前日のみ忘れたら一度に2錠のんでOK? 産婦人科医が“正しいピルの知識”を伝授

2022.7.10
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは「正しいピルの知識」。ピルを服用しているというフェムケア委員会の中元日芽香さん。ピルの正しい知識を産婦人科医の宋美玄さんに教えてもらいました。

実は間違いだらけ!? 知っておきたいピルの基礎知識。

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1、ピルのメリットは?

女性ホルモンの分泌を抑えることで、経血量や生理痛の軽減、生理不順の改善などに役立つ。PMSの諸症状を緩和し、ニキビなどの肌荒れを改善する効果も。また、排卵を抑制するため、高い避妊効果がある。

2、ピルの副作用って?

のみ始めは、頭痛や吐き気、不正出血などが起きることも。1週間~10日ほどでおさまることが多い。しかし、ごくまれに血栓症になることが…。胸が苦しいなど、血栓症が疑われる症状が出たらすぐに病院へ。

3、ピルの正しいのみ方は?

基本的に、1日1錠、同じ時間に毎日服用する。のみ忘れてしまったら、気づいた段階ですぐ前日分をのみ、その後、いつも通りの時間に当日分をのむ。服用時間に、前日ののみ忘れに気づいた場合は、一度に2錠のんでもOK。

私たちの体をサポートする、これからのピルの取り入れ方。

宋美玄:前回はPMSについてお話ししましたが、PMSを和らげる強い味方になるのがピルです。

中元日芽香:どういった仕組みでPMSに効くのでしょうか。

宋:ピルには女性ホルモンが含まれているので、血液中のホルモン濃度を高めることで、脳が「ホルモンが足りている」と判断し、卵巣にホルモン分泌の指令を出さなくなるんです。ホルモンの変動が抑えられるので、PMSをはじめ生理痛、月経過多、肌荒れや、子宮内膜症の改善にも役立ちます。

中元:私もピルをのんでいます。排卵の時期に腹痛に襲われて婦人科を受診したところ、ピルで改善できる可能性があると聞き、低用量ピルをのみ始めました。

宋:不調は改善されましたか?

中元:QOLがかなり上がりました。痛みがなくなっただけでなく、経血量も減り、気分の浮き沈みも穏やかになりました。でも、ピルの副作用が心配で踏み出せないという方も多いですよね。

宋:ピルの副作用は、“うっとうしい副作用”と、“怖い副作用”に分けられます。前者で代表的なのがのみ始めの頃に頭痛や吐き気、むくみ、不正出血などの症状が現れること。たいてい1週間~10日ほどでおさまるので、まずは様子を見てください。ある程度のみ続けないと、効果が表れているかなかなか判断ができないですから。

中元:“怖い副作用”とは?

宋:ごくまれに、ピルが血栓症を引き起こすことがあります。手足のしびれや、胸が苦しいといった血栓症が疑われる症状が出たら即、病院を受診してください。自分や血縁者に血栓症の病歴があったり、肥満気味の人や喫煙者、40代以降の人は注意が必要です。

中元:私、たまにのみ忘れてしまうことがあるんですが…。

宋:基本的には1日1錠、同じ時間に毎日服用します。知らない人も多いですが、のみ忘れたら、気づいた段階ですぐに昨日の分をのんで、その後、いつも通りの時間に当日分をのめば大丈夫です。

中元:お金がかかると躊躇する方も多いのではないでしょうか。

宋:避妊目的や、旅行と重なるから生理日をずらしたいといったような理由だと保険がきかないのですが、生理痛やPMSなどの症状を緩和するために用いるのであれば、保険適用のピルも使えます。ジェネリックタイプだと月500~600円のものもあるので、ぜひ相談をしてみてください。

中元:知りませんでした。いろいろな種類のピルがあるんですね。

宋:現在、主流なのはエストロゲンの含有量が少ない低用量ピルや、さらに少ない超低用量ピル。低用量や超低用量タイプだと3~4か月間、生理が来なくなることが多いです。またエストロゲンを含まないタイプのピルだと、のんでいる間は生理が止まります。不正出血を抑えるもの、ニキビに効果的なもの、PMSに効くものなどさまざまなので、自分の症状や予算の希望を伝えてみましょう。処方には医師の診察が必要ですが、保険適用なら、通常は3か月分まとめて処方してもらえますよ。

中元:ピルをのむことで、将来妊娠を望んだときに影響は?

宋:「生理が毎月来るのが健康な体」というイメージが強いせいで、ピルによって排卵や生理を止めることに抵抗がある人は多いかもしれません。でも、生理の回数を重ねれば重ねるほど、子宮内膜症になるリスクが高まり、それが不妊症や卵巣がんの原因になることも。だから、ピルをのんで子宮や卵巣を省エネ状態にするのは、体にとって理想的なんですよ。今を快適に生きることが、将来望んだときに妊娠の可能性を上げたり、がんのリスクを下げることにもつながるというわけです。

中元:生理や女性ホルモンは振り回されるものではなく、自分でコントロールできるものなんですよね。今後も毎日を快適に過ごすために、最適な方法を探し続けていきたいなって改めて思いました。

Q、ピルを服用したことがありますか?

現在、服用している…10%、以前、服用していた…35%、ない…55%

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半数以上が、服用の経験がないと回答。さらに一度は試してみたものの副作用や面倒くささから服用をやめてしまったという人も意外に多いことが判明。

Q、ピルをのんだことがない人に質問。ピルに対するイメージを教えてください。(複数回答)

避妊のためのもの…94%、生理の諸症状が改善できる…65%、副作用がある…29%、何となく怖い…12%、値段が高い…6%

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ピル=生理の諸症状を改善するものというよりも、避妊のためというイメージが強いよう。副作用などネガティブなイメージを持つ人も多いことが明らかに。

Q、ピルをのんでいる人に質問。ピルの満足度を教えてください。

とても満足している…65%、満足している…35%

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「満足していない」と答えた人は、なんとゼロ。ピルは正しい知識で服用すれば、満足度は非常に高く、生理の諸症状から解放されたと答えた人がほとんど。

Q、ピルの服用をやめたという人に質問。理由を教えてください。

1位:頭痛や吐き気
2位:面倒で続かなかった
3位:妊活のため
4位:症状が改善したため

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のみ始めの頭痛や吐き気などの副作用により、続かなかったという人が半数以上。すぐに諦めず、婦人科の先生に相談しましょう。

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そん・みひょん 産婦人科医。丸の内の森レディースクリニック院長。累計100万部のベストセラー『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』など著書多数。2児の母。

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なかもと・ひめか 1996年4月13日生まれ、広島県出身。乃木坂46メンバーとしてデビュー。グループ卒業後の現在は、心理カウンセラーとして活動している。

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※『anan』2022年7月13日号より。写真・水野昭子 スタイリスト・岡安幸代(中元さん) ヘア&メイク・川嵜 瞳(中元さん) イラスト・REDFISH 取材、文・音部美穂

(by anan編集部)