いしだあゆみ「もっとのんびりやらせて~」 『ブルー・ライト・ヨコハマ』大ヒット裏話

2022.10.9
人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。10月のお客様は、いしだあゆみさん。第2回は、累計150万枚以上売れたという、あの大ヒット曲にまつわるお話。当時の歌謡界、ヒットのプレッシャーが凄かったそうです…。
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ヒット曲合戦が、とにかく大変でした…。

15歳で歌手デビューした私に転機が訪れたのは、20歳のとき。’69年にリリースした『ブルー・ライト・ヨコハマ』という曲が大ヒット。作詞家の方やレコード会社のスタッフは、本当にスキップして大喜びしていました。一方、作曲してくださった筒美京平先生は、淡々としてらっしゃったのをよく覚えています。私もどちらかというと筒美先生と一緒。でも関わったみなさんが喜んでいるのを見るのは嬉しかったですね。どんなものでも、数字がいいと、みんなイキイキするでしょ? その状況は好きでした。

ただ、そこからが大変。一度売れてしまうと、「次も売れ! ヒットを飛ばせ」と、さらなるヒットを求められるわけです。特にレコードは数字が如実に出るので、毎日がまさに“合戦”状態。私は合戦が大嫌いだった(笑)。今は、あの頃があるから今の私があると思えますけれど、渦中にいたときは、もっとのんびりやらせて~!! って思っていました。

1曲のレコーディングに6時間!? の衝撃体験。

仕事ではいわゆる“流行歌”を歌っていましたが、当時個人的に聴いていたのは、細野晴臣さん率いるティン・パン・アレーや竹内まりやさん、などの音楽。その空気を感じ取ってくれたのか、レコード会社が、ティン・パン・アレーと一緒にアルバムを作る機会をくださったんです。今思えば、ご褒美だったんでしょう。それで出来上がったのが、『アワー・コネクション』。実は、山下達郎さんや矢野顕子さんも参加してるんですよ。

流行歌の収録といえば、オケに合わせて歌手が3回くらい歌えば終了です。でもこのアルバムのレコーディングは、みなさんがスタジオに集まり、ああでもないこうでもないと相談するところからスタート。料理で言うなら出汁をとるところから始めるわけ。なので待てど暮らせど歌入れが始まらない(笑)。歌うまで6時間待ったこともありました。でも結果的に素敵なレコードができ、今若い人が聴いてくれているのは、嬉しいですよね。

いしだあゆみさん 歌手、俳優。1948年、長崎県生まれ。’64年に歌手デビュー。’69年『ブルー・ライト・ヨコハマ』が大ヒット。その後、俳優としても活躍。代表作にドラマ『北の国から』、映画『駅 STATION』など。

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※『anan』2022年10月12日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・大貫まりこ ヘア&メイク・福沢京子

(by anan編集部)