セックスレスの判断基準は“性欲のギャップ”! みんなのリアル性事情を調査

2022.8.14
セックスしないと何となく寂しい、どう良好にパートナーシップを築けばいいかわからない。セックスレスに悩み、辛い思いをしている人は少なくない。そんな悩みに、知っておきたい知識や考え方をご紹介します。

セックスの頻度よりも性欲のギャップが重要。

Sex

気づいたら最近セックスしていない。これってマズい? そう悩む人は少なくない。では、どこからが「セックスレス」なんだろう。日本性科学会が1994年に定めた「セックスレス」の定義によると「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上ないこと」とある。ただし、これについて産婦人科医の宋美玄先生は疑問を投げかける。

「仕事や生活に追われていたら、1か月なんてあっという間。どんな調査でも2割~半分以上の人がセックスレスという結果が出ます。多くの人が当てはまるものを指して、過剰に問題視するのは違和感がある。セックスレスでも仲のいいカップルはたくさんいるし、反対に、毎晩夫に体を求められて辛いと感じる人もいる。だから、問題視すべきなのは期間じゃなくて、性欲のギャップ。一方がしたいのに、一方はしたくない。それが長く続けば不満が溜まるし、関係も悪化する。じゃあ、その溝をどう埋めるか。お互いがきちんとそのことについて向き合っているか、セックスはしなくても、別の方法で愛情を表現できているかなど、コミュニケーションが大事。“言いづらいことだから”と放置していたら深刻化しやすい。スキンシップが減ってきたなと思ったら、二人きりの時間を作ってみるなど、何かしらの行動を」

女性の悩みに向き合う西本美沙さんもこう続ける。

「セックスと聞くと“挿入”をイメージしがちですが、キスをしたり、抱き合うなどのスキンシップで満たされたり、挿入までするセックスがなくても二人の関係が良好であれば、問題はない。関係をより良く保つ愛情表現は、セックスだけではないはずです。不安に思うのは、そもそも会話がないとか、目も合わさないとか、二人の関係が冷めていると感じる原因が他にあるからかも。セックスレスという言葉にあまり囚われすぎないでほしいです」

みんなのリアル性事情

日本人夫婦の半数以上が当てはまるといわれているセックスレス。レスになる理由やきっかけ、そもそもセックスは何のために必要なのかなど。アンケートによって見えてきた、みんなのセックスの理想と現実。

※アンケートは20~30代の女性300人(セックスにおけるステディなパートナーがいる割合は43%、そのうち結婚している人は60%)に実施。

Q1、パートナーとのセックスの頻度は?

Sex

【現実】
毎日…2%、2~3日に1回…12%、4~5日に1回…3%、週1回…29%、2週間に1回…12%、1か月に1回…18%、1か月以上してない…22%、その他…2%

【理想】
毎日…2%、2~3日に1回…11%、4~5日に1回…9%、週1回…21%、2週間に1回…13%、1か月に1回…13%、年に何回か記念日でいい…8%、全くしなくていい…21%、その他…2%

理想と現実にズレ。相手に合わせてるのも原因?
セックスの頻度はもちろん人それぞれだが、理想通りと答えた人は多くはなく、ズレを感じている人が半数以上という結果に。理想よりも少ない人・多い人、立場はさまざまだが、欲求のペースを相手と共有し、共感し合えている人は少ないということが判明。

Q2、現実と理想の頻度が違う理由は?

