ハラミちゃん「活動を始める前は、引きこもっていた」 運命を変えた“ストリートピアノ”

2022.3.22
YouTubeの登録者数は194万人、総再生回数は4.7億回を突破という驚異的な人気を誇る、ポップスピアニストのハラミちゃん。4歳からピアノを始めて音大を卒業したが、音楽の道には進まず就職。その後、休職中に弾いたストリートピアノが運命を変えた。

ストリートピアノを弾くと「生きてるな」って感じる。

Entame

「ハラミちゃんとして活動を始める2年半くらい前は、どん底を経験して引きこもっていたんです。人の目を一切遮断して、SNSのアプリも全部消して。ひとりだけの世界で自分は何がしたいんだろうと探していた時に、都庁のストリートピアノで演奏する機会をいただき、私はピアノで人を笑顔にしたいんだ、という気持ちに気づいて。今ではいろんなお仕事をさせていただけるようになりましたが、やっぱり一番の幸せはお客さんのリクエストでストリートピアノを弾いている時。“生きてるな”って感じます」

絶対音感と即興演奏を武器に、その場でお客さんのリクエストに応えてカバー曲を披露する。日本全国のストリートピアノで、ハラミちゃんの美しい音色に涙する人が続出。

「知らない曲も、その場で聴いて1分で覚えて弾きます。すぐに弾いたほうがみんなも嬉しいかなと思って、スピード感は意識しています。いろんな場所でピアノを弾いてきて、大阪の方はフレンドリーに話しかけてくれたり、沖縄の方はゆったりと座って聴いてくれたり、その土地ごとの人柄を感じるのも面白いです。曲のリクエストをいただくと、自分が知らない曲を知れたり、曲にまつわるその人の思い出に触れることができて、特別なことだなと感じます」

駅や空港など街中にあるストリートピアノは誰でも弾くことができるが、過酷な環境に置かれていることもしばしば。しかしハラミちゃんはどんなピアノでも弾きこなす。

「ストリートピアノって雨風に晒されていたり、寄付された中古のものなど、状態が良いものってほとんどないんです。音が出なかったり、鍵盤がめくれていたりすることも。でも私は、一期一会のストリートピアノを愛おしく感じます。服も物もアンティークの良さってあるし、そういう味や美しさがストリートピアノにはあるから。水族館でイルカとコラボしながら弾いたり、動物園の檻の前で弾いたり。音やクオリティを求めるにはふさわしくないかもしれないけど、何にも縛られず自由にピアノを弾いていいんだってことを私は伝えたいし、ハラミちゃんの存在を見て、音楽をやってみたいなと思ってもらえたら嬉しいですね」

アルバム『ハラミ定食2~新メニュー揃いました!~』には、YOASOBIの「夜に駆ける」やQueenの「BOHEMIAN RHAPSODY」などのカバー曲の他に、オリジナル曲が並ぶ。経験を重ねてアレンジの幅も広がった、ここからのハラミちゃんは第二章の始まりだという。

「急にキャラ変するとかじゃないですけど(笑)、昨年の武道館公演は一つの節目になりました。これからもストリートピアノは続けていきたいですし、自分の軸をぶらさずに、例えば誰かにピアノを教えるとか、楽器の開発に携わるとか、もっとパワーアップしたいという意味を込めて、第二章の始まりです」

Entame

アルバム『ハラミ定食2~新メニュー揃いました!~』。カバー曲に加えオリジナル3曲も収録。3月23日発売。【初回生産限定盤(CD+DVD+フォトブック)】¥9,130 【通常盤(CD+DVD)】¥4,180 【通常盤(CD)】¥3,080(エイベックス)

ハラミちゃん 2019年6月から本格的に活動を開始。YouTubeの動画投稿とストリートピアノを中心に活躍するポップスピアニスト。4月から7月にかけて約1年ぶりとなる過去最大規模の全国ツアーが開催される予定。

※『anan』2022年3月23日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・上野三樹

(by anan編集部)