岡崎体育「作詞に対しての考え方が変わってきた」 きっかけとなった楽曲とは?

2022.4.16
岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「作詞」です。
Entame

最近、作詞に対しての考え方が変わってきたように思います。過去にもこの連載で作詞について話をしていますが、そのときは、歌詞は譜割りに合っていればよくて、内容そのものについては二の次で、わりとどうでもいいと言っていました。今はもう少し、“言葉”や“意味”に比重があるような楽曲が増えてきていると思います。長く活動をしていると、コード進行や曲調などがどうしても限られてきてしまう。その中で差別化や自分のオリジナリティを際立たせるためには、もっと岡崎体育らしい歌詞を作らないといけないんだ、と意識が変わってきました。

そのきっかけのひとつに、ミュージシャンで作詞家としても活躍されている、いしわたり淳治さんに僕の「ニニニニニ」という楽曲を褒めてもらったことがあります。これはNHKのドラマ『いいね!光源氏くん』の主題歌で、短歌をテーマに書いた曲です。短歌は“5・7・5・7・7”のリズムで作ることが基本ですが、恋をしたら31音も選んでいられない、“好き”の二文字だけで精一杯という歌です。この表現をいしわたりさんに褒めていただいて、それがとてもうれしかったんです。僕自身も、自分らしい発想の歌詞でいい曲にまとめることができたと思えた一曲。岡崎体育らしさを、曲やアレンジではなく、まず歌詞で出せるんだということに気づいた曲だと思います。日本語は言葉の表現が本当に豊かです。感謝の気持ちを表したいと思っただけでもいろんな言葉がある。それをどんなボキャブラリーや発想で歌詞にするかで、個性が出るのだと思います。たとえば10個歌詞があったとしても、一目で「これは岡崎体育が書いたやろ」とわかるような歌詞をこれからもどんどん書いていきたいと思っています。

僕らしくといってもパターンはいろいろあります。たとえばポケモンの主題歌の歌詞を書くときと、自分のアルバムの5~6曲目の歌詞を書くときでは全然テンションが違う。メッセージソングやバラードなどは、先ほど話した意味や内容に重きをおいて書きます。でも最近の曲だと、「Okazaki Little Opera」などは過去曲に近い考え方で、言葉の羅列で気持ちよくメロディやリズムに合うもので、ボーカルもひとつの楽器として捉えているような楽曲です。過去のやり方もひとつの手法だと思うので、この2つをうまく使いこなせるアーティストでいたいですね。

おかざきたいいく Eテレ『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』Season3(土曜21:00~)に出演中。昨年11月に横浜アリーナで行われたライブを収録した映像商品『めっちゃめちゃおもしろライブ』が発売中。

※『anan』2022年4月20日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND) 文・梅原加奈

(by anan編集部)