好きになった彼には婚約者が…“はしたないくらい濡れた”熱い一夜の体験談

2022.8.11
忘れられない甘美な記憶――。エッセイ『ベッドの上でしか囁けない愛だってあるさ』で、性愛を楽しむ等身大の体験談を語ったたまるさんが、人生最高のセックスを取材しました。

花さん(27歳・会社総務)

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好きになった彼には婚約者がいました。最初はただ好きでいるだけでよかったのに…。

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鈴木さんは転職先の、年下の上司でした。電話で初めて話した時、心地よい声や選ぶ言葉がすごく素敵で、ときめきすら感じました。そして、実際に彼と会った途端に、私の気持ちは走り出しました。

しかし一緒に働く中で、8年間付き合っている婚約者と、近いうちに結婚することがわかりました。でも、気持ちは簡単には止まりません。彼の一番にはなれなくても、自分が好きで居続けることはできる。冗談を装って「鈴木さん好きですっ」と日常的に伝え、彼をからかったり戸惑わせたりしました。

個人的に連絡をとり合うようになり、彼からも好意に似た何かを感じるようになりました。もしかしたら私を選んでくれるんじゃないか、そんな淡い期待は、時が経つにつれどんどん膨らんでいきました。だけど、彼は婚約者に私の話をしていました。いくら時間を過ごしても、男女を意識する関係にはなれない。相手にされていないと思い知りました。

そんな中、彼の異動が決まりました。開かれた送別会。抜け出して二人で飲み直すことになりました。今日が過ぎれば今みたいには会えなくなる、そう思うと居ても立ってもいられず、「鈴木さんのこと、本当に好きです」と心から伝えました。彼はYESともNOとも言わず、少し顔を赤くして私の手を握りました。「今夜帰したくないな…」。嬉しくて思わずその手を握り返し、小さく頷きました。

私は自分からセックスしたいと思ったことはありませんでした。でもこのチャンスだけは、絶対に逃したくなかった。一線を越えてはいけないという警告音は頭の奥で鳴っていたけど、二人の時間がずっと続けばいいと、タクシーに乗り込みました。

ホテルに着いて順番にシャワーを浴び、裸でベッドに入りました。「おいで」と誘われ腕の中に飛び込むと彼の嬉しそうな表情に好きが溢れました。それから長い長いキスをしました。音が立つほど何度も角度を変え、気持ちを伝え合うようにお互いの舌を絡ませたりしました。初めて見るメガネを外した彼の顔。キスだけしかしていないのに、私ははしたないくらい濡れてしまいました。

我慢の限界が来たところで、彼に「おしまい」と言われ、「えっ、どうして?」と悲しい気持ちになりました。私には今日しかないのに。恥ずかしさで泣きそうになりながら、彼のおへその下に手を伸ばし、すがるように目を見て「欲しい」とお願いしました。すると彼の顔つきが変わり、私の首筋にキスが。胸、お腹と順に下へと下りていき、ついには恥ずかしいところに唇を這わせ、同時に中に指を入れ、上の壁を優しく刺激しました。

「私もしたい」と言って、彼のものに触れた時は一生舐めていたくなるほど愛おしかった。「もう無理」と止められ、キスをしながら彼は魔法のようにいつの間にかコンドームをつけました。私の中に彼が入ってきた時、「きつい…」と顔を歪ませながら足の甲にキスをされ、自分の中に彼の存在を感じると味わったことのない幸福感で胸が締め付けられました。彼の動きが激しくなった頃、「名前を呼んで」と掠れた声で囁かれ、「ヒロキくん…!」と応えると彼も私の名前を呼びながら果て、強く抱き締められました。考えてみればこの時初めて、互いを下の名前で呼び合いました。

終わった後、「俺も好きなんだ…」と優しいけれど困った顔をする彼。ようやく欲しかった言葉を聞けて、満足した私は彼の腕に抱かれそのまま眠ってしまいました。

既婚者となった彼からは、今もたまに連絡が来ます。彼の中にいる私の存在を確認して、あの夜を思い出しながらとびきり強いタップでメッセージを削除しています。

※『anan』2022年8月17‐24日合併号より。イラスト・saaya 取材、文・たまる

(by anan編集部)