まるでジオラマ…でも現実世界!? 写真家・本城直季、初の大規模個展

2022.3.20
大判カメラの「アオリ」と呼ばれる機構を駆使して、都市をジオラマのように撮影する写真家・本城直季さん。まるでミニチュアセットのように見える写真だが、実はすべて現実世界を撮影したもの。彼のマジックに魅了されたファンも多いだろう。

まるでジオラマ? 広がる不思議な風景。写真家・本城直季初の大規模個展。

「大学の写真学部4年生の時、学校の備品だった大判カメラを自由に借用できるようになって。スタジオマンとして働いた経験などもなかったので、固定観念なく自由な撮影にトライできた。それがこの撮影法を習得したきっかけかもしれません」

東京に生まれながらも高層ビルが乱立する都市に違和感を覚えていたという本城さん。この世界を知りたい、俯瞰したい。そんな想いが彼の創作の原動力となった。

「実際にヘリコプターから空撮すると驚かされるのは人の痕跡。例えば、広大なサバンナにも車の轍は残っているし、東京のビルや人が密集する様には衝撃を受ける。地球上で人間がいない場所はないと感じるし、そこにあるのは美しさだけじゃなく、リアルな人の営みだと実感します」 

今回、彼が2年かけて準備をした初の大規模個展では、代表作「small planet」シリーズで日常の風景を俯瞰することから始まり、そこから「kenya」「tohoku 311」など、彼が注目するエリアへとフォーカスする展開に。注目は本展のため新たに撮り下ろした「東京」の風景。国立競技場や東京の摩天楼、長時間露光によって住宅街の路地裏を撮影した「LIGHT HOUSE」まで約200点の作品を展示し、その活動を振り返る。

自分の住んでいる世界は、はたして理想的なのかをずっと問い続けてきたという本城さん。

「かわいいと言われることが嬉しい半面、都市が抱え込んでいる陰の部分も表現されているのが僕の作品。そんな都市生活の奥深さを感じてもらえたら」

Entame

small planet / Tokyo, Japan / 2005 © Naoki Honjo

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small planet / Tokyo, Japan / 2002 © Naoki Honjo

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play room / beach / 2005 © Naoki Honjo

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kenya / giraffe / 2008 © Naoki Honjo

本城直季(un)real utopia 東京都写真美術館 地下1階展示室 東京都目黒区三田1‐13‐3 恵比寿ガーデンプレイス内 3月19日(土)~5月15日(日)10時~18時(木・金曜は~20時。入場は閉館の30分前まで) 月曜(3/21、5/2は開館)、3/22休 一般1100円ほか(日時指定予約推奨) TEL:03・3280・0099

Entame

ほんじょう・なおき 1978年、東京都生まれ。2004年、東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻修了。『small planet』(リトルモア)で第32回木村伊兵衛写真賞受賞。ANA機内誌『翼の王国』の連載も担当する。

※『anan』2022年3月23日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・山田貴美子

(by anan編集部)