池田エライザ「もう今は音楽で好きなことをやってもいいかな」 1stアルバム発表

2021.11.7
最近では映画監督としても多才な活躍を見せる俳優の池田エライザさん。この度ELAIZA名義で1stオリジナルアルバム『失楽園』を発表し、ミュージシャンとしても手腕を発揮する。
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「音楽は、特にこれが好きというジャンルはないですね。普段からクラシックの後にBLACKPINK、その後にArctic Monkeysといった感じで聴いています。ジャンルというより曲調に好みがあって、それはスピルバーグよりもティム・バートンが好きって感じなのかも(笑)」

昭和歌謡のダンサブル・リミックスのような雰囲気の「Close to you」や、バンドネオンが異国情緒を感じさせる「Antique」など、多彩な曲調をELAIZAさんならではの色香と息遣いで歌いこなす。クラシック+ジャズがエキゾティックな「夢街」は、チャイコフスキーの組曲「くるみ割り人形」の「金平糖の精の踊り」のフレーズが盛り込まれた。

「バレエをやっていた頃、すごく憧れていた曲の旋律を入れてほしいと、SOIL&“PIMP”SESSIONSにお願いしてコラボしました。それこそティム・バートンぽい世界観の曲に仕上がっています」

自身で歌詞も手がけた曲たちは「風刺的なことをポップスで包んでエンタメにした」という。

「『AYAYAY』は自動車教習所のテレビで討論番組を見ながら書いたんですけど。今の時代には政治に介入したくてもできない、それを話し合うこともできない若者たちがたくさんいて、ほとんどの曲がそういう問題にジャブを打っているものばかり。誰かと共感し合うためにはまず自分の意見を言わないといけないので歌詞に込めました。そういう意味で嘘はつけないし、だからこそ悩んだし、楽しい制作でした」

女性の社会進出と輝かしい未来を願い収録された唯一のカバー曲「Oh Pretty Woman」など、心地よく聴けて何だか勇気も湧いてくる、嬉しい一枚。『失楽園』というタイトルにも、前向きな想いが込められている。

「ユートピアには絶望が含まれていて、ディストピアには希望が含まれていると私は思うんです。『失楽園』も英語にするとparadise lostですけど、そこから這い上がれる力も持っている。喪失を感じることも多い今の時代に、未来への希望を込めました」

どんな曲調でも、ELAIZAさんの確立された歌との向き合い方が揺るぎない世界観を生み出す。1stアルバムでそれができるのは自身の母親がシンガーであることや幼い頃から音楽が当たり前にそばにある環境に育ったことが影響している。こうして今、またひとつ彼女の肩書が増えた。

「お芝居では全くわからないことをゼロから経験して。そういう意味で難しいし、向いてなくて面白いと思うんですけど。音楽は自分が育ってきた環境も含め、向いていて面白いです。『向いてないことが面白いってカッコいい!』と思っていた時期が長かったんですよ(笑)。でも、もう今は音楽で好きなことをやってもいいかなって思うんですよね」

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1st AL『失楽園』は11月8日にデジタルリリース。MVも公開された「AYAYAY」、先行デビュー曲「Close to you」、詩人の最果タヒさんが歌詞を手がけた「惑星」を含む全11曲。(ユニバーサルミュージック)

エライザ 1996年生まれ、福岡県出身。俳優、モデル、カメラマン、映画監督など幅広く活躍。Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』など数々の話題作に出演。出演映画『真夜中乙女戦争』が2022年1月21日公開予定。
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※『anan』2021年11月10日号より。写真・井手野下貴弘 スタイリスト・RIKU OSHIMA ヘア&メイク・ANNA.(SHIMA) 取材、文・上野三樹

(by anan編集部)