声に出すと元気がもらえる! 悩める大人も前向きになれる“絵本”4選

2022.7.3
自分でいることも悪くないと前向きになれる4冊の絵本と、声に出すと元気をもらえる一文をピックアップ。美しかったり、かわいかったり素晴らしい絵にも注目です。

声に出して読みたい、大人も力をもらえる絵本。

本を読むことが、自分を知ることにつながります。

「自信のない時や人と比べてしまう時もあるので、自己肯定感が高いかと言われると、決して、そんなことはないです」

と話す編集者の上條桂子さん。でも、本を読むことで、自分であることのよさを認められたり、鼓舞された体験があるという。

「本や映画を通じて、自分以外にいろいろな考えの人がいるということを知ることができます。それが、自分自身を知ることや、自分は一人じゃないんだと思えることにつながっていく。ここに挙げた絵本作品もそうです。悩んだり落ち込んだ時に感じる孤独を癒すものや、人に左右されず自分の楽しみを貫く姿に励まされるもの。また、心に生まれた否定的な感情と向き合う方法を教えてくれるものなど、“自分は自分がいい”と前向きになれるような作品を、バリエーション豊かに選びました」

気になる作品を見つけて、早速、手にとってみよう。

えほんの言葉1

あなのなかは しずかだった。つちは いいにおいがした。
ひろしは あなのかべの しゃべるのあとに さわってみた。
「これは ぼくの あなだ」ひろしは おもった。

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『あな』
作・谷川俊太郎 絵・和田誠/福音館書店

ある日曜日の朝、何もすることがないひろしは穴を掘り始めることに。誰に何を言われても、ひたすら掘り続けていく。「ひろしくんがずっと穴を掘るだけの物語ですが、それがとてもいいんです。ひろしくんは自分だけの場所が欲しくて、周りから目的を聞かれても黙々と穴を掘り続ける。その、自分の中にある確信みたいなものを頼りに自分を貫く姿勢がよく、羨ましいと思いました。上下に開くレイアウトも素敵です」

えほんの言葉2

宇宙の片すみにある小さな星の上で
「私」が生まれてきた意味を思う
それはきっといつの日か
私たちを助けてくれることでしょう

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『眠れなくなる宇宙のはなし』
作・佐藤勝彦 絵・長崎訓子/講談社

古代エジプトから現代まで、人が宇宙をどう捉えてきたかという歴史を見せる一冊。「未解明のことが多く、一人では到底太刀打ちできない宇宙の途方のなさを目の当たりにすることで、自分の存在や悩みがちっぽけにも感じるし、同時に奇跡的な存在なのだとも思えます。また、宇宙に魅せられて研究する人たちの物事の解明を次世代に託すような、長いスパンで思考する姿にも励まされる。長崎訓子さんの絵も大好きです」

えほんの言葉3

アイツを よろこばせるのは くやしいから、
わたしは イヤなことがあっても おもいどおりに いかなくても、
「なんとかなるんじゃない?」なんていいながら、
じぶんの すきなことを さがしてやるんだ。

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『ころべばいいのに』
ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社

イライラしたり、モヤモヤしたり。負の感情が芽生えた時にどうするかということをテーマにした絵本。「“なぜ人を嫌いになるのか”“なぜ意地悪をされるのか”など、つい“ワーッ!”となりがちな自分の中の否定的感情との向き合い方や対処法を、すごく楽しく、しかも分析的に描いています。こういう思考法を知っていたらちょっと楽になるだろうし、子どもの頃に出合いたかった一冊。主人公の表情もいいです」

えほんの言葉4

やっぱり おれは おおかみだもんな
おおかみとして いきるしかないよ

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『やっぱりおおかみ』
ささきまき/福音館書店

ひとりぼっちのおおかみが、「おれににたこはいないかな」と仲間を探して歩き回る。いろいろな動物に出会うものの、しっくりこなくて…。「結果、おおかみは自分はおおかみでいたいと気づき、“自分は自分である”ことを肯定できるようになる。人を羨むことはあるけれど、自分にしかできないことがあると気づけることで楽になれると教えてくれます」

かみじょう・けいこ 編集者。雑誌などでカルチャーやアート、デザインにまつわる記事の編集と執筆を行う。著書に『玩具とデザイン』(青幻舎)など。11月に京都で開催される国際アートイベント「Art Collaboration Kyoto」にも携わっている。

※『anan』2022年7月6日号より。写真・中島慶子 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)