韓国ドラマ『恋慕』で世界的ブレイク! ロウン「嬉しい半面、少し怖くもあります」

2022.10.4
コロナ禍以降、世界で第4次韓流ブームが到来中。そのブームを牽引する一人、ロウンさんがソロでananに初登場。世界中を虜にする彼が感じる、“言葉の壁”を越えて伝わる想い、伝えたい想いとは?

僕の言葉に耳を傾けてくれる人こそが、僕の存在理由。

Entame

双子の兄の死により、男装して王となったヒロインとその学問の師の恋愛を描いた韓国ドラマ『恋慕』。Netflixでの配信スタートから1年が経っても、ランキング入りする人気作で、世界的にブレイクしたロウンさん。夏に開かれたファンミーティングでは、ロウンさんたっての希望で追加公演も実施された。

「ファンミーティングのことを聞いた時は、自分にできるのかすごく心配だったんですけど、『僕の言葉を聞きたい』と来てくださる方で会場がいっぱいになってほっとしました。こうした取材もそうですけど、僕の言葉に耳を傾けてくださる方がいてくれることこそが、僕の存在理由なんです」

フィリピンのマニラでもファンミーティングが開かれるなど、その人気は世界に拡大中! でも、自身にその実感はないそう。

「スタンバイしていたら拍手がどんどん大きくなっていくのが信じられなくて、スピーカーから流しているんじゃないか、どこかにドッキリカメラが仕掛けてあるんじゃないかって(笑)。現状を自分のことのように思えないところがあるんです。いわば“芸能人ロウン”の人生を体験しているような、不思議な感覚です。正直、みなさんから向けられる視線は嬉しい半面、少し怖くもあります。人の視線を気にしながら生きるのは大変なので、自分は芸能人だという意識を持たないようにしています」

今回の撮影でも、初対面のカメラマンに近くのおいしいラーメン屋さんを尋ねたり、立ちっぱなしのスタッフを見つけると「座ってください」と声を掛けるロウンさん。スター然としていない、気遣いの上手な気さくな姿が見られた。

「これといった長所もないですし、僕にキャッチフレーズをつけるなら“平凡なロウン”。デビュー当時は『背が高いロウンです』『オシャレ担当です』なんて自己紹介してたけど、今は『ただの平凡なロウン』が本来の自分を表す言葉として一番しっくりきます」

とても平凡とは思えないルックスと才能の持ち主だけれど、普通の人生を生きたいという想いが窺えるのが、ロウンさんの人生の指針になっている言葉だ。

「心理学者のアドラーが『人生で最も大きな嘘は現在を生きないことだ』と言っています。過去はどうすることもできない。未来は、まだ何も起きていない。本当にあるのは“今、現在”だけのはず。悟りを開いた僧侶のように、この瞬間この瞬間、生きていられることに感謝するのは難しいかもしれませんが、ありきたりの一日がどれほど大切なのか、気づかされました。幸せって『今日はお天気がいいな』『コーヒーがおいしいな』といった、本当に小さなことにこそあると思うんです。そうした小さな幸せを感じたら、頭の中で思うだけではなく、ぜひ、口にしてみてほしいですね。より幸せを実感できるはずです」

俳優にとって、役に入り込み演じられるのは、楽しく、幸せな時間だと話す。しかし、その幸せは生みの苦しみを伴う。

「3年前に主演させてもらった『偶然見つけたハル』という作品で初めて、どんどん役に近づいていくことが体感でき、演じるってこんなにも楽しいんだと思えました。でも、準備段階ではどう役を表現したらいいのかわからず…。自分ではキャラクターを掴んだつもりで表現しても、視聴者のみなさんにどう受け取られるのだろうという不安もありました。食事が喉を通らず、上手く演じられるようにと月にお祈りしてみたり、願掛け的に台本を枕の下に置いて寝たりもして…。そうした苦しみを感じながら、自分ができる最大限の準備をしてやっと、演じた時に役に入る楽しみが得られるんです。『恋慕』のときもそうでした。まだまだ自分が未熟だと気づかされた作品でもありますが、長い期間をかけて、初挑戦の時代劇を撮り終えることができた自分には、『頑張ったな』とねぎらいの言葉を掛けてあげたいです」

『偶然見つけたハル』で新人賞を受賞し、『恋慕』は新人賞、人気賞、ベストカップル賞の3冠に輝いた。着実にキャリアを重ねるロウンさんの歩みを見守ってくれるすべてのファンに対して、感謝を惜しまないが、ある一人のファンの言葉が忘れられないそう。

「『日々、いろんな仕事をこなしていて不安もあるだろうけど、一つひとつの点がつながって、振り返えると長い線になっている日がくるから』と言ってくれたんです。それまではとにかく前だけを見て進んでいました。時には、本当は自分がいけないのに人のせいにしてしまい、自責の念にかられたことも…。そうした恥ずかしいことも含め、点と点がつながって線になるという言葉がすべて包み込んでくれたような気がしたんですよね。その線が直線なのか曲線なのかはわかりません。でも、これからも黙々と歩んでいけばいいんだと勇気をもらえた言葉でした」

ロウンさんが、俳優人生という線を描く過程で、挑戦したいことのひとつがラブコメ。

「ラブロマンスとコメディがしっかり融合しなくてはならず、難しいジャンルです。なので、俳優として熟した時に取り組みたいですね。素敵な作品に出合えると僕自身が期待しているので、みなさんも楽しみに待っていてください」

music

ロウン 1996年8月7日生まれ、ソウル特別市出身。2016年、ボーイズグループ「SF9」のメンバーとしてデビュー。’21年、ドラマ『恋慕』が世界的にヒット。今秋、日韓合同オーディション番組『THE IDOL BAND:BOY’s BATTLE』(TBS系)のMCを務める。現在、SF9の日本デビュー5周年を記念した初のベストアルバム『THE BEST ~Dear Fantasy~』が発売中。

※『anan』2022年10月5日号より。写真・SASU TEI(W) スタイリスト・LEE MINGYU ヘア・SONG MISEON メイク・PARK MIKI 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)