苦手な人とつきあう利点とは? 「人づきあいの心得」Q&A

2022.1.8
人との関わりが制限され、それが日常になった現在、新しい出会いが減ったり、人づきあいを面倒に感じたり、さまざまな変化を感じている人は多いのでは? 改めて人とのつながりの大切さやスキルを見直し、自分にとって快適な人間関係のかたちを見極めよう。
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人づきあい体質チェックリスト

□一度会った人と次に続かない…YES/NO
□コロナ後に疎遠になった人がいる…YES/NO
□3か月以内にプライベートで会った人を数えると、片手で収まる…YES/NO
□週に3回以上、リモートワークをしている…YES/NO
□ここ5日以内に会話した人が3人以下だ…YES/NO
□人に対してイラッとする回数が増えた気がする…YES/NO
□人と会うのが億劫だと感じるようになった…YES/NO
□約束していた予定の直前になると、行くのが面倒だと感じる…YES/NO
□出無精になったと感じる…YES/NO
□雑談をしなくなった…YES/NO
□声を出して笑う回数が減った気がする…YES/NO
□ここ一年、新しく仲良くなった人がいない…YES/NO
□会話がスムーズに進まないことがある…YES/NO
□会話しているとき、自分だけずれている? と感じることがある…YES/NO

“YES”が4個以上ある人は、人づきあい力が弱っているかも?

人づきあいの心得Q&A

人づきあいってそんなに重要? 苦手な人とつきあう意味はあるの? そんな人間関係の素朴な疑問に、日本メンタルアップ支援機構代表理事・大野萌子さんとコミュニケーション総合研究所代表、一般社団法人日本聴き方協会代表理事・松橋良紀さんが回答! 目からウロコで、人づきあいが快適になるヒントが満載です。

Q. 関わるコミュニティのすべてが円滑であることが望ましい?

A. 身近な人間関係の安定度と、幸福度は比例するもの。

「ひとつのコミュニティの人間関係がすごく円満で充実しているから、他はなおざりでもいいかというと決してそうではないんです」と大野さん。理想は友人、恋人、家族、会社など、属するさまざまなコミュニティの人間関係すべてがバランスよく機能している状態なのだそう。「自分を取り巻くすべての人間関係が良好なほど、メンタルが安定してストレスが軽減するので幸福度が上がります。人は誰しも多面性を持っているのが当たり前で、会社ではリーダー的存在だけれど家族といるときは末っ子キャラなど、それぞれのコミュニティに応じて無意識にキャラクターを演じ分けているもの。そんな自分の異なる一面を出すことができる居場所が多ければ多いほど安心感につながります。逆に拠り所になるコミュニティが少ないと、もしそこでトラブルが起きてストレスを抱えたときに精神的な逃げ場がなくなり、全否定されたように感じて立ち上がれなくなることもあります」

Q. 苦手な人とつきあう利点はある?

A. 深層心理にある感情に気がつき、成長するきっかけに。

誰もが一人は思い浮かぶであろう、苦手な人。どこが苦手だと感じるのか理由を突き詰めて考えると、意外なことに自分も少なからず同じ要素を持っていることに気がつくのだそう。「他者を嫌悪する感情は、自身の深層心理を投影して拒否反応を起こしているという場合が多いのです。たとえば苦手だと感じる人が愚痴ばかり言っている場合、自分は愚痴を我慢していたり、愚痴を言うことは絶対にだめだと決めつけていたりしないでしょうか」と松橋さん。対処法は、「実は愚痴を我慢している自分」を認め、ときにはネガティブな自分を受け入れること。「そうやって封印していた自分の気持ちを受け入れていくと、相手のことも許容できるようになります。するといつのまにか苦手意識がなくなっていたり、気にならなくなっていくもの。苦手な相手こそ、自分が内面に封じ込めている感情や本当の気持ちを教えてくれる存在なので、気づきや成長のきっかけを与えてくれます」

Q. 人間関係の断捨離、やりすぎるとどうなる?

A. 極端な断捨離には弊害が。ほどほどがおすすめ。

もはや一般的になりつつある、人間関係にも断捨離が必要だという風潮。関係を見直し、整理することで、しがらみやストレスから解放されて楽になることもあるが、やりすぎは禁物だと大野さん。「人は自分の内面に秘めたいろいろな側面を表現できる人づきあいの場をいくつも持っているほうが、メンタルが安定するもの。断捨離しすぎると人間関係が狭まるので、自分の特定の側面だけしか出せなくなり、それがストレスにつながります。この人だけいればいいという人間関係は依存なので不健康だし、気の合う仲間だけを相手に、濃厚な人づきあいを継続するのはなかなか難しいものです。最初は快適に思えても、やがて窮屈になるタイミングがやってくるはず。そうなったときに、逃げ場になる相手がいないという状況に陥りがちです。また、特定の人とだけつきあっていると考え方が偏ってくるので、人間関係においてミニマリストになるのは、あまりおすすめできません」

Q. 苦手な人のやり過ごし方は?

A. 発想を転換することで、気にならなくなることも。

会社関係や親族など、苦手だけれど関わりを断つことができない相手とは、対処法を覚えてつきあうのがベター。「なぜ苦手なのかを考え、その部分をポジティブに置き換えて捉えると気にならなくなることも。たとえば、口うるさい人=親身になってアドバイスしてくれる人、すぐにキレる人=感情がわかりやすくて扱いやすい人、などに置き換えることができるはず。ものごとは表裏一体なので、片面だけを見ると欠点だと感じても、裏を返すと長所になるということは多々あります」(松橋さん)。「ちょっと苦手に感じるくらいの相手なら、あえて接触する機会を増やすことで苦手意識が薄まることも。でも会うたびにエネルギーを吸い取られるような相手なら、必要以上に関わらず、存在を意識しなくてすむよう工夫して。SNSをミュートにする、同じ空間にいても視界に入らないようにするなど、物理的に距離を空けるだけでずいぶんと気が楽になるはずです」(大野さん)

大野萌子さん 日本メンタルアップ支援機構代表理事。公認心理師の知見を生かし人間関係改善術を発信。『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)が33万部のヒット。

松橋良紀さん コミュニケーション総合研究所代表、一般社団法人日本聴き方協会代表理事。コミュニケーション指導の第一人者として活躍。コミュニケーション関連本を30冊発行し、累計40万部を突破。

※『anan』2022年1月12日号より。イラスト・別府真衣 取材、文・宮尾仁美

(by anan編集部)