性愛の形もさまざま…セックスをテーマに“今”を映し出すドラマ4選

セックスを通して描かれる人間模様の変化を楽しめる。

腐女子とゲイ、アロマンティック・アセクシュアルなど、さまざまなセクシュアリティの姿を通して、性愛の形を問うドラマプロデューサーの上田明子さん。

「ドラマは話数が多く、その分、長い時間軸で関係性の変化を描くことができます。セックスをして結ばれて終わりではなく、その先の二人の変化や成長を見ることができる。また、近年はストリーミングサービスが一般化し、セックスそのものをテーマにした作品も増えました。『セクシファイ』はオーガズムのためのアプリを開発する女の子たちの話。性を考えることで、自分の欲望と向き合い、自分をより深く知っていく姿が印象的です。男性同士の恋を描いた『美しい彼』は、素晴らしい原作に俳優さんの力が加わり、演じることで立ち上がる官能が感じられます。『17.3 about a sex』はなかなか人に聞きづらい性の悩みに正面から向き合った作品。『ハートストッパー』は登場人物のほとんどがクィア。LGBTQ＋の苦悩といったありきたりな描写ではなく、当事者の自己肯定感にフォーカスしたリアルな作りが支持されています。近年ドラマでもLGBTQ＋のキャラクターが増えてきたといわれていますが、現実にはすでにいろんな性的指向の人がいて、マジョリティが気づいていなかっただけ。現実とフィクションの距離が近づいた作品が今後も増えると予想しています」

少年少女が眩しい！　自分らしく生きていくことを祝福する温かさ。

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』
イギリスの男子校に通う少年たちを中心に、セクシュアリティの流動性や愛、青春を描く。「LGBTQ＋が抱える挫折や苦悩なども描きつつ、見た人に圧倒的な多幸感を与えてくれる良作」。現在シーズン1が配信中。新シーズンの制作も決定している。Netflix

現実にも手を伸ばそうとしている新感覚の性教育ドラマ。

『17.3 about a sex』
3人の女子高生を中心にセックス、妊娠など性と生にまつわる物語を展開。産婦人科医や性教育プロデューサーが監修した専門性の高い内容は“日本版セックス・エデュケーション”とも呼ばれている。タイトルの数字は初めて性行為をする世界の平均年齢。© AbemaTV,Inc.　ABEMA

外国作品ならではのオープンな性描写が新鮮！

『Sexify／セクシファイ』
プログラミングは得意だが、性には無頓着の女子大生ナタリアは友人のモニカ、パウリーナと一緒にセックスアプリの開発に挑む。官能のアルゴリズムを極めようとするうち、内なる声に目覚めていく。性と笑いを織り交ぜた、ポーランド発のコメディドラマ。Netflix

「見る」という行為が孕む色気が俳優さんが演じることで立ち上がる。

『美しい彼』
内気な平良は、独特の雰囲気を持つ清居に恋い焦がれる。原作は凪良ゆうの大ヒット小説。「清居が平良に送るなまめかしい視線、互いに触れ合う仕草など、ドキッとするようなシーンにも注目してほしい」。Blu‐ray＆DVD BOXが発売中で、続編の映画化も決定している。©「美しい彼」製作委員会・MBS　Netflix、Hulu、TELASAほか

うえだ・あきこ　NHKメディア総局・第3制作センター（ドラマ）プロデューサー。NHKよるドラ枠『腐女子、うっかりゲイに告る。』『恋せぬふたり』など多数の番組を手掛ける。

※『anan』2022年8月17‐24日合併号より。取材、文・浦本真梨子

（by anan編集部）