に必要なシーンでした。

松本:そう。脚本を読んだだけでは掴めなかったんですけど、触れ合ってみると、そこには二人だけの幸せという真実があって。本番前に、一回映像を確認させてもらったら、生々しくて美しくて。これはもう監督にお任せすれば、すべてを映画にしてくださるなって思いました。

山田:ほぼ長回しでの撮影で、慎一として生きる時間を長くしてもらえたことはすごく助かりました。

――二人の関係において、裕子の息子で小学生のアキラも重要ですね。

山田:僕は、“常識的に”とか“世間的に”とかって言葉が嫌いなんですけど、彼ら3人は他人にどう見られようと、自分たちが幸せであればいいんだと気づけた人たちです。

松本:裕子と慎一は体を交えても、外で手は繋げないような二人。そんなぎこちない二人の手をアキラが繋がせようとするんです。作中の空気感を自然と感じ取っていく(アキラ役の森)優理斗は天才だなと。ちなみに、現場で3人でいる時の山田さんは、無邪気にはしゃいでて、まるで大人優理斗(笑)。

山田:ごはんがカレーってだけで一緒に踊ったり(笑)。

松本:私も二人につられて踊ってるうちに、ついふざけちゃう、こういう無邪気な気持ちを思い出せたような気がします。

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『夜、鳥たちが啼く』 佐藤泰志の同名小説を映画化。若くしてデビューしたが、今はくすぶっている小説家の慎一のもとに、友人の元妻・裕子が息子のアキラを連れ引っ越してきた。一定の距離を保っていた二人だったが、ある夜を境に関係性が変わっていく。12月9日より公開。©2022クロックワークス

やまだ・ゆうき 1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年デビュー。今年、エランドール賞新人賞を受賞。来年、大河ドラマ『どうする家康』に出演。ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)もスタート。
ジャケット¥81,000(ユウキハシモト) ブーツ¥43,000(アポクリファ) 共にサカス ピーアー TEL:03・6447・2762 カットソー¥23,100(ダイリク d.dairiku@gmail.com) パンツ¥69,300 ベルト¥26,400(共にシュープ/ワンダーラスト・ディストリビューション TEL:03・3797・0997) ネックレスはスタイリスト私物

まつもと・まりか 1984年9月12日生まれ、東京都出身。2000年、『六番目の小夜子』でデビュー。近年の出演作に『最高のオバハン中島ハルコ』など多数。また来年スタートの大河ドラマ『どうする家康』にも出演する。
ドレス¥51,700(フェティコ) ブーツ¥33,000(センソ) 共にザ・ウォール ショールーム TEL:03・5774・4001 イヤカフ¥62,000 ゴールドパールリング¥129,000 シルバーリング¥95,000(以上シャルロット シェネ/エドストローム オフィス TEL:03・6427・5901)

※『anan』2022年12月7日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・森田晃嘉(山田さん) 中野ゆりか(松本さん) ヘア&メイク・小林純子(山田さん) 福岡玲衣(TRON/松本さん) インタビュー、文・小泉咲子

(by anan編集部)