長年のギャグがトレンド入り! なかやまきんに君「今になってなぜこんなにウケているのか」
――トレンドランキングに名を連ね、若い世代の人気者になっていますが、その実感はありますか?
実感はあまりないです。だからニュースを聞いて、本当に驚きました。だって「流行ったヒト」部門にランクインされている他の方々は、コンサートでドームを埋めるような人やドラマで主役を張るような人ばかりじゃないですか! それもみなさん10代20代の方ばかりで、その中に40代のただの筋肉男が入るなんてビックリです。
――「ヤー! パワー!」も昔から変わらず披露されている定番ネタですよね。
不思議ですよね。SNSやYouTubeなどのインターネットを通して、若い世代にも広まった感じなんですかね。高校生の間では、会話の間が持たない時に使うと場が和むとか、体育祭などで一致団結する時の掛け声にも使われているようです。短いフレーズだから使いやすくて、言いやすいのかもしれませんね。でも今になってなぜこんなにウケているのかは、正直僕にもわからない。今年で、芸歴24年目。やっていることはデビュー当時からまったく変わっていないし、僕は新ネタを作らず、筋肉ばかり作ってきたので…!
――(笑)。昨年末に吉本興業を退社され、独立されたことも話題になりました。今まで以上に仕事の幅が広がり、さらに忙しくなったのではないですか。
そうですね。ありがたいことにさまざまな業界からオファーをいただけるようになりました。今日も文部科学省主催の「トビタテ!留学JAPAN」という高校生向け留学応援プロジェクトに参加してきました。筋肉留学をした時の話をしてきたのですが、これまでの自分の経験を生かせるような仕事が増えたような気がします。
――独立はいつぐらいから考えていたのでしょうか?
僕はいつも3年から5年先に自分がどうなっていたいか想像しながら、そのつど、今何をすべきかを選択してきました。2006年に筋肉留学を決めた時もそうでした。小学生のころからお笑いの世界に憧れがあって、念願叶ってそれなりにテレビに出られるようになっていたのですが、芸人になるのと同じくらい、アメリカ留学への思いも強く持っていた。高校3年の夏に筋トレを始め、すぐにのめり込んだのですが、その時に読んでいたのがボディビル雑誌の『月刊ボディビルディング』や『アイアンマン』。その中に、アメリカ西海岸のベニスビーチの特集が載っていたんです。「ゴールドジム」の第1号店があり、世界中から多くのボディビルダーが集まる場所で、いつかここに住みたいと率直に思ったんです。さらにその近くにはエンターテインメントの中心地であるハリウッドもある。ならばアメリカに住む夢を叶えることと、世界で活躍できるマッスルエンターテイナーを目指すために、あのタイミングで筋肉留学をすることを決めたんです。留学中もショーを行ったり、映画を制作して上映したり、テレビのオーディションに合格したりと手ごたえもあったんですが、ビザの問題があり、思うように現地で活動できなかった。だったらこの時間を有意義に使おうと、サンタモニカ・カレッジに入学してキネシオロジー(運動生理学)を専攻し、筋肉の勉強をしたんです。最近、YouTubeをはじめ筋トレの仕方を教える機会が増えて、その時に学んだことがすごく生かせています。でもアメリカ挑戦は僕の大きな夢なので、まだ僕の筋肉留学は終わっていないと思っています。
――またアメリカに挑戦するために、独立したんですか?
僕には人生の目標が2つあって、一つはアメリカ挑戦、そしてもう一つが日本中の体脂肪を減らすこと! それを考えた時に、吉本興業という大きな事務所にいた方がスタッフも多いし、サポートもしてくれるので夢に近づけるとは思うのですが、その中にいたら、自分が安心しきってしまい、いつまで経っても本気スイッチが入らないんじゃないかと思い、今から3年後、5年後のことを考えて、ひとりで夢に向かって進んでいくために独立を決意しました。
なかやまきんにくん 1978年9月17日生まれ、福岡県出身。2000年にピン芸人としてデビューし、筋肉を生かした芸風でブレイクした筋肉芸人のパイオニア。昨年末に吉本興業を退所し、独立。今年5月にロサンゼルスで行われたボディビル大会「マッスルビーチ・インターナショナル・クラシック」のメンズマスターズ40歳以上の部門で優勝を果たす。
登録者数189万人を誇るYouTubeチャンネル「ザ・きんにくTV【The Muscle TV】」では、自身のトレーニング動画や最新の筋肉情報、初心者向けの筋トレ方法などを随時更新中。きんに君がインストラクターとしてフィットネストレーニングを一緒に行いながら、カラダのことや食事のことなどを学んでいく「ザ・オンラインフィットネス」の会員も随時受付中。
※『anan』2022年10月26日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) インタビュー、文・鈴木恵美
(by anan編集部)