生活リズムのズレ
「お互いに仕事の繁忙期が異なるため、1か月に1回会えればよいほうだし、会ってもセックスしない時もある」(38歳)「仕事、育児で忙しくタイミングがとれない」(28歳)

生活の中でムードがなくなるタイプ
「家でダラダラ過ごしてしない日が増えた」(27歳)「毎日一緒にいるとそういうことを忘れてしまう」(31歳)

相手との意見相違
「彼氏に合わせてるから」(25歳)「パートナーに誘われたら断れない」(33歳)

心理的原因
「彼が下手でしたくない」(36歳)「子供が生まれてから、モラハラを受けて今のパートナーとはしたくなくなった」(27歳)「あまり気分が乗らない」(32歳)

距離的・時間的制限
「お互いの休日が違うので、仕事で疲れてそれどころではない」(38歳)

雰囲気が作りづらい、物理的に難しい人も。
付き合いが長くなると“そういう雰囲気”になりにくく、気づいたらレスになっていたという人は多い。本当はしたいけど、生活リズムのズレや距離的・時間的な制限によって物理的にできない人や、宋先生と西本さんが指摘する「性欲のギャップ」を感じてる人も。

Q3、パートナーとのコミュニケーションの一つとして、セックスは必要だと思いますか?

YES…54%

セックスだけが愛情表現ではないという考えもある。
YES派は「したほうが愛を感じる」(28歳)、「相手を深く知れそう」(37歳)といった意見が目立つ。NO派は「コミュニケーションがとれていて満たされていたら必ずしも必要じゃない」(33歳)、「しなくても好き」(25歳)など、選択肢の一つでしかないと考えている。

Q4、セックスレス経験はありますか?

YES…25%

何もしなければレスのまま。レスにならないための策も。
レス経験者は4人に1人。相手に合わせて、何もアクションをとらない人がいる一方で、レス回避策として、「ワンパターンにならないようシチュエーションや雰囲気を大切にしている」「セックスの頻度や理想の話をしている」と、自覚的に工夫をしている人も。

Q5、どのくらいしていないと「レス」だと思う?

2週間…5%、1か月…16%、2か月…16%、3か月…18%、半年…18%、1年以上…27%

1か月してない=レスと感じる人はわずか21%。
日本性科学会が定めた「セックスレス」は「1か月以上していないこと」。ただし、実際に1か月していないとレスだと感じる人はたったの21%。「半年」「1年以上」が約半数を占めるなど、「セックスレス」の定義と世間の肌感覚とのズレがあることが判明。

Q6、セックスレスのきっかけは?

1位:妊娠・出産
2位:付き合いが長くなってマンネリ
3位:相手に性的魅力を感じなくなった

意外なところにもレスの引き金が。
妊娠・出産を機にセックスレスになるという声が第1位。付き合いが長くなり、「結婚」や「同棲」をきっかけに、性生活がなくなるパターンも。そもそも「自分(相手)の性欲が強くない」というカップルや、「一度誘いを断ってからそれきり…」という人もいた。

Q7、セックスレスの理由はなんだと思いますか?(複数回答)

年月を重ねて、“しない関係”でお互いに落ち着いている…45%
自分はしたいが、相手が乗り気じゃない…31%
子供が生まれて、セックスをする時間・場所がない…28%
相手はしたがるが、自分がしたくなくて断っている…26%
体の相性が合わなくてできない(性交痛がある)…16%
時間がない…11%
その他…3%

特別な理由ではなく日常に埋もれてしまうよう。
一番多かったのは、長い期間を経て“しない関係”に落ち着いていること。宋先生、西本さんからすると“互いに不満がなければ問題ない”カップルだ。ただし、相手との性欲のギャップがあるカップルも半数以上。関係改善のためにも話し合いをする必要がありそう。

そん・みひょん 産婦人科医。2017年、丸の内の森レディースクリニックを開業。テレビや書籍、雑誌などを通じて、セックスや体の悩みなど、医学的な立場から啓蒙活動を行っている。

にしもと・みさ ランドリーボックス代表取締役。生理やセクシュアルウェルネスなど女性の悩みに特化したプラットフォーム「ランドリーボックス」運営。コンテンツ制作・PR事業も。

※『anan』2022年8月17‐24日合併号より。イラスト・水元さきの 取材、文・浦本真梨子

(by anan編集部)