村上虹郎「私服はほとんど黒。アクセサリーもほとんどつけなくなった」 そのワケは?

2022.3.3
放送中の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の前半には勇役で登場、世界中で視聴され話題になっている、Netflixドラマ『今際の国のアリス』では、正体不明のチシヤを演じ、唯一無二の存在感を示している村上虹郎さん。正統派から謎めいた役まで、見事にものにしてしまう若手役者の筆頭格であるが、役が抜ければ、今度は素の強いオーラを放つ。多くの人はそこに、妖艶な色気を感じていることだろう。
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「色気の要素は、大人の男性の場合、断然“経験値”だと思います。何事にも全力で戦いにいって、ボロボロに負けても、それでもなお立ち向かっていく姿に僕は色気を感じるし、勝って負けて…の経験が多いほど、色気が身に付くと思っていて。ただ、その中にも種類はある。たとえば、歌舞伎で女方を演じる中村七之助さんのような、中性的な色気もあれば、リリー・フランキーさんやオダギリジョーさんの、落ち着いた声のトーンや佇まいには“引き”の色気を感じます」

一方で、「矛盾するかもしれないんですが、まだ経験値の少ない若者でも、色気を持つ人はいる」と村上さん。

「若い人が、大人に対して、経験値や知性、知識量で勝てるわけがなくて。そこで武器となるのが“生意気さ”。まだ負けたことがないから持てる、溢れ出る自信や、知らないからこそ輝けるキラキラした眼差しが若い色気となるのかもしれません。たとえば俳優の清水尋也、髙橋里恩には、目を見張る色気を感じます。時たま自分も、『色気がある』なんて言われたりもするんですが、自分では全然わからないですね。ただ、もしそうだとすれば、複雑なアイデンティティが僕にはあるからかも。個性派の二人から生まれて、特殊な学校を出て留学し、今は役者としていろんな作品に関わらせてもらっていて。良くも悪くもその複雑な環境において見てきた景色や、そこから生まれた思考回路は、誰にも想像することができないですから。よく、ミステリアスな人に惹かれると言うけど、僕のようにオーソドックスではない場合は、より、そう感じられやすいのかもしれませんね」

そんな村上さんのアイデンティティが、少しだけわかるエピソードも。

「10代の頃は誰よりも目立ちたかったから、全身カラフルなファッションでした(笑)。でも20代に入ってすぐに、私服はほとんど黒しか着なくなった。その理由は、色を入れると選択肢が多すぎてしまうのと、10代とは真逆に、誰にも気づかれずに自分の楽しみたいことだけを、好きな時に堪能したいという気持ちからでもあります。それから、毎日かぶっていたハットをやめて、アクセサリーもほとんどつけなくなったのは、装飾に頼るのではなく、身一つで自分がどれだけカッコよくいられるかを磨くべきだと思ったから。その上で、アクセサリーをまた身につけることもあるかもしれません。ちなみに白い服は、生活習慣がちゃんとしていて、“白を扱える仕上がった大人”が纏ってはじめて、カッコよく映えるものだと思う。だから僕も、いつかは白を纏えるような大人になりたい」

憧れる色気は、意外なもの。

「ジェイデン・スミス、ティモシー・シャラメのような色気は参考にはなるけれど、本能的に好きなのはマシュー・マコノヒーのような、顔や体の骨格やサイズ感がドシンとしている人が放つ色気。いてくれるだけで安心感があり、強い父性を感じます。僕はそっち側にはなれないからこそ、憧れるんでしょうね」

むらかみ・にじろう 1997年3月17日生まれ、東京都出身。映画『孤狼の血 LEVEL2』にて第45回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。
ジャケット¥259,600 シャツ¥156,200 タンクトップ¥14,300 パンツ¥48,400(以上ヨウジヤマモト/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03・5463・1500) ネックレス¥481,800(ミラモア/ミラモア ファイン ジュエリー TEL:03・5738・7803) その他はスタイリスト私物

※『anan』2022年3月9日号より。写真・西川元基(mild) スタイリスト・二村 毅(hannah) ヘア&メイク・橋本孝裕(SHIMA) 取材、文・若山あや

(by anan編集部)